こんにちは。行政書士の稲福です。
日本の大学や専門学校を卒業した留学生から、よく相談を受けるのが、「卒業までに就職先が決まらなかった場合、日本に残って就職活動を続けられますか」「留学ビザのまま卒業後も就職活動できますか」「学校からの推薦状は必ず必要ですか」「専門学校を卒業した後、技人国ではなく特定技能に変更するための準備期間として使えますか」という内容です。
結論から言えば、日本の大学等を卒業した留学生が、在学中から継続して就職活動を行っており、卒業後も引き続き日本で就職活動を行いたい場合には、在留資格「特定活動」への変更が認められることがあります。
出入国在留管理庁のQ&Aでも、大学等を卒業し、または専修学校専門課程で専門士の称号を取得して卒業した留学生が、卒業までに就職が決まらなかった場合、在留状況に問題がなく、卒業した教育機関からの推薦状があるなどの一定要件の下で、「特定活動」6か月への変更が認められ、さらに1回まで更新できるとされています。これにより、最長で1年間、日本で就職活動を継続できる可能性があります。
ただし、この特定活動は、単に「卒業後もしばらく日本にいたい」という目的で使えるものではありません。あくまで、卒業前から継続して就職活動を行っていた留学生が、卒業後も引き続き日本で就職活動を行うための在留資格です。
今回は、特定活動(就職準備・継続就職活動)について、大学や専門学校からの推薦状の必要性、専門卒から特定技能へ変更する場合の使い方、資格外活動許可の注意点も含めて整理していきます。
✅ この記事でわかること
- 卒業後に留学ビザのまま就職活動できるか
- 継続就職活動のための特定活動が認められる条件
- 学校の推薦状がない場合に整理すべきポイント
- 特定活動中のアルバイトや特定技能への変更時の注意点
特定活動(就職準備・継続就職活動)とは
特定活動(就職準備・継続就職活動)とは、日本の大学、大学院、短期大学、専門学校などを卒業した留学生が、卒業後も引き続き日本で就職活動を行うために認められる在留資格です。一般的には「就職活動のための特定活動」と呼ばれることが多いです。
在留資格「留学」は、学校に在籍して学ぶための在留資格です。そのため、学校を卒業した後は、原則として「留学」の在留資格のまま活動を続けることはできません。卒業後も日本で就職活動を続けたい場合には、「留学」から「特定活動」へ在留資格変更許可申請を行う必要があります。
この特定活動が認められれば、卒業後も一定期間、日本に在留しながら就職活動を続けることができます。ただし、誰でも自動的に認められるわけではありません。在学中から継続して就職活動を行っていたこと、在留状況に問題がないこと、卒業した教育機関からの推薦があることなどが重要になります。
留学ビザのまま卒業後も就職活動できるのか
ここは非常に誤解が多いところです。「在留カードの期限がまだ残っているので、卒業後も留学ビザのまま日本にいて大丈夫ですか」「学校を卒業した後も、在留期限まではアルバイトできますか」このような相談があります。しかし、在留資格「留学」は、あくまで教育機関に在籍して学ぶための在留資格です。卒業後、教育機関に在籍していない状態で、留学の活動を続けているとはいえません。
また、入管庁のQ&Aでは、留学生に対する包括的な資格外活動許可は、教育機関に在籍している間に限り有効であり、卒業後いずれの教育機関にも在籍していない場合には、アルバイトは認められないとされています。つまり、在留カードの期限が残っているからといって、卒業後も当然にアルバイトできるわけではありません。
卒業後も日本で就職活動を続けるのであれば、在留資格を「特定活動」に変更する必要があります。
対象となるのは?
