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建設業で『技術・人文知識・国際業務』の在留資格で働くには?わかりやすく解説

建設業

こんにちは、行政書士の稲福です。

この記事では、外国人材が、建設業で『技術・人文知識・国際業務』の在留資格で働くための要件等について詳しく解説したいと思います。

近年、人手不足が深刻化している日本の建設業界では、外国人労働者の活躍がますます重要になっていますが、外国人が日本で合法的に建設業で働くためには、適切な在留資格が必要となります。

そして、外国人材が日本の建設業界で就労する方法の一つとして、『技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)』という在留資格がありますが、この在留資格は、専門性の高い業務に従事する外国人材向けのもので「建設業=現場仕事」というイメージが強いため、技人国と建設業が結びつかないと感じる方も多いかもしれません。

そこでこの記事では『技人国』の在留資格で建設業で就労するにはどうすればいいのか、その要件や注意点をわかりやすく解説します。

建設業で就労できる在留資格の種類について

建設業で外国人が就労できる在留資格は、仕事内容やスキル、学歴などに応じて複数あります。以下に主な在留資格をわかりやすくご紹介します。

☑技能実習
☑特定技能
☑技術・人文知識・国際業務

☑高度専門職
☑経営・管理
☑技能
☑身分系の在留資格
☑資格外活動許可保持者

技能実習

『技能実習』は、技能実習生が日本で習得した技術や知識によって本国の経済発展を図るための人材のための育成制度で、技能実習生となるためには、技術や知識を習得できる年齢(18歳以上)であればよく、学歴要件は特にありません。

☑目的:日本で技術・技能を学び、母国の発展に貢献するため。
☑特徴:
●監理団体・実習実施者(企業)が必要。
●実習生として一定期間(最大5年)就労可能。
●単純労働も可能。
●建設分野では職種・作業が限定されている(例:型枠施工、とび、内装仕上げなど)。

なお、技能実習2号を良好に修了することにより、特定技能1号へ移行することが可能となります。

特定技能

『特定技能』は日本で十分な人材を確保できない産業分野で、相当程度の専門分野の知識や経験を必要とする技能をもつ外国人を受け入れる制度です。

「特定技能」の在留資格を取得するためには、技能実習2号を良好に修了する、または特定技能評価試験と日本語試験に合格する必要があります。

☑目的:一定の専門性・技能を持ち、即戦力として働く外国人材の受け入れ
☑特徴:
技能評価試験および日本語試験(JLPT N4相当)に合格が必要
●最大5年間の在留が可能(更新制)
●業務範囲:型枠、とび、左官、配管、建設機械施工など全11職種
●『建設特定技能受入計画』の認定が必要
●受入企業は「建設業許可」などの要件を満たす必要あり

技術・人文知識・国際業務

『技術・人文知識・国際業務』は、専門的な知識やスキルを持つ外国人が、日本国内での就労を行うための在留資格で、専門的な知識や技術を活かした職種(例:エンジニア、通訳、企画・マーケティング)に限り認められております。

☑目的:専門的知識や技術を用いた業務に従事するため。
☑特徴:
●大卒相当の学歴、または実務経験が必要
●技術職(施工管理、設計、CADオペレーターなど)としての就労が可能
●単純作業や現場作業のみは不可
●建設コンサルタント、技術系総合職などに多い

高度専門職

☑目的:高度な専門性・技術を有する外国人を優遇する制度。
☑特徴:
●ポイント制による審査(学歴・年収・職歴など)
●在留期間が長くなりやすく、永住申請にも有利。
●建設分野では、建築士、都市計画の専門家などが対象になりうる。

経営・管理

外国人が日本で事業を開始したり、既存の会社を経営・管理するための在留資格で、建設業においては、建設会社の代表取締役、事業部の統括責任者、管理部門の本部長 などが対象となります。

☑目的:会社の経営や管理に従事するため。
☑特徴:
●建設会社の経営者・役員などが対象
●事業計画・資本金・事務所などの要件を満たす必要あり

技能

「技能」ビザは外国に特有の建築や土木についての技能を必要とする仕事に従事する場合に取得します。外国に特有の建築とは、ゴシック建築、バロック建築、ロマネスク建築、中華建築などです。

