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特定技能外国人の転職期間中は働けない?審査期間と不法就労リスクをわかりやすく解説

入管法

こんにちは。行政書士の稲福です。今回は、特定技能外国人の転職について解説します。

特定技能外国人の採用を検討している企業様から、よく次のようなご相談をいただきます。

「すでに特定技能で働いている人を採用したいのですが、いつから働けますか?」
「在留資格変更許可申請を出せば、すぐに勤務開始できますか?」
「申請中の期間だけ、アルバイトのような形で働いてもらうことはできますか?」

結論から申し上げます。

特定技能外国人が転職する場合、原則として、新しい会社での在留資格変更許可が下りるまでは、新しい会社で働くことはできません。ここを誤解してしまうと、本人だけでなく、受入れ企業側にも不法就労助長などのリスクが生じる可能性があります。

この記事では、特定技能外国人が転職する際に注意すべきポイント、申請中の就労可否、審査期間の考え方、企業側が確認すべき事項について、わかりやすく解説します

✅ この記事でわかること

  • 特定技能外国人が転職する際に必要な入管手続き
  • 在留資格変更許可が下りる前に働けない理由
  • 審査期間中に注意すべき生活費・退職日・入社日の調整
  • 受入企業が確認すべき在留カード・指定書・就労範囲のポイント

まず前提として、特定技能外国人は転職することができます。ただし、自由にどの会社でも、すぐに働けるという意味ではありません。特定技能は、単に「特定技能1号」という在留資格を持っていればよい制度ではありません。どの分野で、どの業務区分で、どの受入れ機関において働くのかが重要になります。

たとえば、飲食料品製造業で働いていた方が、別の会社の飲食料品製造業へ転職する場合であっても、受入れ機関が変わる以上、原則として入管での手続きが必要になります。また、分野や業務区分が変わる場合には、その業務に対応する技能試験の合格状況や、本人の要件も改めて確認する必要があります。

出入国在留管理庁のホームページでも、転職により受入れ機関または分野を変更する場合には、特定技能の在留資格変更許可申請が必要であると案内されています。つまり、特定技能外国人の転職では、本人が転職を希望していること、企業が採用したいことだけでは足りません。

新しい会社での活動内容について、特定技能制度上問題がないかを確認する必要があります。

特定技能で特に注意しなければならないのが、指定書の存在です。特定技能外国人の場合、在留カードとは別に、パスポートに貼付される指定書により、活動内容が指定されています。

この指定書には、特定技能外国人がどの分野で、どの受入れ機関において活動するのかが記載されています。そのため、現在の会社で働くことが認められていても、転職先の会社で当然に働けるわけではありません。

転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合には、在留資格変更許可を受ける必要があります。特定技能外国人受入れに関する運用要領でも、転職により指定書記載の所属機関や特定産業分野を変更する場合は、在留資格変更許可を受ける必要があるとされています。

ここでよくある誤解が、「同じ特定技能1号なのだから、変更申請までは不要ではないか」というものです。しかし、実務上は、同じ特定技能1号であっても、受入れ機関や活動内容が変わる場合には、改めて変更許可申請が必要になります。この点を理解せずに勤務を開始してしまうと、後述する不法就労リスクにつながります。

ここが最も重要なポイントです。特定技能外国人が転職する場合、在留資格変更許可申請を提出しただけでは、新しい会社で働くことはできません。

「申請を出したから大丈夫」
「受付番号が出ているから大丈夫」
「審査中だから働いても問題ない」

という考え方は非常に危険です。新しい会社で働けるようになるのは、原則として、在留資格変更許可が下り、新しい活動内容が認められた後です。

特定技能は、指定された受入れ機関・分野・業務区分での就労が前提となる在留資格です。そのため、まだ新しい会社での活動が許可されていない段階で勤務を開始してしまうと、本人については資格外活動や不法就労の問題となる可能性があります。

また、企業側についても、不法就労助長のリスクが生じる可能性があります。特に注意が必要なのは、前職をすでに退職しているケースです。前職を退職した後、新しい会社での変更許可が下りるまでの間は、原則として新しい会社で働くことができません。

