こんにちは。行政書士の稲福です。
今回は、近年増加している在留資格「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる技人国ビザと、派遣・請負現場における外国人労働者の問題について、私見を交えながら解説していきたいと思います。
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によれば、令和7年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人となり、過去最多を更新しています。
また、在留資格別では、「技術・人文知識・国際業務」の外国人労働者数は468,068人となっています。技人国は、専門的・技術的分野の在留資格の中でも人数が多く、近年大きく増加している在留資格の一つです。
一方で、同じ厚生労働省資料では、労働者派遣・請負事業を行っている事業所に就労している外国人労働者数が430,342人とされています。これは外国人労働者全体の約16.7%にあたります。ただし、この430,342人は、技人国に限った人数ではなく、実際に全員が派遣労働者・請負労働者であるという意味でもありません。あくまで、「労働者派遣・請負事業を行っている事業所に就労している外国人労働者」の人数です。
しかし、外国人労働者全体の中で、派遣・請負事業所に関わる人数が43万人を超えていること、そして技人国そのものが大きく増加していることは事実です。この2つの動きを重ねて見ると、派遣・請負の現場において、技人国ビザの本来の趣旨とは異なる形で外国人が就労しているのではないか、という問題意識は避けて通れません。
特に、製造、物流、倉庫、現場系の請負、構内作業の現場では、外国人労働者が重要な戦力になっています。その中には、在留資格上は「技術・人文知識・国際業務」であるにもかかわらず、実態としては技能実習や特定技能と同じような現場作業に従事しているケースがあるのではないかと感じています。
もちろん、技人国で派遣会社や請負会社に雇用されること自体が、直ちに違法というわけではありません。問題は、雇用形態ではなく、実際の業務内容です。
技人国で認められるのは、大学や専門学校等で学んだ知識、または一定の実務経験に基づく専門的・技術的業務です。単に現場で人手が足りないから、ライン作業、検品、梱包、ピッキング、仕分け、組立、清掃、運搬などを行わせるのであれば、在留資格該当性に問題が生じます。
つまり、派遣・請負事業所に所属しているかどうかだけで判断するのではなく、実際にどのような業務に従事しているのかを確認する必要があります。
技人国の急増と、派遣・請負事業所に就労する外国人労働者の増加は、別々の統計ではあります。しかし、外国人雇用の現場で同時に進行している重要な変化であり、今後、在留資格の適正運用を考えるうえで、無視できない論点になっていると感じます。
✅ この記事でわかること
- 技人国ビザで派遣・請負就労する際の注意点
- 「通訳」「現場管理」名目で単純作業をさせるリスク
- 派遣元・請負会社だけでなく派遣先も確認すべき理由
- 外国人雇用で企業が整えるべき適正な業務管理体制
技人国ビザはなぜここまで増えたのか
技人国ビザは、本来、大学や専門学校等で学んだ知識、または一定の実務経験に基づき、専門的・技術的な業務に従事するための在留資格です。典型的には、エンジニア、通訳・翻訳、海外営業、貿易事務、マーケティング、設計、システム開発などが想定されます。
しかし、現場では、「通訳・労務管理」「生産管理」「品質管理」「現場管理」「エンジニア」などの名目で技人国ビザを取得し、実際には製造ライン、倉庫作業、梱包、検品、ピッキング、単純作業に近い業務を行っているのではないかと疑われるケースがあります。
もちろん、技人国ビザで派遣や請負会社に雇用されること自体が、直ちに違法というわけではありません。問題は、在留資格で認められた活動内容と、実際の業務内容が一致しているかどうかです。
技人国ビザは、特定技能や技能実習と比べると、職種や分野の限定が分かりにくい部分があります。特定技能であれば、分野、業務区分、試験、支援計画などが明確です。技能実習であれば、職種・作業、実習計画、監理団体などの枠組みがあります。
一方、技人国は、書類上「通訳」「管理」「エンジニア」「設計」「品質管理」などと整理されると、一見すると専門的業務に見えやすい。この構造が、技人国の拡大と、現場実態とのズレを生みやすくしているのではないかと思います。
技人国が増えた背景には、派遣・請負ニーズがある