「技能」ビザを取得するためには、外国特有な建築・土木の10年以上の実務経験(学校で建築・土木を専攻した期間を含む)または、そうした外国人の指揮監督下での5年以上の実務経験が必要です。

『身分系』の在留資格

『身分系』の在留資格とは、在留活動に制限がなく、自由に職業選択や転職ができる在留資格のことを指し、建設業でも、もちろんこれらの在留資格を持っている外国人は働くことができます。

なお、身分系の在留資格には、『永住』、『永住者の配偶者』、『定住者』、『日本人の配偶者』等があり、これらの在留資格は、建設現場での単純労働や技能職を含む、全職種・全作業に従事可能です。雇用主や配偶者の有無に関係なく、勤務時間や職種に制限はありません。

そして、これらの在留資格を持つ外国人は、建設現場の作業員、職人、ドライバー、施工管理など、どんな職種でも就労可能で、特定技能や技能実習のように受入計画や試験、登録支援機関の関与は不要となります。

このように『身分系』の在留資格を持っている外国人材は、建設業において非常に柔軟に雇用できるため、受入れ企業にとっても雇用のハードルが低く、即戦力として期待されることが多いです。

『資格外活動許可』保持者

『資格外活動許可』とは、本来の在留資格で認められた活動以外の「副業的な活動」を一部認める制度で、留学生がコンビニでアルバイトする、家族滞在者がパートで働く等のケースが該当します。

注意点として、就労形態はアルバイト・パートに限られ、常勤(正社員)として働くことはできず、また、週28時間を超えて就労すると資格外活動違反となり、強制退去のとなる可能性もあります(留学生が学業そっちのけで働いている等、主たる活動の妨げになっていると見なされ、在留資格取消の対象となる)。

また、建設業においては、資格外活動で高所作業や建設機械の操作は原則NGとなっている点は注意が必要です

以下のケースが、資格外活動許可の対象となりますが、受入れ企業は、まず外国人材が『資格外活動許可』を得ているか、しっかり確認をしましょう。

留学

●日本語学校、専門学校、大学に在籍している留学生
●週28時間以内(学校が休みの期間は1日8時間まで)
●工事現場などの単純労働も可能
●ただし、学業を妨げない範囲で、かつ危険作業や専門性の高い業務は不可の場合あり

② 家族滞在

●留学生や就労ビザ保持者の配偶者や子
●資格外活動許可を取れば、パート・アルバイトとして就労可能
●時間制限あり(原則週28時間以内)

③ 特定活動(インターンシップや就職活動等)

●業務内容や条件に応じて、建設業での軽作業に従事することも可
●特定の内容(例:大学卒業後の就職活動中)で資格外活動が認められることがある

建設業における『技術・人文知識・国際業務』について

『技術・人文知識・国際業務』は、以下のようなホワイトカラー業務が対象とした在留資格です

技術分野(例:土木・建築・機械・電気などの工学系の設計や開発)
☑人文知識分野(例:法律、経済、社会学などに基づく業務)
☑国際業務(例:語学を活かした翻訳・通訳、貿易関連業務など)

つまり、専門的な知識や技術を必要とする業務に外国人が従事することを想定した在留資格で、現場作業員(ブルーカラー)としての就労は認められておりません。

また、大卒や専門学校卒など一定の学歴・実務経験が必要となり、設計や施工管理、CADオペレーター、事務職などで就労することを想定しております。

『技人国』在留資格取得の要件

建設業で『技人国』の在留資格を取得するためには、学歴や実務経験に関する要件をはじめ、在留資格該当性、報酬に関する要件、雇用契約に関する要件、業務内容に関する要件等があります。

