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飲食店の外国人採用、「店長候補だから技人国で大丈夫」は通用するのか。

入管法

こんにちは。行政書士の稲福です。

飲食店で外国人材を採用する際、よく相談を受けるのが、「店長候補として採用すれば、技人国でいけますか」「店舗管理業務を任せるので、技術・人文知識・国際業務で申請できますか」「ホールや調理もありますが、将来的にはマネージャーにする予定です」という内容です。

たしかに、飲食店で外国人材を採用する場合でも、在留資格「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる技人国で就労できる可能性がまったくないわけではありません。たとえば、本部でのマーケティング、海外店舗展開、外国人顧客向けの企画、通訳・翻訳、海外取引先との調整、経理・人事・店舗開発など、専門的な知識や語学力を活かす業務であれば、技人国に該当する可能性があります。

しかし、飲食店の現場で働く場合には、かなり慎重な判断が必要です。特に注意すべきなのが、「店長候補」「店舗管理」「マネージャー候補」という言葉です。これらの肩書きを使えば、ホール、接客、調理、レジ、清掃、仕込みなどの現場業務を技人国で行わせてもよい、ということにはなりません。

在留資格の審査で見られるのは、肩書きではなく、実際に何をするのかです。今回は、飲食店における外国人採用について、技人国と特定技能「外食業」の違い、店長候補・店舗管理名目の注意点、そして外食業分野の受入れ上限の影響も踏まえながら整理していきます。

✅ この記事でわかること

  • 飲食店で「店長候補」として技人国を使う際の注意点
  • 肩書きではなく実際の業務内容で判断される理由
  • 技人国で検討しやすい業務と注意が必要な業務の違い
  • 現場業務を任せる場合に特定技能「外食業」を検討すべき理由

飲食業界は、慢性的な人手不足が続いている業界の一つです。ホール、調理、洗い場、仕込み、レジ、店舗管理、シフト管理など、日々の店舗運営には多くの人手が必要です。その中で、外国人人材を採用したいという飲食店は非常に多くあります。

しかし、飲食店は在留資格の判断が難しい業種でもあります。なぜなら、飲食店の現場では、管理業務と現場業務が混在しやすいからです。たとえば、日本人の店長であれば、売上管理やシフト管理だけでなく、忙しい時間帯にはホールに出たり、レジを打ったり、調理補助に入ったり、清掃をしたりすることもあると思います。日本人であれば、それは通常の店舗運営の一部です。

しかし、外国人人材の場合は、在留資格で認められた活動範囲を超える業務に従事させることはできません。技人国は、あくまで専門的な知識や技術、語学力などを活かす業務を前提とする在留資格です。そのため、実態としてホール、接客、調理、レジ、清掃などの現場業務が中心であれば、たとえ職種名を「店長候補」や「店舗管理」としていても、技人国としては慎重に考える必要があります。

飲食店で特に注意が必要なのが、「店長候補」や「店舗管理」という言葉の使い方です。店長候補という言葉は、非常に便利に使われます。将来的には店長にしたい」「いずれは店舗管理を任せたい」「外国人スタッフのリーダーにしたい」「売上管理やシフト管理も覚えてもらいたい」企業側としては、このような意図があると思います。しかし、入管審査で問題になるのは、将来の予定だけではありません。入社直後から、実際にどのような業務に従事するのかが重要です。

たとえば、入社後の大部分が、

・ホールでの接客
・配膳、下膳
・レジ対応
・調理補助
・仕込み
・洗い場
・店内清掃
・開店、閉店作業
・アルバイトと同じ現場業務

である場合、「店長候補」という肩書きだけで技人国として説明するのは難しくなります。

入管庁が公表している「飲食店において外国人が就労する場合の在留資格について」でも、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動として店舗管理業務が認められるかどうかは、勤務する店舗の具体的態様や外国人の具体的活動内容、キャリアプラン、報酬額などを総合的に考慮して判断されるとされています。

つまり、単に「店舗管理」と書けばよいわけではありません。

どの店舗で、どのような体制のもと、どの程度の管理業務を行うのか。現場業務との割合はどうなるのか。本人の学歴や職歴と業務内容に関連性があるのか。報酬は専門職として相当な水準か。キャリアプランに現実性があるのか。こうした点が問われます。

飲食業界であっても、技人国で検討しやすい業務はあります。たとえば、次のような業務です。

・海外店舗展開に関する企画、調整
・外国人顧客向けのマーケティング
・インバウンド対応の企画
・多言語メニュー、SNS、Webサイトの企画・翻訳
・海外取引先との通訳、翻訳、交渉
・本部での経理、人事、総務、店舗開発
・外国人スタッフの教育研修制度の設計
・フランチャイズ展開に関する企画業務
・店舗運営データの分析、改善提案