特定活動(継続就職活動)の対象となるのは、主に次のような人です。
☑日本の大学を卒業した留学生
☑日本の大学院を修了した留学生
☑短期大学を卒業した留学生
☑専修学校の専門課程を修了し、専門士の称号を取得して卒業した留学生
ここで重要なのは、専門学校の場合、単に専門学校に通っていたというだけではなく、専門士の称号を取得していることが重要になる点です。入管庁のQ&Aでも、大学等を卒業した人だけでなく、専修学校専門課程において専門士の称号を取得して同教育機関を卒業した留学生も対象として説明されています。
また、単に卒業後に初めて就職活動を始めるという場合ではなく、在学中から継続して就職活動を行っていたことが前提になります。そのため、学校のキャリアセンターへの相談記録、企業説明会への参加、面接記録、応募履歴などが重要になることがあります。
大学・専門学校からの推薦状は必須か
実務上、非常に多い質問が、「学校からの推薦状は必須ですか」というものです。結論からいうと、継続就職活動のための特定活動では、卒業した教育機関からの推薦状は非常に重要な書類です。
入管庁のQ&Aでも、大学等を卒業し、または専門士を取得して専修学校専門課程を卒業した留学生について、在留状況に問題がなく、就職活動を継続するに当たって卒業した教育機関からの推薦状があるなどの一定要件の下で、特定活動への変更が認められると説明されています。そのため、実務上は、まず学校に推薦状の発行を依頼するのが基本になります。
推薦状は、単なる形式的な添付書類ではありません。学校が、「この学生は在学中から就職活動を行っていた」「卒業後も引き続き就職活動を継続する意思がある」「在留状況や学生生活に大きな問題がない」と確認したうえで、就職活動の継続を推薦する意味を持ちます。
一方で、推薦状がなければ必ず不許可になるのかというと、実務上は必ずしもそうとは言い切れません。実際には、学校から推薦状が出ない場合でも、本人が在学中から継続して就職活動を行っていたこと、卒業後も具体的な就職活動を続けていること、在留状況に大きな問題がないことなどを、資料で丁寧に説明することで許可されたケースもあります。
たとえば、次のような資料が考えられます。
・企業への応募履歴
・面接日程の案内メール
・不採用通知
・会社説明会や合同企業説明会への参加記録
・ハローワークや就職支援機関の利用記録
・学校のキャリアセンターへの相談記録
・今後の就職活動計画書
・本人の理由書
・学校が推薦状を発行しない理由に関する説明資料
特に専門学校では、卒業後の学生について学校側が責任を負うことを避けたいという理由から、推薦状の発行に慎重なケースがあります。学校としては、本人の卒業後の行動や就職活動の継続状況を十分に管理できないため、推薦状を出すことにリスクを感じることがあります。
そのため、推薦状が発行されないからといって、必ずしも本人に問題があるとは限りません。学校の方針として一律に発行していないケースや、専門学校側が制度運用に慎重であるケースもあります。
ただし、推薦状がない場合は、申請のハードルが上がると考えるべきです。入管側から見れば、学校の推薦がない以上、「本当に在学中から就職活動をしていたのか」「卒業後も継続して就職活動を行う意思と計画があるのか」「在留状況に問題がないのか」を、別の資料で確認する必要があるからです。したがって、推薦状が出ない場合には、単に「学校が出してくれませんでした」と説明するだけでは不十分です。
なぜ推薦状が出ないのか。本人に問題があるためなのか。学校の運用方針として発行していないのか。本人は在学中からどのような就職活動をしていたのか。卒業後、どのようなスケジュールで就職活動を続けるのか。生活費はどのように確保するのか。資格外活動許可を希望する場合、その必要性と管理はどうするのか。これらを、理由書や客観資料で丁寧に整理する必要があります。
つまり、推薦状は非常に重要ですが、「推薦状がない=絶対に申請できない」とまでは言い切れません。ただし、推薦状がない場合には、その分、就職活動の継続性、在留状況の適正性、今後の活動計画を、より具体的に立証する必要があります。
実務上は、まず学校に推薦状を依頼し、それが難しい場合には、本人の就職活動実績と学校が発行しない事情を整理したうえで、個別に申請可能性を検討することになります。
在留期間はどれくらいか
