こんにちは、行政書士の稲福です。
この記事では、特定技能1号への移行準備のための特例措置である在留資格『特定活動(6か月・就労可)』についてわかりやすく解説したいと思います。
建設分野で特定技能1号の在留資格の取得を目指しているものの、国交省への認定申請と入管への在留資格変更許可申請に必要な書類の準備に時間がかかり、現在の在留期限が迫っている状況に対応するため、「特定活動(6ヶ月・就労可)」という在留資格が用意されています。
この記事では、在留期間満了日間近での転職や準備期間を要する建設業分野での国交省への申請などの在留期限までに申請が間に合わないという不安を解消し、安心して特定技能1号への移行準備を行うための制度についてわかりやすく解説します。
特定活動(6か月・就労可)の制度について

この制度は、例えば自社で雇用している外国人技能実習生が、在留期間満了後も引き続き就労するために特定技能への変更を希望する場合において、申請人本人や雇い入れる企業で準備すべき書類が在留期限までに間に合わず、在留期間中に変更の申請ができない人たちのために作られた制度で、「特定技能1号」へ在留資格の変更予定の外国人材に対する特例措置という位置づけとなっております。
このように「特定活動(6か月・就労可)」は、企業の人手不足を改善するために、一定の専門性や技能を有する外国人に対し、特定技能1号の変更申請の準備に時間を要する場合に与えられるの在留資格で、2024年1月9日以降の申請から「特定技能1号」への移行準備のための在留期間が6か月(従前は4か月)に延長されました。
特に建設分野においては、事前に建設キャリアアップシステムに登録したり建設業者団体に加入したり、「建設特定技能受入計画」作成し国交省の認定申請を行うなど多くの手続きが必要となるため、4カ月だと移行準備の期間が足りないという指摘や意見から6カ月に延長されたとされております。
また、在留期間満了日間近での転職であったため、「建設特定技能受入計画の認定申請が間に合わない」「事前ガイダンスが行えない」「提出する書類を揃えることができない」など、特定技能1号ビザへの変更申請が在留期間満了日までに間に合わないと登録支援機関や所属機関が判断した場合、この「特定活動(6か月・就労可)」を申請をし、必要書類の準備期間中も就労を継続できるようにするための制度です。
それでは、制度の概要について詳しく解説していきたいと思います。
制度の概要について
まず、この制度のおさえておくべきポイントは大きくわけて以下の4つになります。
☑特定技能1号での就労予定の受入れ機関での就労が可能となる
☑在留期間は6ヶ月
☑やむを得ない事情がある場合に原則1回限りの更新が可能
☑特定活動(6か月・就労可)の在留期間は特定技能1号の通算在留期間(5年)に含まれる
前述しましたとおり、2024年1月9日以降の申請から「特定技能1号」への移行準備のための在留期間が6か月(従前は4か月)に延長され、必要書類の準備期間中も就労予定の所属機関で働くことができます。
そして、「特定活動(6か月・就労可)」の在留資格を取得することにより、在留資格の切れ目なく継続的な就労が可能となり、特定技能1号への移行準備期間を確保しながら予定している受入れ機関での実務経験を積めるという大きなメリットを得ることができます。
なお、この特定活動の在留資格での期間は、特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれるという点と、特定活動での在留中に受入れ機関を変更すること(例えば単なるキャリアアップや給料を上げたいといった理由からの転職での変更)はできないという点は注意が必要です。
ただし、上記のようなケースにおいても、外国人の方の責任では無い場合、例えば勤務先の会社が倒産してしまったなど、やむを得ない事情がある場合においては例外的に変更申請が可能となります。
在留期間について
特定活動(6ヶ月・就労可)の期間は、将来の特定技能1号の通算在留期間である5年に算入されるため、特定技能1号として4年6ヶ月以上在留している方は申請できません。
というのも、特定活動ビザは特定技能1号への移行が前提となるため、すでに4年6ヶ月以上在留している人は対象とならず、仮に特定活動で6ヶ月の在留期間が新たに与えられたとなると、特定技能1号の最大在留期間5年を超えることになってしまうからです。
また、残りの特定技能1号における通算在留可能期間が8ヶ月以上あることも推奨されております。
特例措置適用の要件について

