一人親方が外国人材を雇用するために必要なこと

建設

こんにちは、行政書士の稲福です。

この記事では、一人親方が特定技能外国人を雇用するための要件や雇用主の義務について、また雇用時の注意点についてできるだけわかりやすく説明したい思います。 

読んで字のごとく、一人親方は仕事を一人で請け負いますが、どうしても人手が足りない場合に労働者を雇い入れることがあります。

しかし、慢性的な人手不足が続いている建設業界においては、なかなか適当な働き手を見つけられないという現状があります。

このように、国内における建設業の人手不足が慢性化するなか、特定技能外国人の雇用を検討している一人親方からの相談件数が非常に増えてきており思います。

そこで
今回は、受入機関となる一人親方が特定技能外国人を雇い入れるためにクリアすべき3つの基準を中心に解説していきたいと思います

2019年4月より、新たな在留資格『特定技能』が導入され、深刻な人手不足に対応するため人材の確保が困難な建設業を含む計12の特定分野において、一定の専門性や技能を有している外国人材を学歴や実務経験に関係なく雇用することが可能となりました

『特定技能』とはビザ(在留資格)の名称で、就労系ですと『技術・人文知識・国際業務』、『高度専門職』、『企業内転勤』、『技能』等があり、身分系ですと『永住者」や『日本人の配偶者等』、『家族滞在』、『定住者』などがありますが、『特定技能』も就労系に分類されるビザ(在留資格)の種類になります。

なお、『特定技能』は、人材を確保することが困難な状況にある人材を労働力として受け入れることができるビザ(在留資格)と定義づけられており、現在、建設分野の他に、農業・漁業・介護などがあり、厚生労働省・経済産業省・国土交通省・農林水産省の管轄の元、12分野において『特定技能』のビザ(在留資格)外国人材が受け入れられています。

2019年に特定技能制度が創設される以前は、『技術・人文知識・国際業務』のようないわゆる高度人材のビザ(在留資格)においては上記の12分野おいては単純労働や技能の業務は行うことができませんでしたが、これら分野における深刻な人手不足解消のためには日本人だけでは働き手が足りないことから、専門的な知識と経験を持った外国人に即戦力として働いてもらうことで人手不足を解消するために新設されたのが『特定技能制度』となります。

ただし、特定技能外国人を雇用するには、『受入機関』が以下の3つの基準を満たしている必要があります。以下、それぞれの基準について説明していきます

1.【雇用契約を結ぶうえで満たすべき基準】(雇用契約が適切であること
2.【受入機関自体が満たすべき基準】(受入機関自体が適切であるこ
3.【支援体制を構築する上で満たすべき基準】(支援体制が整っている/支援の中立性が保たれている/適切な支援計画が立てられていること)

【雇用契約を結ぶ上で満たすべき基準】

まず最初に、受入機関である一人親方が、外国人労働者と雇用契約を締結するにあたって満たす必要がある基準について解説します。

まず大前提として、この雇用契約は外国人労働者にとって不利なものになってはいけないため、出入国管理法令等において雇用契約に関する基準が細かく定められています。

この記事では一人親方に該当する基準のみを簡潔にまとめて説明します。

雇用契約が適切であること

特定技能外国人を採用する際は、『雇用条件書』『特定技能雇用契約書』を書面で交わす必要があります。

そして、雇用契約を締結する際には以下の基準を満たす必要があります。

☑分野別省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること

☑一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること

☑外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑に なされるよう必要な措置を講ずることとしていること

☑受入機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることと していること

☑分野に特有の基準に適合すること ※分野所管省庁の定める告示で規定

とりわけ重要になるのが、特定技能外国人に従事させる業務の内容です。

特定技能外国人に担当してもらう業務は『相当程度の知識または経験を要する業務』である必要があり、どのような業務でも担当させてといというわけではなく、おおむね3級技能士レベルの技能者が担当するような業務を担ってもらうことになります。

また、特定技能外国人は『特定技能』という在留資格で許可された範囲内でしか就労ができませんので、例えば、とび職人で雇い入れた特定技能外国人を他の職種(例えば、事務職や営業職等)で就労させることはできません。

もし雇用条件書に記載されている雇用条件(勤務地や勤務時間)が変更となった場合には、出入国管理庁への届出が必要となります(その他にも、外国人労働者を雇用後は3か月に一度、出入国管理庁へ定期的な届出が必要になります)。