技人国ビザが増えた背景には、単に外国人本人が日本で働きたいという事情だけではありません。
日本側の企業にも、明確なニーズがあります。日本人が採れない。若い人が現場に来ない。派遣社員も集まらない。来てもすぐ辞める。その中で、外国人労働者は真面目に働く、欠勤が少ない、現場で戦力になる、という評価を受けることがあります。
実際、日本の製造現場や物流現場では、外国人労働者がいなければ回らない現場も増えています。派遣会社、請負会社からすれば、外国人人材を確保できるかどうかが、取引先への供給力に直結します。
そのため、特定技能や技能実習よりも柔軟に使いやすい技人国ビザに、現場ニーズが流れていった面があるのではないかと感じています。
ただし、ここに大きな問題があります。現場で必要とされているのが、実際には単純作業や反復作業であるにもかかわらず、書類上だけ専門的業務として整理してしまえば、それは在留資格制度の趣旨から外れてしまいます。
派遣元が責任を負えばよい、という甘さ
派遣・請負の現場で問題になりやすいのは、責任の所在が見えにくくなることです。派遣先や発注元は、「派遣元が雇用している人だから」「請負会社が連れてきている人だから」と考えがちです。
一方で、派遣元や請負会社は、「現場での細かい作業指示は派遣先・発注元の運用に従っている」と考えがちです。その結果、誰が実際の業務内容を確認しているのかが曖昧になります。
技人国ビザで認められる業務なのか。単純作業に従事していないか。学歴や専攻と業務内容が関連しているか。日本語能力や職務能力が業務に見合っているか。これらを誰も十分に確認しないまま、外国人労働者だけが現場に送り込まれる。
このような構造があるとすれば、非常に危険です。「派遣元が責任を取ればよい」という考え方では、在留資格制度の適正運用は守れません。派遣先や発注元も、少なくとも自社の現場で外国人がどのような業務に従事しているのかを把握する責任があります。
技人国で派遣・請負就労すること自体は直ちに違法ではない
ここは誤解してはいけません。技人国ビザで派遣会社や請負会社に雇用されること自体が、すべて違法というわけではありません。たとえば、ITエンジニアが客先常駐するケース、通訳・翻訳業務を複数現場で行うケース、設計・開発・品質管理など専門的業務に従事するケースはあり得ます。
問題は、雇用形態ではなく、実際の業務内容です。
技人国で認められるのは、大学や専門学校等で学んだ知識、または一定の実務経験に基づく専門的・技術的業務です。単に現場で人手が足りないから、ライン作業、検品、梱包、ピッキング、仕分け、組立、清掃、運搬などを行わせるのであれば、技人国の活動該当性に問題が生じます。
つまり、形式上は派遣会社や請負会社の正社員であっても、実態として現場作業員として使われているのであれば、在留資格上の問題は避けられません。
日本語能力要件の追加で問われる「名ばかり通訳・労務管理」
現地からの在留資格認定証明書交付申請、いわゆるCOE申請では、これまで「通訳・労務管理」「現場管理」「建設エンジニア」「製造エンジニア」などの名目で、技人国を申請するケースが見られました。しかし、実際の日本語能力がN4程度であるにもかかわらず、「通訳」「労務管理」「現場指導」を主たる業務として申請することには、以前から大きな疑問がありました。
もちろん、技人国ビザにおいて、すべての職種で一律にN1やN2が必要というわけではありません。たとえば、設計、開発、機械・電気系の技術業務、システムエンジニアなど、業務内容によっては、必ずしも高度な日本語での対人対応が中心にならない場合もあります。
しかし、通訳・翻訳、労務管理、現場指導、安全教育、顧客対応、取引先対応など、日本語で人とやり取りする業務を主たる業務とするのであれば、相応の日本語能力が必要になるのは当然です。そして現在は、この点について入管の運用も明確化されています。
2026年4月15日以降、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請について、所属機関がカテゴリー3またはカテゴリー4に該当し、かつ、言語能力を用いて対人業務に従事する場合には、CEFR B2相当以上、日本語でいえばJLPT N2相当以上の言語能力を証する資料の提出が求められる取扱いとなっています。
これは、現場実態とかけ離れた「名ばかり通訳」「名ばかり労務管理」「名ばかり現場管理」を防ぐための重要な変更だと考えられます。たとえば、N4程度の日本語能力で、日本人社員と外国人労働者の間に立ち、正確に通訳を行い、労務管理を行い、安全教育や現場指導まで担うことができるのか。