これらは、飲食店の現場作業そのものではなく、専門的な知識、語学力、企画力、管理能力などを活かす業務です。本人が大学や専門学校で学んだ内容、これまでの職歴、語学力などと業務内容の関連性を説明できれば、技人国で検討できる可能性があります。

ただし、この場合でも、重要なのは実態です。本部業務として採用したにもかかわらず、実際には店舗で接客や調理をしている。マーケティング担当として申請したにもかかわらず、ほとんどの時間をホール業務に使っている。外国人スタッフの教育担当と説明したが、実態は通常の店舗スタッフと同じ。このような場合は、技人国の活動内容として問題になる可能性があります。

一方で、技人国では注意が必要な業務もあります。飲食店で次のような業務を主たる業務とする場合、技人国での就労は慎重に考える必要があります。上述した「ホール接客」「注文受付」「配膳、下膳」「レジ対応」「調理、調理補助」「仕込み」「洗い場」「店内清掃」「開店、閉店作業」「アルバイトスタッフと同じ店舗業務」「人手不足時の現場応援」などは、飲食店の現場運営に不可欠な業務です。

しかし、技人国は、飲食店の現場スタッフとして働くための在留資格ではありません。そのため、飲食店で外国人材を採用する場合には、まず「その人に何を任せたいのか」を明確に整理する必要があります。本部で専門業務を任せたいのか。海外展開やインバウンド対応を任せたいのか。店舗現場で接客や調理を担ってもらいたいのか。将来的に店長やリーダーを目指してもらいたいのか。

この整理をしないまま、何となく「店長候補だから技人国でいけるだろう」と考えるのは危険です。

飲食店の現場で、接客、調理、店舗管理などを幅広く任せたい場合には、在留資格「特定技能」の外食業分野を検討するのが基本です。特定技能「外食業」は、飲食店等において、一定の技能水準と日本語能力を有する外国人材が外食業務に従事するための在留資格です。

外食業分野では、飲食物調理、接客、店舗管理を含む外食業全般に従事することが想定されています。入管庁の外食業分野ページでも、飲食店における複数の従業員等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する業務などが紹介されています。

つまり、飲食店の現場で実際に働いてもらうのであれば、技人国ではなく特定技能「外食業」の方が制度趣旨に合いやすいケースが多いです。ここを間違えると、在留資格該当性の問題だけでなく、不法就労助長のリスクにもつながります。

技人国との大きな違いは、現場業務に従事できる点です。飲食店にとっては、実際の店舗運営に必要な業務を任せやすい在留資格といえます。

ただし、特定技能にも当然ルールがあります。技能試験や日本語能力の要件、支援計画、登録支援機関、協議会加入、雇用条件、報酬水準、支援実施体制など、確認すべき事項は多くあります。

また、特定技能だから何でも自由にできるというわけではありません。業務内容が外食業分野の範囲内であること、雇用契約が適正であること、日本人と同等以上の報酬であることなど、制度上の要件を満たす必要があります。

さらに、外食業分野については、令和8年3月27日に入管庁から重要な公表がされています。

入管庁は、特定技能「外食業分野」について、在留者数が受入れ見込数、いわゆる受入れ上限の5万人を超えることが見込まれる状況であると公表しました。そして、令和8年4月13日以降、原則として、外食業分野の新規の在留資格認定証明書交付申請などについては、上限運用の対象となることが示されています。

これは、飲食店の外国人採用にとって非常に大きな影響があります。これまでは、飲食店の現場業務を担う外国人材について、特定技能「外食業」が有力な選択肢でした。しかし、受入れ上限の運用により、新規海外呼寄せなどについては、従来どおり進められないケースが出てきます。

そのため、今後の飲食店の外国人採用では、次のような整理がより重要になります。

・すでに外食業の特定技能で働いている人材の更新や転職なのか
・国内在留者の変更申請なのか
・新規海外呼寄せなのか
・特定活動46号など別の在留資格の可能性があるのか
・技人国で説明できる専門業務なのか
・単に人手不足を補うための現場スタッフ採用なのか

特定技能「外食業」の受入れ上限により、安易に「特定技能で呼べばよい」という採用設計は難しくなっています。一方で、だからといって、本来は特定技能で行うべき現場業務を、技人国の名目で行わせることはできません。むしろ、今後は技人国と特定技能の棲み分けを、より厳格に考える必要があります。

飲食店で外国人材を採用する場合、一定の条件を満たす人材については、特定活動46号が選択肢になることもあります。特定活動46号は、日本の大学等を卒業し、高い日本語能力を有する外国人材について、技人国では認められにくい接客等の業務も、一定の専門的業務と組み合わせて行うことを認める在留資格です。