次に有給休暇についてですが、本人からの申し出があった場合もちろんのこと、例えば特定技能外国人が年10日の有給休暇を全て使ってしまった場合であっても、本人から一時帰国の申し出があった場合には追加的な有給休暇の取得や無給休暇を取得できるよう配慮しなければならないとされています。

さらに、雇い入れ時および毎年1回以上の一般健康診断(労働安全衛生法66条1項)を受診させる義務、生活状況把握のため緊急連絡網を整備する義務、定期的な面談において日常生活に困っていないかトラブルに巻き込まれていないかなどを確認する義務などがあり、その他にも帰国旅費を本人が負担できない場合は、受入機関が負担することも求められています(本人が自己負担できるのであれば帰国旅費に関して受入機関である一人親方が負担する必要はない 

なお、本記事では従業員のいない一人親方が特技能外国人を雇用するケースを想定しているので該当しませんが、建設会社が特定技能外国人を雇い入れるケースにおいて特に留意しなければならない点を3つ挙げたいと思いますので是非参考にして下さい。
 
一つ目が特定技能外国人の給与についてですが、同種の業務(例えばとび職)に従事し、同程度の技能(例えば技能検定3級程度)を有する日本人従業員と同等以上の水準である必要があり、これを『同一労働同一賃金』の原則といいます。


例えば建設分野における特定技能外国人の場合、『1号建設特定技能評価試験』の合格で経験年数3年程度と見なされるため、日本人で同種の業務で3年の経験を積んだ従業員と同等かそれ以上の待遇に設定する必要があります

もしも特定技能外国人と上記の日本人従業員(比較対象の日本人従業員)の給与額に差を設けるのであれば、その差を設けたことについて合理的な理由の説明が出入国管理庁より求められます。

例えば同じとび職人でも、経験年数や取得した資格の種類や数によって給与や手当の額に差があるケースにおいては、出入国管理庁へその旨を説明することが求められます。

また上記の日本人従業員に通勤手当の支給がある場合には特定技能外国人にも同様に通勤手当を支給する必要がありもし支給条件を満たしているのに通勤手当を支給していないとなると、こちらも出入国管理庁からその理由の説明を求められますので注意が必要です。
 

二つ目が、特定技能外国人の勤務時間(所定労働時間)はフルタイムの他の日本人従業員の所定労働時間と同等である必要があります(パートタイマーやアルバイト従業員は含みません)。


なお、特定技能制度におけるフルタイムとは、原則として労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいいます。

よって、比較対象となるフルタイムの従業員に適用される所定労働時間が週40時間であれば、特定技能外国人の所定労働時間も40時間/週となり
他の日本人労働者と比較して不当に長時間労働をさせてはいけないというルールになっています。

ただし(ここが悩ましいところではあるのですが)、実際のところ「なるべく残業して稼ぎたい」が特定技能外国人の本音のようです。

実際に残業の多い仕事に人気が集中する傾向があり退職理由に残業時間が減少しもらえる残業代が減ったことを挙げる特定技能外国人は多いです。

日本へやってくる特定技能外国人は、それだけお金を稼ぐことに対してストイックということですね。
 
三つ目が、外国人であることを理由として、給料の額や教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他待遇面において差別的な取り扱いをしないことです。


他の日本人従業員と待遇面においても差別してはならないということですね。

その他にも、建設分野においては報酬等の雇用条件に係る分野特有の基準があり、その基準にも適合することも求められます。

まず、特定技能外国人の報酬は地域別最低賃金に1.1を乗じた金額より上回っている必要があり、さらに同一圏域における建設技能者の賃金水準との比較も必要です。

これらは各都道府県労働局において公表されているハローワークの求人求職賃金を参考にしますが、同じ地域の同業と比較して明らかに低水準の給与設定となっている場合は、人手が確保できなくても仕方がなく、これを理由に特定技能外国人を雇用するすることもできません。

また雇用契約において、受入企業には特定技能外国人の技能習熟に応じた昇給が義務づけられ、技能の習熟度に応じ昇給額を明確にし、かつ毎年昇給させることが求められています。

そして、その昇給の予定額や昇給条件を『雇用条件書』『重要事項事前説明書』に記載し、内定者である特定技能外国人本人が理解できる言語で説明しなければならず、習熟度を示す指標には、実務経験年数や資格、また建設キャリアアップシステムにおける能力評価などを活用します。