この点について、今後はより具体的な説明と資料提出が求められることになります。つまり、これからの技人国申請では、単に「通訳」「労務管理」「現場管理」と職務名を書くのでは足りません。本人の日本語能力が、その業務を実際に遂行できる水準にあるのか。その業務が単なる現場作業の補助ではなく、技人国に該当する専門的業務といえるのか。会社側に、そのような業務を実際に担当させる必要性と体制があるのか。ここまで整理しておく必要があります。
特に、製造・建設・物流などの現場で、N4程度の外国人を「通訳兼現場管理」「外国人スタッフの労務管理」として技人国で呼び寄せるような申請は、今後かなり慎重に見られる可能性があります。
日本語能力要件の追加は、技人国の入口を狭めるためだけのものではありません。本来、技人国で認められるべき専門的業務と、単純作業に近い現場労働との境界線を明確にするための運用変更だと考えるべきです。
したがって、企業側は、技人国で外国人を採用する場合、学歴・職歴・業務内容だけでなく、日本語能力と実際の職務内容との整合性についても、これまで以上に慎重に確認する必要があります。
派遣先・請負先も「知らなかった」では済まされない
派遣先や発注元企業の中には、外国人の在留資格の確認は、派遣元や請負会社が行うものだと考えている企業もあります。たしかに、外国人を直接雇用しているのは、派遣元や請負会社です。そのため、雇用契約、在留カードの確認、在留期間の管理、在留資格に応じた業務内容の確認について、まず重い責任を負うのは直接の雇用主です。
しかし、だからといって、派遣先や発注元企業がまったく無関係というわけではありません。特に製造、物流、倉庫、建設関連の現場では、外国人が実際に働く場所は、派遣先や発注元企業の工場・倉庫・現場であることが多くあります。
そのため、現場を受け入れている企業側も、少なくとも、
・どの在留資格の外国人が来ているのか
・その外国人がどのような業務を行う予定なのか
・派遣元や請負会社から説明を受けている業務内容と、現場実態が一致しているか
・実際の業務が、在留資格で認められる範囲から大きく外れていないか
について確認する意識が必要です。
たとえば、技人国ビザの外国人が現場に来ているにもかかわらず、実際には組立て、検品、梱包、仕分け、ピッキングなどの単純作業だけを行っている場合があります。
また、書類上は「通訳」「労務管理」「現場管理」と説明されていても、実際にはほとんど工場ラインに入り、他の作業員と同じ仕事をしているケースもあります。
あるいは、「エンジニア」として説明されているにもかかわらず、設計、開発、工程改善、品質管理、技術指導などの専門的業務にはほとんど従事していないケースも考えられます。
このような状態を、派遣先や発注元企業が知りながら放置している場合、問題は派遣元・請負会社だけにとどまりません。直接雇用主ではないとしても、自社の現場で在留資格に合わない就労が行われていたとなれば、コンプライアンス上の問題になります。
また、取引先、行政機関、社内監査、株主、地域社会から見た場合にも、「不適切な外国人就労を現場で受け入れていた企業」 と評価される可能性があります。特に注意すべきなのは、発注元企業の現場担当者が、実質的に外国人へ作業指示を出している場合です。請負契約の形式をとっていても、実態として発注元の担当者が直接指揮命令をしている場合には、労働者派遣との関係でも問題が生じる可能性があります。
さらに、その指示内容が在留資格に合わない単純作業であれば、在留資格上の問題も重なります。つまり、派遣先・発注元企業は、
「うちは直接雇用していない」
「在留資格は派遣元が確認しているはず」
「請負会社の社員だから関係ない」
という考え方だけでは不十分です。外国人が自社の現場で働く以上、在留資格と実際の業務内容が大きくズレていないかを確認する姿勢が必要です。もちろん、派遣先や発注元企業が、すべての在留資格申請書類を確認する必要があるという意味ではありません。
しかし、少なくとも技人国ビザの外国人を受け入れる場合には、派遣元・請負会社から予定業務の説明を受け、現場実態と大きなズレがないかを確認しておくべきです。
外国人人材の受入れにおいて重要なのは、雇用形態ではなく実態です。直接雇用、派遣、請負のいずれであっても、自社の現場で外国人が働く以上、在留資格と業務内容の整合性を確認する意識を持つべきです。
在留資格の問題は、外国人本人や雇用主だけの問題ではありません。現場を受け入れている企業全体のコンプライアンス問題として捉える必要があります。そして、この流れをより明確に示しているのが、次に述べる 派遣先用の誓約書の義務化 です。
派遣先にも誓約書が求められる時代へ