たとえば、外国人観光客への接客対応、多言語での情報発信、店舗での接客、翻訳、通訳、企画業務などを組み合わせるケースが考えられます。ただし、特定活動46号にも要件があります。日本の大学等の卒業、日本語能力、業務内容との関連性、報酬水準などを確認する必要があります。

また、単なるホールスタッフ、調理補助、レジ担当として働くための在留資格ではありません。飲食店で使いやすい場面がある一方で、制度趣旨を誤って運用すると問題になります。

飲食店が外国人材を採用する際には、少なくとも次の点を確認する必要があります。まず、実際に任せる業務内容を具体的に整理することです。「店長候補」「店舗管理」「マネージャー候補」「幹部候補」といった言葉だけでは不十分です。

1日の業務の中で、何をどのくらい行うのか。ホールに出るのか。調理をするのか。レジを打つのか。シフト管理をするのか。売上管理をするのか。外国人スタッフの教育をするのか。本部業務なのか、店舗現場なのか。ここを明確にする必要があります。

次に、本人の学歴や職歴との関連性です。技人国の場合、本人が大学や専門学校で学んだ内容と、従事予定業務との関連性が重要になります。経営学、観光、マーケティング、語学、国際ビジネス、会計、情報処理などを学んでいる場合、業務内容によっては説明しやすいケースがあります。

一方で、学歴や専攻と業務内容の関連性が弱い場合や、実態が店舗現場業務中心の場合は、技人国での申請は慎重に検討すべきです。

さらに、雇用契約書や職務内容説明書の記載も重要です。「その他会社の指示する業務」「店舗運営業務全般」「接客、調理、管理業務等」といった広すぎる表現は、実態が現場業務中心なのではないかと見られる可能性があります。業務内容は、在留資格に合う形で、具体的かつ実態に即して整理する必要があります。

最後に、入社後の運用です。申請時には専門職として説明していたにもかかわらず、入社後に人手不足を理由にホールや調理へ回してしまえば、問題になります。在留資格の適正運用は、申請時だけで終わるものではありません。入社後の実態管理こそが重要です。

飲食店で技人国を不適切に運用した場合、外国人本人にも企業側にも大きなリスクがあります。外国人本人については、在留資格で認められていない活動に従事していると判断されれば、在留期間更新や変更申請に影響が出る可能性があります。場合によっては、在留資格取消しや退去強制のリスクも否定できません。

企業側についても、不法就労助長罪に問われる可能性があります。「本人がやりたいと言った」「店長候補だから問題ないと思った」「少しだけホールを手伝わせただけ」「日本人の店長も同じことをしている」「将来的には管理職にする予定だった」このような説明で、必ずしも問題が解消されるわけではありません。

外国人材を雇用する以上、企業には在留資格に応じた適正な業務管理が求められます。特に飲食店では、現場の人手不足から、申請時の業務内容と実態がズレやすい傾向があります。そのため、採用前の職務設計と、入社後の業務管理が非常に重要です。

飲食店で外国人材を採用する際に大切なのは、最初に在留資格ありきで考えないことです。「技人国でいける人はいないか」「特定技能が難しいから技人国で何とかできないか」「店長候補と書けば大丈夫ではないか」このような発想は危険です。まず考えるべきは、会社がその外国人材に何を任せたいのかです。

本部で専門業務を任せたいのか。店舗で接客や調理を任せたいのか。外国人観光客向けの企画を任せたいのか。海外展開や多言語対応を任せたいのか。将来的に店長やエリアマネージャーを目指してもらいたいのか。そのうえで、業務内容に合った在留資格を選ぶ必要があります。

在留資格は、採用後に無理やり合わせるものではありません。採用計画、業務内容、本人の経歴、会社の体制に合わせて、最初から正しく設計するものです。

まとめ:肩書きではなく、実態で判断される

飲食店における外国人採用では、技人国と特定技能「外食業」の棲み分けが非常に重要です。技人国は、専門的な知識、技術、語学力などを活かす業務を前提とする在留資格です。

一方、特定技能「外食業」は、飲食物調理、接客、店舗管理など、外食業の現場業務に従事するための在留資格です。問題は、「店長候補」「店舗管理」「マネージャー候補」という肩書きだけで判断してしまうことです。

在留資格の判断では、肩書きではなく、実際の業務内容が見られます。飲食店で働くこと自体が問題なのではありません。問題は、その店舗で何をするのかです。外国人人材本人を守るためにも、企業を守るためにも、飲食店での外国人採用では、最初の職務設計が非常に重要になります。

「技人国でいけるか」ではなく、「この業務内容に合った在留資格は何か」という視点で考えること。これが、飲食店における外国人材採用の適法運用の出発点だと思います。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直


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この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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