なお、この昇給は、1年あたりに見込まれる1か月当たりの賃金の上昇額が千円未満である場合には、定期昇給とは認められず、国交省へ申請する『建設特定技能受入計画』は認定されませんので注意が必要です。

このように、特定技能外国人を雇用する場合には、法的な縛りや雇用条件においても細かいルールがあることを理解したうえで雇用計画を立てることが必要となります。

【受入機関自体が満たすべき基準】

次に、雇用主である一人親方が『受入機関』として満たさなければならない基準についてです。

雇用主である一人親方が、特定技能外国人を雇い入れる『受入機関』としてふわしいか否かが問われる基準となります

受入機関自体が適切であること

この基準は13項目設けられていますが、ここでは、初めて外国人労働者を雇用する一人親方が満たすべき基準に絞ってを列挙します。

① 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること

② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと

欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと

特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと

⑤外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと

受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと

⑦支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと

雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること

⑨報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと

⑩建設分野に特有の基準(建設特定技能受入計画)を満たしていること(※国交省の定める告示で規定)

まず、受入機関である一人親には、行為能力(認知症等)や適格性(破産手続開始等)に問題がないことが大前提となります。

そして、一定の刑罰を受けていないことはもちろんのこと、出入国または労働関係・社会保険関係法令に関する不正行為を行っていないことも重要で、もしこれらの法令違反により罰金刑が科された場合は欠格事由に該当し5年間は特定技能外国人の受入れができなくなります。

次に、受入機関である一人親方が国税<所得税および復興特別所得税・消費税など>および地方税<個人住民税>を適切に納付しているか(税務署発行の納税証明書および市町村発行の納税証明書を提出)、労働法を始めとする諸法令違反(無許可のブローカー等からのあっせん)がないか、また後述する雇用者側が行うべき外国人労働者への支援の費用を外国人に負担させないか等、特定技能外国人を雇い入れる会社が、受入機関として適切であるといえるか否かがジャッジされます

もし租税に未納があった場合でも、出入国管理庁の助言や指導に基づき納付した場合には、租税関係法令を順守しているものと評価されますので、、税務署等において相談のうえ必要手続きを行うようにして下さい。

ちなみに一人親方の場合は、労働者を雇用しない個人事業主である以上、健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用対象には原則としてなりませんので、出入国管理局への在留許可許可申請の際には社会保険料納付状況回答票労働保険料等納付証明書や等の提出は求められませんが、個人事業主の国民健康保険者納付証明書労働保険に代わる民間保険の加入を証明する書類の提出が必要となります。

特定技能外国人を受入れた後においては、労働保険<労災保険/雇用保険>に加入する義務が発生するため、労働保険保険関係成立届を事業所の管轄の労働基準監督署に提出する必要があります(社会保険<厚生年金/健康保険>は従業員が5人未満の個人事業主の場合は、加入は任意となります)。

その他、受入機関自体が満たすべき基準において注意しなければならないのは、外国人労働者と雇用契約を締結する日前の1年以内に、外国人労働者(特定技能外国人)が従事する業務と同種の業務に従事していた労働者(定年、自己都合、有期労働契約の期間満了、自己の責めによる重大な理由により解雇された者等を除く)を離職させていてはいけない決まりになっています。

外国人を雇い入れるために日本人を解雇するということは、特定技能制度の趣旨に反し本末転倒だからです。

最後に、特に注意が必要なのが、報酬の支払い形態に係る建設分野特有の基準についてですが、特定技能外国人の報酬は月給制でかつ口座振り込みにて支給しなければなりません。

これは、特定技能外国人の安定的な報酬を確保するため、仕事の繁閑により報酬が変動しないこと(天候や受注状況によって基本給が大きく変動しないこと)、すなわち『月給制』により、あらかじめ特定技能外国人との間で合意を得た額の報酬を毎月安定的に支払うことが必要であるという理由からです(技能実習における建設分野の過去の失踪理由の中に月給制でないため安定的に給与が支払われず不安を感じたからという声が多かったことに起因しています)。

