登録支援機関への支援業務委託についてわかりやすく解説

特定技能

こんにちは。行政書士の稲福です。

この記事では、特定技能外国人の支援を行う『登録支援機関』の支援業務の内容や登録支援機関に支援業務を委託する必要性の有無、委託するメリットについてわかりやすく説明したいと思います。

特定技能外国人の雇用を検討しているまたは既に雇用されている企業様の参考になれば幸いです。

登録支援機関とは、外国人労働者(特定技能外国人)の受入機関である雇用主に代わって、雇用する外国人労働者の支援を行う機関です。

外国人労働者(特定技能外国人)を雇用する場合には、雇用主である受入機関は支援計画を策定し、それに基づき、職場や日常生活において外国人労働者に対する支援を行う義務があります。
 

ただしこの支援業務は、『支援計画書』という書類の作成をはじめ専門的な知識も必要になるケースもあり、これらの業務をすべて雇用主である受入機関で行うことはなかなか大変です。

そこで登録支援機関が受入機関に委託されされる形で、外国人の支援を代わりに行います。

つまり、登録支援機関は、外国人労働者(特定技能外国人)の雇用主である受入機関に代わって、『支援計画の策定』『支援計画に基づいた支援の実施』などを代わりに行うなど、受入企業をサポートしてくれる機関のことを指します。

登録支援機関は、支援計画に沿った支援(義務的支援任意的支援)を受入機関と外国人労働者(特的技能外国人)との間に立った中立的な立場で適切に行う機関です。

そして、特定技能に係る手続きや特定技能外国人の業務や日常生活のフォローを行い、企業と外国人の認識のミスマッチをバランスよく解消し、外国人労働者がトラブルを抱えることのなく働ける環境づくりを行うために様々なサポートを行います。

登録支援機関の支援内容は大きく分けて以下の三つになります。

支援計画の策定(支援計画書を登録支援機関自体が作成することは不可)
支援計画に基づいた支援(義務的支援/任意支援)の実施
出入国管理庁への定期的な届け出(定期届出)および契約内容等の変更の届出(随時届出)

ここで注意が必要なのは、支援計画書の作成は登録機関が行うことはできず、受入企業が登録支援機関に支援業務の全部を委託していても、受入企業または行政書士が作成する必要があります。もちろん登録支援機関が助言や補助を行うこと自体は問題ありません。 

また、支援計画書は外国人労働者(特定技能外国人)が十分に内容を理解できる言語で作成することが必要で、本人に支援内容を理解できるように説明をしたうえで署名を得る必要があります。 

なお、支援業務の内容(義務的支援任意的支援)については別の記事で取り上げているので、よろしければ参考でにして下さい。

それでは、外国人労働者(特定技能外国人)を雇い入れたいと考えている雇用主にとって、登録支援機関を活用することによるメリットですが、以下の三点に集約されます。

☑支援計画適正実施確保基準が満たされる
☑マンパワーの節約になる
☑支援実施状況に係る届出提出が不要となる

支援計画適正実施確保基準が満たされる

外国人労働者(特定技能外国人)を雇用する場合、雇用主である受入機関には外国人を支援する体制があり、支援の中立性が保たれ、そして支援計画が適切であること、つまり『支援計画適正実施確保基準』を満たしていることが求められます。

したがって、外国人労働者(特定技能外国人)の支援計画の実施が自社のみで支援が難しい場合、これらの必要な支援の全部を登録支援機関に委託することで、「支援計画適正実施確保基準」を満たしていると判断されます。つまり、外国人を支援する体制があるとみなされ、支援義務を負わなくなります。

ここで注意しなければならないのは、支援業務の全部を委託する必要がり、支援業務の一部のみを委託する場合には、自社で支援体制を整えておく必要があります。

マンパワーの節約になる

外国人労働者(特定技能外国人)に対する支援内容は多岐にわたり、これらの支援を自社で実施するには、この業務を行うマンパワーを確保する必要があります。

特に初めて外国人を雇用しようとする場合には、この支援体制を構築するまでにも相当なワンパワーと時間を要します。

これらの支援業務を登録支援機関に全てを委託すれば、必要な支援を代行してくれるので、受入機関である雇用主はより本業に専念することができるようになります。

支援実施状況に係る届出(定期届出/随時届け出)提出が不要となる

受入機関である雇用主は、3か月に一度出入国管理庁へ①特定技能外国人の受入れ状況に係る届出、②活動状況に関する届出、③支援計画の実施状況に関する届出を出す必要があります。