したがって、転職のスケジュールを組む際には、退職日、申請日、許可予定時期、入社予定日を慎重に調整する必要があります。

在留資格変更許可申請の標準処理期間は、出入国在留管理庁の案内では1か月から2か月とされています。ただし、これはあくまで標準処理期間です。実際の審査期間は、申請先の入管、申請時期、申請内容、受入れ企業側の状況、追加資料の有無などによって変わります。

特定技能の場合、本人の要件だけでなく、受入れ企業側の要件も細かく確認されます。たとえば、次のような点です。

・業務内容が特定技能の対象業務に該当するか
・本人が必要な技能試験・日本語試験に合格しているか
・雇用条件が適正か
・報酬額が日本人と同等以上か
・支援体制が整っているか
・協議会への加入が必要な分野で、加入手続きが適切に行われているか
・税金、社会保険、労働保険関係に問題がないか

これらに不備や疑義がある場合、追加資料の提出を求められることがあります。追加資料が発生すると、その分だけ審査期間は長くなります。そのため、「標準処理期間が1か月から2か月だから、必ず2か月以内に許可が出る」と考えるのは危険です。

標準処理期間とは、申請から処分までに通常必要とされる期間の目安です。しかし、これは「必ずその期間内に許可が出る」という意味ではありません。申請内容に不備がある場合、確認すべき事項が多い場合、追加資料が必要な場合、審査が混み合っている場合などには、標準処理期間を超えることもあります。

出入国在留管理庁は、在留審査処理期間の平均日数を公表していますが、実際の審査期間は申請の種類や時期によって変動します。したがって、企業側としては、標準処理期間だけを前提に入社日を確定させるのではなく、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

特に、採用現場では、

「人手が足りないので早く来てほしい」
「本人もすぐに働きたいと言っている」
「もう雇用契約を結んだから大丈夫だと思った」

という状況が起こりがちです。しかし、特定技能の場合は、雇用契約を結んだだけでは足りません。適法に働ける状態になっているかどうかを、必ず在留資格上の観点から確認する必要があります。

特定技能外国人の転職で実務上問題になりやすいのが、転職期間中の生活費です。前職を退職した後、新しい会社での在留資格変更許可が下りるまで働けない場合、その期間の収入が途絶えてしまいます。

審査が1か月で終わればよいかもしれません。しかし、2か月以上かかる可能性もあります。その間も、本人には家賃、食費、携帯料金、税金、社会保険料などの生活費が発生します。そのため、転職を進める際には、次の点を事前に確認しておく必要があります。

・前職の退職日はいつか
・新しい会社での入社希望日はいつか
・変更許可が下りるまで生活できる資金があるか
・審査が長引いた場合にどう対応するか
・前職との退職時期を調整できるか
・転職先企業が入社日を柔軟に調整できるか

ここを確認しないまま転職を進めてしまうと、本人が生活に困り、結果として適法でない就労に流れてしまうおそれがあります。企業側としても、採用したい気持ちがあっても、許可前に勤務させることは避けなければなりません。

前職との退職時期を調整できるかは重要

特定技能で転職する場合、前職をいつ退職するかは非常に重要です。なぜなら、転職先での特定技能1号への変更許可が出る前に前職を退職してしまうと、本人が働けない期間が発生する可能性があるためです。

たとえば、現在A社で特定技能1号として働いている方が、B社へ転職するケースを考えます。

B社での申請を3月1日に行ったとしても、許可がいつ出るかは分かりません。仮に許可が5月15日に出た場合、A社を3月末で退職してしまっていると、4月1日から5月15日までの間は、B社で働くことができない可能性があります。

この期間は、本人にとって収入がなくなるリスクがあり、生活費や家賃の支払いにも影響します。
また、企業側にとっても、予定していた入社日に人材を受け入れられないという問題が生じます。そのため、可能であれば、前職の退職日は、転職先の在留資格変更許可が出る見込みを踏まえて調整することが望ましいです。

たとえば、前職と相談し、すぐに退職するのではなく、「在留資格変更許可が出るまでは在籍を継続する」「退職日は許可見込みが立ってから確定する」「少なくとも申請後すぐに退職するのではなく、一定期間は前職で勤務を続ける」といった調整ができると、本人の無収入期間を避けやすくなります。