建設業の特徴として、季節や工事受注状況による仕事の繁閑により予め想定した報酬予定額が下回ることがあることがありますが、特定技能人材を受け入れる場合は、特定技能外国人の離職や失踪を避けるためにも月給制を採用しなければならないルールになっています天候や受入企業の責めに因らない事由による休業の場合には、休業手当(平均賃金の60%以上)を支払うことは認められています)。

そして、日本人従業員が月給制でない場合でも、特定技能人材に関しては月給制でなければならないという点には注意が必要です。

なお、自社の日本人従業員が月給制でない場合における特定技能外国人の報酬額は、同等の技能を有する日本人の技能者に実際に支払われる『1か月当たりの平均的な報酬額』を基準として月給制で決めていくことになりますが、この場合においても比較対象の日本人従業員の報酬額と同等以上でなければなりません。

また、建設業ですと、給与を現金で手渡しにしている企業方がまだ多いように見受けられますが、外国人労働者(特定技能外国人)を雇用した際には口座振り込みの手続きが必要となります。

【支援体制を構築する上で満たすべき基準】

最後に、外国人労働者を雇い入れるにあたって、受入機関として構築しなければならない『支援体制』に係る基準ついてです。

これらの基準は、①受入企業の要件(支援体制が整っていること)適切な支援計画が立てられていることの二つに分けられます。

①受入機関の要件(支援体制が整っていること)

雇用した外国人労働者が日本で暮らしていくため、日々の生活を支援するのも『受入機関』である一人親方の責任となります。

しかし例外として、後述する『登録支援機関』に支援の全部を委託する場合には、受入機関である一人親方は支援義務を負いません

言い換えますと、一人親方が外国人労働者の支援計画の全部の実施を登録支援機関へ委託した場合は、外国人を支援する体制があるとみなされるため、この基準をクリアできます。

参考までに、出入国管理庁のホームページに記載されている受入機関が支援体制において満たすべき基準を掲載します。

①中長期在留者の雇用経験があること(次のいずれかに該当すること)。
イ)過去二年間中長期在留者(就労資格に限る)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役員又は職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること。

ロ)役員又は職員であって過去二年間中長期在留者(就労資格に限る)活相談業務に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること。

ハ)イ又はロと同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認めたもので、役員又は職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること。

②外国人が十分に理解することができる言語によって支援ができる体制を有していること。

③支援の状況に係る文書を作成し、当雇用契約終了の日から1年以上備えて置くこと。

支援計画の中立な実施を行うことができる者であること。

⑤5年以内に支援計画に基づいた支援を怠ったことがないこと。

⑥支援責任者又は支援担当者が特定技能雇用契約の当事者である外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること。

⑦分野に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。

受入機関である一人親方は、外国人の支援体制を構築するために上記の基準を満たす必要がありますが、そもそも初めて特定技能外国人を雇い入れる一人親方はほとんどの基準を満たすことができないため、通常であれば『登録支援機関』という外国人労働者の支援業務を行う会社に支援を委託することになるでしょう。

登録支援機関の詳細に関しましては、別の記事で紹介しておりますので、併せてご覧いただけると幸いです。

支援の中立性とは

特定技能外国人を支援するうえで最も重要となるのが『支援の中立性』という基準になります

この支援の中立性を確保できているか、つまり中立的な立場で外国人労働者の支援を実施できるかが非常に重要となり、⽀援責任者または⽀援担当者が中⽴的な立場で支援計画の実施を⾏うことができ、かつ⽋格事由に該当しないことが求められます。

そして、一人親方がこの支援の中立性という基準を満たすことは困難ですので、登録支援機関に支援業務を委託することでその中立性を確保しなければなりません。

それでは、なぜ一人親方がこの『支援の中立性』という基準を満たせないのか、その理由について説明したいと思います。

ここでの『中⽴的な立場』とは、支援責任者または支援担当者が特定技能外国人と異なる部署に所属しているか、当該外国人に対する監督命令をする立場にない状態を指しております。

例えば、特定技能外国人と同じ現場で働く人や所属する部署の責任者は、支援の中立性という観点から支援責任者にはなることはできず、異なる部署の職員であるなど、特定技能外国人に対して指揮命令権を持たない人が該当します(人事部や総務部という、特定技能外国人が所属する部署とは異なる、別部署に所属している人が就任するイメージです)。

ただし、異なる部署であっても実質的に指揮命令をし得る立場にある人(組織図を作成した場合、縦のラインにあたる人)は、条件を満たしておらず支援責任者や支援担当者になることはできません。