継続就職活動のための特定活動では、通常、在留期間は6か月です。さらに、一定の要件を満たせば、1回まで更新が認められるため、最長で1年間、日本で就職活動を続けることができます。
また、地方公共団体が実施する就職支援事業の対象となる場合には、卒業後2年目の就職活動についても、一定の条件の下でさらに在留が認められる制度があります。入管庁は、地方公共団体が実施する就職支援事業の対象となり、当該事業の対象者であることの証明書の発行を受ける場合などには、卒業後2年目についても特定活動への変更・更新によりさらに1年間在留できる可能性があると説明しています。
ただし、これは通常の継続就職活動とは別に、地方公共団体の就職支援事業に参加する場合の取扱いです。一般的には、まず6か月、更新できても合計1年と考えるのが基本です。
特定活動中にアルバイトはできるのか
特定活動中にアルバイトができるかどうかも、よく質問を受けます。結論としては、資格外活動許可を受ければ、一定の範囲でアルバイトが認められる可能性があります。
ただし、自動的にアルバイトができるわけではありません。入管庁のQ&Aでは、就職活動のための特定活動で在留している場合、卒業した大学または専門学校が発行した推薦状に資格外活動許可についての記載があり、かつ在留状況等に問題がなければ、資格外活動が許可されるとされています。推薦状に記載がない場合は個別判断とされています。
つまり、特定活動へ変更しただけでは、当然にアルバイトができるわけではありません。資格外活動許可を受ける必要があります。また、学校が発行する推薦状に、資格外活動許可に関する記載があるかどうかも重要です。
なお、卒業後に「留学」の資格外活動許可でそのまま働くことはできません。卒業して教育機関に在籍していない場合、留学生としての包括的な資格外活動許可は効力を失うと考える必要があります。
専門卒が技人国ではなく特定技能へ変更するために使えるか
次に重要なのが、専門学校を卒業した人が、技人国ではなく特定技能へ変更するために、この特定活動を使えるのかという点です。結論から言えば、専門学校卒業後、就職活動のための特定活動に変更した後、特定技能1号の要件を満たしていれば、特定技能1号への変更は可能と考えられます。
東京出入国在留管理局が教育関係団体からの質問に回答した資料では、「専門学校卒業後に就職活動のための特定活動に在留資格を変更した後、特定技能1号への変更は可能ですか」という質問に対し、「在留資格『特定技能1号』の要件を満たしていれば可能です」と回答されています。
これは実務上、非常に重要です。専門学校を卒業した人が、必ずしも技人国に該当する就職先を見つけられるとは限りません。専攻内容と業務内容の関連性が弱い場合や、希望する職種が現場業務に近い場合には、技人国では難しいケースもあります。そのような場合、本人が特定技能評価試験に合格し、日本語要件も満たし、受入企業側の要件も整っていれば、特定技能1号への変更を検討することは可能です。
ただし、ここで注意すべきなのは、特定活動はあくまで「就職活動を継続するため」の在留資格であるという点です。単に「特定技能試験の勉強をするため」だけに使うものではありません。実際に就職活動を行っていること、在留状況に問題がないこと、学校の推薦があることが重要になります。
特定技能評価試験を受けるための在留資格として使えるのか
専門卒の方からは、「技人国で就職できそうにないので、特定技能評価試験を受けたい」「試験に合格してから特定技能へ変更したい」「その間、特定活動で日本に残れますか」という相談もあります。ここは整理が必要です。
特定活動(継続就職活動)は、卒業後に日本で就職活動を続けるための在留資格です。その就職活動の一環として、特定技能1号での就職を目指し、必要な技能試験や日本語試験を受験すること自体は、実務上あり得る流れです。
実際、留学、技人国、家族滞在などから特定技能への変更は、要件を満たせば認められるとされており、東京入管のQ&Aでも、留学・技人国・家族滞在等については、要件を満たせば特定技能への変更が認められると回答されています。
また、特定技能には学歴要件がありません。そのため、専門学校の専攻と業務内容の関連性が問題になりやすい技人国とは異なり、特定技能では、分野ごとの技能試験、日本語試験、雇用条件、受入機関の要件などを満たすかどうかが中心になります。