ただし、前職との関係性が悪化している場合や、すでに退職日が決まっている場合には、調整が難しいこともあります。そのため、転職を検討する段階で、前職をいつ退職するのか、退職日を延ばせる余地があるのかを早めに確認しておくことが重要です。

転職先企業が入社日を柔軟に調整できるかも重要

もう一つ重要なのが、転職先企業が入社日を柔軟に調整できるかです。

特定技能の転職では、申請を出したからといって、すぐに新しい会社で働けるわけではありません。原則として、転職先での活動内容について許可を受けてから勤務を開始する必要があります。

たとえば、B社が「4月1日から必ず働いてほしい」と考えていたとしても、在留資格変更許可が4月1日までに出るとは限りません。仮に、申請日が3月1日で、許可が5月15日に出た場合、B社が4月1日入社を前提にシフトや人員配置を組んでいると、現場に大きな支障が出ます。

この場合、B社側が、「許可が出てから入社でよい」「入社日は在留資格変更許可後に確定する」「審査状況に応じて、入社予定日を後ろ倒しできる」「採用内定は出すが、実際の勤務開始日は許可後とする」という形で柔軟に対応できるかが重要です。

逆に、転職先企業が、「どうしても4月1日から来てもらわないと困る」「許可前でも研修だけなら来てほしい」「人手不足なので、とりあえず勤務開始してほしい」という対応をしてしまうと、不法就労や在留資格上の問題につながるおそれがあります。

そのため、転職先企業には、事前に以下の点を理解してもらう必要があります。

企業側にとって特に注意すべきなのが、不法就労助長のリスクです。本人がまだ新しい会社で働く許可を得ていないにもかかわらず勤務を開始させた場合、本人だけの問題では済まない可能性があります。企業側が在留カードや指定書の確認を十分に行わずに就労させた場合、不法就労を助長したと評価されるリスクがあります。

特定技能外国人を採用する企業は、少なくとも次の点を確認する必要があります。

・現在の在留資格
・在留期限
・指定書の内容
・現在の受入れ機関
・従事可能な分野・業務区分
・転職先で予定している業務内容
・本人の技能試験・日本語試験の合格状況
・前職の退職時期
・在留資格変更許可申請の進捗
・新しい在留カード・指定書の交付状況

特に、「在留カードが有効だから大丈夫」と判断するのは危険です。特定技能の場合、在留カードだけでなく、指定書の内容確認が非常に重要です。

特定技能外国人の転職は、制度上認められています。しかし、実務上は非常に注意が必要です。

重要なのは、特定技能では、指定書により就労先や活動内容が指定されています。そのため、転職により受入れ機関や分野が変わる場合には、原則として在留資格変更許可申請が必要であるという点です。そして、申請を出しただけでは、新しい会社で働くことはできません。新しい会社で勤務を開始できるのは、原則として、在留資格変更許可が下り、新しい活動内容が認められた後です。

また、在留資格変更許可申請の標準処理期間は1か月から2か月とされていますが、これはあくまで目安です。審査内容や追加資料の有無によっては、それ以上かかることもあります。したがって、特定技能外国人を転職で採用する場合には、退職日、申請日、許可予定時期、入社日を慎重に調整する必要があります。

企業側としては、「採用できるか」だけでなく、いつから適法に働けるのかを確認することが非常に重要です。この確認を怠ると、本人にとっても企業にとっても大きなリスクになります。

特定技能外国人の転職受入れを検討している企業様は、採用を進める前に、在留資格上の手続きやスケジュールについて、専門家に確認されることをおすすめします。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直


【PR】当事務所グループでは、外国人人材の採用相談から、各種在留資格許可申請、受入れ後の適正運用まで、必要に応じて一貫してサポートしております。外国人人材紹介に関するご相談は、有料職業紹介事業者であるアソシエイツ国際人材サポート合同会社にて、在留資格申請・入管手続きに関するご相談はアソシエイツ稲福国際行政書士事務所にて承ります。

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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