よって、一人親方や社長と数人の社員だけという小さな建設会社の場合ですと、中立性を保った支援体制を構築するのことはほぼ不可能ですので、登録支援機関に支援業務を委託することで『支援の中立性』という基準をクリアすることになります。

なお、登録支援機関への委託費用として2~3万円/月ほどの費用が発生します。登録支援機関に委託する支援の内容やどの登録支援機関に委託するのかで料金は異なりますので、実際に何社かに問い合わせてみるとよいかもしれません。

なお、当事務所でも登録支援機関をご紹介できますので、お問い合わせ下さい。

②適切な支援計画が立てられていること(支援計画書の作成)

受入機関となる一人親方は、特定技能外国人を支援するための支援計画を策定し、その支援の内容を記載した『1号特定技能外国人支援計画書』という書類を作成し、特定技能のビザ申請時に出入国在留管理庁へ提出します。

この『1号特定技能外国人支援計画書』は、当該外国人が十分に理解できる言語の翻訳をつけ、かつ余すことなく理解出来る言語で本人に説明をしたうえで、署名を得る必要があります

なお、『1号特定技能外国人支援計画書』の作成は、仮に登録支援機関にすべての支援業務を委託している場合でも、特定技能外国人を受け入れる一人親方が作成を行う必要があります(登録支援機関のサポートを受けること自体は問題ありません)。

支援計画のには、必ず行わなければならない『義務的支援』と、行うことが望ましいとされる『任意的支援』の2つの支援業務があり、そのうち『義務的支援』は、支援計画を作成するにおいてが最低限満たすべき基準であると言えます。

こちらの内容については、別の記事『特定技能外国人の支援計画について』で紹介しておりますので、よろしければ参考にしてみてください。 

なお、受入機関である一人親方がこの支援計画の定める基準に適合しなくなった場合は、その一人親方の元での就労は『不法就労』に該当することになり、処罰の対象となる可能性があります。

そして、雇用主が外国人を雇用することが困難となった日から14日以内に、入管へその届出をしなければなりません。

この届出を怠った場合、過料を科せられる他、届出を怠ったこと自体が雇用主として失格とみなされ、外国人労働者(特定技能外国人)を5年間受け入れられなくなりますので十分注意しなければなりません。

 外国人労働者を雇用するには、以下3つの義務を負うことになります。

1.外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
2.外国人への支援を適切に実施すること(登録支援機関に委託することも可)
3.出入国在留管理庁へ各種届出を行うこと

これらの義務を怠ると、外国人労働者の受け入れが不可能になるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受ける可能性があるので注意が必要です。

さらに、建設業における固有の基準として、国土交通省より『建設特定技能受入計画』の認定を受けることが求められています。

建設分野においては、外国人材の雇い入れるにあたり、建設技能者全体の処遇改善やブラック企業の排除といったこと考慮しており、そのため特定技能における他の分野共通の基準に加えて、建設分野の特性を踏まえて国土交通大臣が定める基準も満たす必要があります。

そもそもこの建設分野特有の基準を設けた背景には、建設業における技能実習生の失踪者数の多さというものがあります。

実は、建設分野における技能実習生の失踪率は他の特定技能における分野と比較しても高く、失踪率が全分野で約2.1%に対し約8%と4倍近い数字となっており、失踪した技能実習生が別の現場で不法に就労するなど業界としてもかなり問題視されています。

そして失踪の主な原因と考えられているのが労働法令違反で、実に技能実習実施企業の約8割が違反していると言われており、その内容として賃金台帳の未整備、割増賃金に関して、賃金の未払いなどが挙げられています。

これらの状況を改善するべく作られた建設業独自の仕組みが『建設特定技能受入計画』で、建設分野においては特定技能における他の分野共通の基準に加えて、建設分野の特性を踏まえて国土交通大臣が定めたこの独自の基準も満たさなければなりません。

こちらの詳細は、別の記事で解説しておりまので、よろしければ参考にして下さい。

建設特定技能受入計画』が認定されるためには、以下のような基準を満たす必要があります。

建設業法の許可を受けていること

☑建設キャリアアップシステムの事業者登録および特定技能外国人を建設キャリアアップシステムに登録すること

協議会と呼ばれる外国人の受け入れに関する建設業者団体(JAC)またはJACの正会員となっている全国建設業協会全国 中小建設業協会などに加入すること

☑国内人材確保に努めていること(ハローワークに申請した求人申込書の提出)