しかし、登録支援機関に支援を委託した場合は登録支援機関が提出するため、雇用主である受入機関による提出は不要となります。

全ての支援業務を委託する必要があるケース

外国人労働者(特定技能外国人)を雇い入れるにあたって、雇用主である受入機関として構築しなければならない支援体制は①支援体制が整っていること②支援の中立性が保たれていること、そのうえで、前述の③適切な支援計画が立てられていることの三つの基準をクリアする必要性があります。

そして、①支援体制が整っているという基準を満たすためには、少なくとも以下の2点のいずれかをクリアする必要があります。

直近2年で外国人労働者(中長期滞在者)の受け入れ実績がある
直近2年で外国人労働者(中長期滞在者)への生活相談に従事した職員がいる

つまり、初めて外国人労働者(特定技能外国人)を雇い入れるという受入機関は、登録支援機関へ支援業務の全部を委託しなければなりません(※ただし、直近2年で外国人労働者<中長期滞在者>への生活相談に従事したことのある者を従業員として雇い入れた場合には基準を満たすことになるので除く)。

そして、①支援体制が整っていること ②支援の中立性が保たれていること の2つの基準を満たした上で、前述の③適切な支援計画が立てられていることに関しても、特定技能ビザ申請時に提出する『支援計画書』の中身を出入国管理庁からしっかりと審査されることとなります。

支援業務を自社で実施できる事例

前述のとおり、登録支援機関へ支援業務を委託せず、自社で外国人労働者(特定技能外国人)の支援を実施できるケースは、①支援体制が整っていること ②支援の中立性が保たれていること適切な支援計画が立てられていることの三のつの基準をクリアできる場合です。

つまり、直近2年以内に外国人労働者の受け入れ実績があり(または相談業務に従事した職員がおり)、支援責任者(支援担当者)が社内におり、支援の中立性が保たれる組織体制があり、そしてルールに基づき支援計画の策定から実施までの支援体制が整っている企業に限られることになります。

その一方で、三つの基準はクリアしているが、義務的支援の全てを実施するためのマンパワーがないという企業に関しては、一部の支援業務のみを登録支援機関へ委託することも可能です。

このケースにおいては、支援計画書での登録支援機関へ一部委託する範囲を明らかにしておく必要があります。

前述のとおり支援業務を自社で内製化するとなると、かなりのマンパワーが必要になってきますので、従業員の負担軽減のために登録支援機関へ委託業務の全部を委託する企業が多くなってきているようです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

それでは、最後に登録支援機関についてポイントを整理しましょう。

☑登録制機関とは、雇用主(受入機関)に代わり外国人労働者(特定技能外国人)の支援を実施する機関

☑登録支援機関の支援内容は以下の三点
●支援計画の策定(支援計画書は作成は不可)
●支援計画に基づいた支援(義務的支援/任意支援)の実施
●出入国管理庁への定期的な届け出(定期届出)および契約内容等の変更の届出(随時届出)


☑登録支援機関に支援業務を委託するメリットは以下の三点
●支援計画適正実施確保基準が満たされる
●マンパワーの節約になる
●支援実施状況に係る届出提出が不要となる


☑以下の基準をクリアしていなければ、登録支援機関に支援業務の全部を委託しなければならい
支援体制が整っていること
支援の中立性が保たれていること
適切な支援計画が立てられていること


☑特定技能外国人の支援体制が整っていない場合、登録支援機関に支援を全部委託することで、要件となる「支援計画定期性実施確保基準」が満たされる

外国人従業員(特定技能外国人)の雇い入れ雇用を検討する場合、支援を自社で行うのか、それとも登録支援機関へ委託するのがよいのか、その判断をする上での参考にして頂ければ幸いです。

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所では、建設業者様が特定技能外国人を雇用するために必要な申請業務をサポートしております。

また、建設業許可申請もオンライン(JCIP)にて全国対応しております(大阪・兵庫・福岡を除く)。

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この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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