以下、それぞれの要件について解説していきます。

学歴または実務経験があること

まず、学歴に関する要件ですが、大学・短大・専門学校を卒業し、かつ建築や土木、工学などを専攻していたことが求められております。

もし、学歴がない場合、原則10年以上の実務経験が必要(分野に関連性が必要)となりますが、実務経験には、建築士の補助経験なども含まれることがあります。

なお、実務経験のうち5年が証明できれば要件を満たすとされる場合もあります。

在留資格(技人国)該当性があること

次に、在留資格『技人国』の該当性ですが、現場作業ではなく、専門的な知識や技術を必要とする業務に従事することが求められています。

建設業において、就労が認められている業務は以下のようなものがあります。

設  計・・・CADを使った設計業務、構造計算や建築法規の検討、建築図面作成補助など
施工管理・・・建築プロジェクトの計画・管理、現場監督、工事のスケジュール・安全管理
積算・見積り・・・技術的知識を要する内勤業務
技術事務・・・インフラ開発等技術提案、工事に必要な技術資料の作成、工事報告書作成、計画書作成 等

設計ですと、CADオペレーターは、パソコンのソフトで建物を設計する専門職であり、建築士の描いた図面を読み取る能力と、CADを操作するスキルが必要となっており、また建設法令や、建設についての専門用語の知識も必要です。

また、施工管理は現場のスケジュールや品質などを管理し、現場監督は現場で職人をまとめて指揮を執りますので、ともに現場での監督・管理を職務内容とするので、土木・建築に関する高度な専門的知識がなければできない職務となります。

ただし、施工管理者として現場に「立ち入る」ことは可能ですが、常に現場にいて作業してたり、資材運びや配管工事などをしているといった状態は、在留資格の範囲外労働に該当するため、 指示・監督業務に限定し、作業は絶対に行わせないことが重要です。

その他にも、建設業の事務職には、総務、人事、経理、会計、法務、マーケティングなど、さまざまな職種があったり、営業職は工事案件の獲得を担当し、建設・建築などの自然科学系の知識や、会社の経営やビジネスに直結する法務、経済、経営、会計などの人文知識が必要になります。

これらは、いずれも高度な専門的知識や技術や人文知識が必要となる職種であり、『技人国』の在留資格が取得できる可能性が高いです。

なお、職務内容は、労働条件通知書にしっかり明記する必要があります。

日本人と同等以上の報酬を受けること

建設業に限らず、『技人国』の在留資格で外国人を雇用するにあたって特に重要なのが、報酬(給与等)の条件ですが、単に業務内容が専門的であれば良いのではなく、待遇面にも正当性が求められ、報酬は「日本人と同等以上」である必要があります。

これは、入管法に基づいた基本ルールで、外国人であることを理由に不当に低い給料で雇うことを防ぐために設けられた条件であり、外国人だから安く使うという考え方は絶対にNGで、公平な雇用条件を整えることが在留資格の許可にもつながります。

具体的には、同じ職務内容に就いている日本人社員と比較して、同等またはそれ以上の給与を支払うことが求められており、月給・年収・賞与・諸手当などを総合的に判断されることになります(これら待遇面での条件は、労働条件通知書に明記されている必要があります)

建設業においては、企業規模や地域差にもよりますが、例えば建設設計職や施工管理職などの技術者であれば、年収350〜450万円程度以上がひとつの目安となります。

継続的な雇用契約があること

『技人国』の在留資格で外国人材を採用するためには、継続的な雇用契約があることが重要な要件のひとつです。

そして、「継続的な雇用契約」とは、単発・短期の契約ではなく、ある程度長期にわたる安定した就労契約を結んでいることを意味します。

具体的には、雇用主(建設会社)が正社員や契約社員として安定的に雇用する意思があることを示すため、契約期間が「3か月」や「半年」ではなく、原則として1年以上の契約期間が望ましいとされております(または更新の見込みがあること)。

なお、出入国在留管理庁は、技人国の審査において、外国人が日本で継続して安定的に生活・就労できること、または企業がその人材を専門性のある立場で継続的に雇用する意思があるかを重視していおります。