☑日本人と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能習熟(勤続年数)に応じて昇給を行う契約を締結していること

☑給与の支払形態は月給制で銀行振り込みになっていること

☑特定技能外国人の受入れ人数が常勤職員の数を超えないこと。

☑安全衛生教育の実施、技能に関する適切な教育機会を提供すること。

☑特定技能外国人の受入後、FITSによる受入後講習を受講させること

☑特定技能外国人の受入後、FITSにより巡回指導による確認を受けること 等

建設分野において特定技能外国人を受け入れる企業は、建設業法第3条の許可(建設業許可)を受けている必要があり、通常であれば、請負代金が500万円未満(税込)の建設工事であれば、建設許可を受けなくても請け負うことが可能ですが、特定技能外国人を雇い入れるためには、建設業許可を受けていることが要件になります(建設業許可の種類と受入予定の特定技能外国人が従事する職種が一致している必要はなく、何らかの建設業許可を取得して入れば特定技能の受け入れが可能です)。

次に『建設キャリアアップシステム(CCUS)』への登録ですが、事業者登録技能者登録の2つの登録が必要となり、企業自体の事業者登録をした後、雇い入れる特定技能外国人を技能者として『建設キャリアアップシステム(CCUS)』に登録しなければなりません。

そして、建設業で特定技能外国人を雇う会社はすべて『JAC(建設技能人材機構)』または、JACの正会員である建設業者団体に加入しなければならず(JACの賛助会員になるか、JACの正会員である建設業者団体の会員となるかを選択できる)その何れかの団体に加入することで間接的にJACの会員になることができ、JACへの加入という要件を満たすことができます。

また、『JAC(建設技能人材機構)』は本来担うべき役割の一つである『適正就労監理』についてFITS( 一般財団法人国際建設技能振興機構) に委託しており、特定技能外国人の受入企業には、スタートアップセミナー(受入後講習)の受講とFITSによる定期巡回指導の協力が求められます。

なお、受入建設企業単位での受け入れ人数枠の設定についてですが、建設業の場合、特定技能外国人および特定活動で働く外国人建設就労者の人数は、所属する機関の常勤職員の人数を超えることは認められておりません。

よって、一人親方の場合、常勤しているのは自分1人ですので、雇用できる外国人労働者は最大でも1人までとなります。

その他にも、受入企業は特定技能外国人に対し、危険有害業務に従事する可能性やそれに伴う安全衛生教育を実施する義務があり、例えば、鉄筋工における玉掛け技能講習等、職種ごとの能力評価基準に定める安全衛生教育を受講させ、雇い入れからなるべく早い段階で建設キャリアアップシステムにおけるレベル2相当の教育を行う必要があります。

また、受入企業が特定技能外国人を雇い入れる前に、適切な労働条件を提示して求人活動を行っているという事実も確認されることになり『建設特定技能受入計画』の認定申請をする際に、直近1年以内にハローワークに申請した求人申込書の提出が求められます

最後までご覧いただきありがとうございました。

一人親方が外国人労働者を雇用するには、一人親方は雇用主(受入機関)として、大枠の3つの基準(雇用契約を結ぶ上で満たす基準受け入れ機関自体が満たすべき基準支援体制を構築する上で満たすべき基準)を満たしたうえで、外国人労働者(特定技能外国人)を雇用する際の手続きを行う必要があります。

そして、建設業での外国人労働者(特定技能外国人)の受入れ条件は、他の特定技能の業種に比べてとりわけ複雑になっており、特に国交省による上乗せ基準(JACのような協議会への加入等)が、その手続きの煩わしさにより一層拍車をかけています。

また、雇用主(受入機関)の義務を怠ると、外国人労働者の雇用自体がを認められなくなってしまう可能性もありますので、雇用主としての受入体制がしっかり整っているか、雇用する前段階での確認が必要となります。 

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所では、建設業者様が特定技能外国人を雇用するために必要な申請業務をサポートしております。

また、建設業許可申請もオンライン(JCIP)にて全国対応しております(大阪・兵庫・福岡を除く)。

お問い合わせフォーム、お電話、LINE@にて初回限定の無料相談サービスも行っておりますので、是非一度ご相談下さい。

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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