ただし、注意点もあります。特定技能への変更には、単に試験に合格しているだけでは足りません。受入企業との雇用契約、特定技能所属機関の要件、支援計画、分野別の協議会加入、報酬要件、税金・社会保険の状況、本人の在留状況など、多くの確認事項があります。
また、外食業分野のように受入れ上限の影響を受ける分野もあります。そのため、特定活動中に特定技能を目指す場合には、試験だけでなく、受入企業側の準備も早めに進める必要があります。
技人国を目指す場合との違い
専門学校卒業後の進路としては、技人国を目指すケースと、特定技能を目指すケースがあります。技人国の場合、本人の学歴・専攻内容と、就職先での業務内容との関連性が非常に重要です。
たとえば、専門学校でITを学び、システムエンジニアとして就職する場合や、観光・ホテル系を学び、専門的なフロント業務やインバウンド対応を行う場合などは、技人国で検討できる可能性があります。
一方で、実態として現場作業、単純作業、調理、清掃、製造ライン作業などが中心になる場合、技人国での就労は難しくなります。その場合、業務内容が特定技能の対象分野に該当し、本人が試験等の要件を満たしていれば、特定技能の方が制度趣旨に合うことがあります。
つまり、重要なのは、「専門卒だから技人国」と決めつけないことです。
本人の専攻、就職先の業務内容、将来のキャリア、在留資格の要件を踏まえて、技人国が適切なのか、特定技能が適切なのかを判断する必要があります。
申請時に注意すべきポイント
特定活動(継続就職活動)を申請する際には、いくつか注意点があります。まず、卒業前から就職活動をしていたことが重要です。卒業後になって初めて「これから就職活動を始めます」という場合は、制度趣旨に合いにくくなります。
次に、学校からの推薦状です。推薦状は、継続就職活動の特定活動において非常に重要です。学校側が推薦状を発行するためには、本人の在学状況、出席状況、成績、就職活動の実績、在留状況などを確認する必要があります。
また、専門学校の場合は、専門士の称号を取得して卒業していることが重要です。さらに、特定活動中にアルバイトを希望する場合には、資格外活動許可についても確認が必要です。推薦状に資格外活動許可に関する記載があるかどうか、資格外活動許可申請が必要かどうかを確認しなければなりません。
そして、特定技能へ変更する予定がある場合は、早めに準備を進める必要があります。技能試験、日本語試験、雇用契約、支援計画、受入企業の書類、税金・社会保険関係、分野別の必要書類など、準備には時間がかかります。
「とりあえず特定活動にして、その後ゆっくり考える」という進め方では、在留期限に間に合わないことがあります。
特定活動は卒業後の猶予期間ではなく、就職活動を継続するための制度
特定活動(就職準備・継続就職活動)は、日本の大学や専門学校を卒業した留学生が、卒業後も日本で就職活動を続けるために重要な在留資格です。ただし、これは単なる猶予期間ではありません。
在学中から就職活動を行っていたこと。卒業した教育機関からの推薦があること。在留状況に問題がないこと。卒業後も具体的に就職活動を継続すること。これらが重要になります。
また、大学や専門学校からの推薦状は、実務上非常に重要です。特に専門学校卒業者の場合、専門士の称号を取得しているか、学校が推薦状を出せる状況か、就職活動の実績があるかを確認する必要があります。
専門卒の方が、技人国ではなく特定技能1号を目指すことも可能です。東京出入国在留管理局のQ&Aでも、専門学校卒業後に就職活動のための特定活動へ変更した後、特定技能1号の要件を満たしていれば、特定技能1号への変更は可能とされています。
ただし、特定技能に変更するためには、技能試験・日本語試験、雇用契約、支援計画、受入企業側の要件などを満たす必要があります。特定活動は、卒業後に日本で何となく滞在するための制度ではありません。本人の就職活動を継続し、適切な在留資格へつなげるための制度です。
だからこそ、申請前の段階で、学校の推薦、本人の就職活動実績、目指す在留資格、就職先の業務内容、今後のスケジュールを丁寧に整理しておくことが大切です。
出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直
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