申請者に求められる要件
特定活動(6ヶ月・就労可)の申請にあたって、申請人は以下の要件を満たす必要があります。
①在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があること
②特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること。※技能実習2号良好修了者等として試験免除となる場合も含む。
③申請に係る受入れ機関(勤務先)との契約に基づいて在留資格「特定技能1号」で従事する予定の業務と同様の業務に従事すること
④特定技能外国人として就労する場合に支払われる予定の報酬と同額であり、かつ、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること
①の合理的な理由の説明については「受入れ機関が作成した説明書」でその理由を記載します。
こちらが説明書のサンプルになります。
受入機関に求められる要件
つぎに受入れ機関ですが、以下の5つの要件を満たす必要があります。
①申請人である特定技能外国人を適正に受け入れることが見込まれるていること
②申請人の在留中の日常生活等に係る支援を適切に行うことが見込まれること
③特定技能1号での雇用を前提とした雇用契約を結んでいること
④申請人の在留資格変更許可申請を予定していること
⑤自社の日本人従業員が従事する場合と同等以上の報酬額を支払うこと
まず、『①申請に係る受入機関が、申請人を適正に受け入れることが見込まれること』に関しては、以下のすべてに該当している必要があります。
☑労働、社会保険、租税に関する法令を遵守していること
☑前科、暴力団関係等に該当しないこと
☑技能実習16条1項の規定により実習認定を取り消された者ではないこと
☑受入れ機関及びその役員が5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をしたことがないこと
また、『②申請人の在留中の日常生活等に係る支援を適切に行うことが見込まれること』に関しては、
☑過去2年間に在留資格「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」などの外国人の受入れ又は管理を適正におこなった実績があること。
☑受入れ機関の役職員の中から、過去2年間に在留資格「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」などの外国人の生活相談に従事した経験がある者を申請人の在留中の日常生活等に係る支援をおこなう責任者および担当者として選任していること。
☑申請人の在留中の日常生活等に係る支援をおこなうことについて登録支援機関に委託していること。
が必要となります。
なお、登録支援機関に支援委託をする場合は、「特定技能1号へ移行するための特定活動」の変更申請前に登録支援機関と支援委託契約を結んでいなければなりません。
就労するにあたっての条件について

就労できる範囲について
特定活動(6ヶ月・就労可)では、以下の範囲での就労が認められます。
☑特定技能1号で予定している同一の業務に従事すること
☑同一の受入れ機関での就労であること
☑予定している特定技能1号の活動と整合性のある業務であること
なお、前述のとおり、この在留資格での在留中に受入れ機関を変更することはできないのが大原則としてありますが、申請人の責めに帰すべき事由によらない場合や従前の受入れ機関での就労が困難となった場合、その他にも申請人が受入れ機関の変更を希望する合理的な理由がある場合は例外として認められる可能性があります。
この場合、特定技能1号へ移行するための特定活動ビザで在留中に現在の受入れ機関を変更して、別の受入れ機関に転職するには、改めてこの特定活動への変更申請をする必要があります。
雇用条件について
雇用条件については、以下の要件を満たす必要があります。
☑特定技能1号として就労する場合と同額以上の報酬であること
☑日本人が従事する場合の報酬と同等以上であること
☑労働関係法令を遵守した雇用契約であること
☑社会保険の適用など、法定の福利厚生が確保されていること
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。
特定活動1号の申請(特に建設分野)においては、申請準備までの準備に多くの時間を要するため、この「特定活動(6か月・就労可)」は特定技能1号への在留資格を移行を円滑に行うため、とりわけ重要な役割を果たしているといえます。
なお、技能実習生や留学生が、「特定活動(6か月・就労可)で在留資格を一時的に得られる特例措置は、特定技能1号への変更を予定している人を対象とした制度ですので、技能実習の在留期間満了後、国内で就労しないのであれば受けることができないという点は注意が必要です。
また、「特定活動(6か月・就労可)の在留資格では就労することも可能ですが、その後「特定技能1号」への在留資格変更許可申請も必要となってきますので、特定技能への移行が決まったら、できるだけ早めに準備を整え申請手続きを行うようにしましょう。
さいごに
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所では、建設業者様が特定技能外国人を雇用するために必要な申請業務をサポートしております。
また、建設業許可申請もオンライン(JCIP)にて全国対応しております(大阪・兵庫・福岡を除く)。
お問い合わせフォーム、お電話、LINE@にて初回限定の無料相談サービスも行っておりますので、是非一度ご相談下さい。



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