建設業の場合、「プロジェクトごとに雇用される」ケースもありますが、技人国ではこのような不定期の雇用形態は適していないので注意が必要です。

技人国で就労する際の注意点

『技人国』は、専門知識や技術を活かしたホワイトカラーの職種に就く外国人材を対象とした在留資格であるため、建設業でもこの在留資格で就労することは可能ですが、重要な注意点があります。

まず、『技人国』の在留資格で雇い入れた場合、実際の仕事内容が申請内容(専門知識や技術を活かした職種)と一致している必要があります。

よって、現場作業員としての就労は、専門知識や技術を活かした職種ではない『資格外活動』となるため偽装就労と判断され、受入れ企業は不法就労助長罪に問われる可能性があります。

実例としては、例えば、施工管理名目で現場に常駐し実質作業を担当したり、また、設計職で採用したが、設計の仕事がなく現場応援へ行く等のケースがあります。

この場合、前者は、「管理」と称していても、実態が日常的な現場作業なら不許可・取消しの対象に、そして、後者は、一時的な人手不足でも、資格外活動として違法行為とみなされる可能性があります。

なお、もし偽装就労による資格外活動とされた場合、外国人本人は、『不法就労罪』となり5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科され、在留資格の取り消しの対象となります。

そして、受入れ企業側も『不法就労助長罪』に問われ、5年以下の懲役または500万円以下の罰金(または併科)が科される可能性があります。

不法就労助長罪は、就労できない外国人材を雇用してしまったり、在留資格で認められていない業務に従事させていると見なされた際の受け入れ企業への罰則で、資格外活動について知らなかったとしても、身分確認を怠っていたと見なされ、罰則の対象とされます。

また、付随業務として、現場作業が発生する場合のバランスにも注意が必要です。

現実には、施工管理などの技術職でも現場に出る機会があることは珍しくありませんが、業務の主たる部分が「管理・設計・技術支援」であることや、「作業補助」や「現場での指示」などが業務の補足であることが明確でないと、入管から「単純労働なのでは?」と疑われてしまいますので注意が必要です。

『技人国』で現場作業をさせる偽装就労の実態について

建設業界では深刻な人手不足を背景に、外国人材の雇用が進んでいますが、本来許されない形で外国人を働かせている「偽装就労」が問題となっています。

というのも『技人国』ビザは本来専門知識や技術を活かしたホワイトカラー向けの在留資格ですが、そのことを知りながら、実際には単純労働の現場作業に従事させている企業の存在が問題になっています。

しかし、この「技人国」偽装就労によっ、て外国人と企業の双方が重大な法的リスクを抱えているということを認識しなければなりません。

建設現場での『技人国』偽装就労の実態とそのリスクについては、別の記事で解説しておりまので、よろしければ参考にしてください。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

この記事では、建設業で『技術・人文知識・国際業務』の在留資格で働くために必要な要件を中心に解説しました。

「建設業界=単純労働」ではなく、実際には多くの技術・知識を要する専門職があり、外国人が「技人国」の在留資格で就労するには、学歴・職歴・業務内容の専門性が鍵です。

同時に、建設業で外国人を雇用するには、在留資格に応じた職種や業務内容の把握が不可欠で、不適切な雇用は不法就労につながり、一歩認識を誤ると、企業側にも大きなリスクがあります。

特に「特定技能」や「技人国(技術・人文知識・国際業務)」などは、条件や対象職種が細かく定められているため、採用前に在留資格の確認と制度理解が必須です。

もし、実際に現場で働きたい外国人材の場合は、「特定技能」や「技能実習」といった別の在留資格が該当しますのが、それぞれの在留資格は目的や要件が異なるため、こちらも慎重に選ぶ必要があります。

外国人材の活用を成功させるためにも、最新の制度情報に注意し、専門家と連携しながら適切な対応を心がけましょう。

さいごに

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所では、建設業者様が特定技能外国人を雇用するために必要な申請業務をサポートしております。

また、建設業許可申請もオンライン(JCIP)にて全国対応しております(大阪・兵庫・福岡を除く)。

お問い合わせフォーム、お電話、LINE@にて初回限定の無料相談サービスも行っておりますので、是非一度ご相談下さい。

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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