この点に関連して重要なのが、派遣形態で技人国ビザを申請する場合の取扱いです。2026年3月9日申請分から、在留資格「技術・人文知識・国際業務」をもって派遣形態で就労する場合、派遣元だけでなく、派遣先用の誓約書も求められる運用になっています。
これは、派遣先企業にとって非常に重要な変更です。これまで派遣先企業の中には、「外国人は派遣元の社員だから、在留資格の確認は派遣元の責任」「派遣先である自社は、そこまで関与しなくてよい」と考えていた会社もあると思います。
しかし、派遣先用の誓約書が求められるということは、派遣先も、外国人が自社の現場でどのような業務に従事するのかを確認する必要があるということです。特に、技人国の外国人を受け入れながら、実態としてはライン作業、検品、梱包、仕分け、ピッキングなどの単純作業を中心に従事させている場合、派遣元だけでなく、派遣先側にも説明責任が及ぶ可能性があります。
つまり、この変更は単なる書類追加ではありません。入管が、派遣元だけでなく、派遣先の現場実態も確認しようとしていることの表れだと考えるべきです。
今後は、「派遣元が責任を負えばよい」「在留資格のことは派遣会社に任せている」「現場では人手が足りないので、とりあえず作業に入ってもらう」という考え方は通用しにくくなります。
派遣先用の誓約書の義務化は、技人国の派遣就労について、「派遣先も知らなかったでは済まされない」という明確なメッセージだと感じます。
消費税・雇用調整・現場都合が外国人派遣を後押ししている
企業が派遣社員や請負会社を利用したがる背景には、単に「人手が足りない」という理由だけではなく、労務管理上・経理税務上の事情もあります。直接雇用の場合、企業は採用、雇用契約、給与計算、社会保険手続き、勤怠管理、退職対応などを自社で行う必要があります。人員を増やせば、その分、労務管理の負担も大きくなります。
一方で、派遣や請負を利用する場合、必要な人数を必要な期間だけ確保しやすく、業務量が減った場合には契約を調整しやすいというメリットがあります。特に製造、物流、倉庫、構内作業などの現場では、繁忙期と閑散期の差が大きいため、この柔軟性は企業にとって大きな魅力です。
また、経理上も、派遣費用や請負費用は、人件費ではなく外注費・派遣費用として管理されることが多く、企業側にとってはコストを把握しやすい面があります。さらに、直接雇用の給与は原則として消費税の仕入税額控除の対象になりませんが、派遣料や外注費については、一定の要件のもとで課税仕入れとして扱われ、仕入税額控除の対象となる場合があります。
つまり、企業側から見ると、派遣・請負には、労務管理の負担を抑えながら、人員調整やコスト管理をしやすいという実務上のメリットがあります。このような仕組みを利用すること自体が、直ちに問題というわけではありません。
しかし、こうした企業側の都合が強くなりすぎると、外国人労働者が非常に不安定な立場に置かれることがあります。たとえば、3か月で契約終了となる。現場が合わなければ次の現場へ移される。日本語が弱ければ契約を切られる。在留資格と実際の業務内容の整合性が曖昧なまま、複数の現場を転々とする。
このような運用が広がれば、外国人本人の生活は不安定になります。また、本来は専門的・技術的業務に従事するための技人国ビザが、単なる人員調整のために使われているように見えてしまえば、在留資格制度そのものの信頼性にも影響します。
外国人人材は、現場の人手不足を一時的に埋めるための調整弁ではありません。派遣・請負という仕組みを使う場合であっても、外国人本人の在留資格、業務内容、雇用の安定性、生活基盤をきちんと確認し、制度の趣旨に沿った受入れを行う必要があります。
技人国を直雇用に限定すべきなのか
技人国の派遣・請負就労がここまで問題になるのであれば、技人国は直雇用に限定すべきではないか、という議論も出てくるかもしれません。
たしかに、直雇用であれば、雇用主と業務内容が比較的見えやすくなります。派遣先や請負先で実際に何をしているのか分からない、という問題は減るかもしれません。
しかし、現実には、IT、設計、開発、通訳、技術支援など、専門的業務であっても客先常駐や請負形態が一般的な分野があります。そのため、技人国を一律に直雇用のみに限定することは、現実的ではない面もあります。
重要なのは、雇用形態で一律に判断することではなく、実態を確認することです。派遣であっても、請負であっても、専門的業務であれば適正に運用できる。
一方で、直雇用であっても、実態が単純作業であれば問題がある。この原則を徹底する必要があります。
特定技能への移行を嫌がる技人国人材
実態として現場作業に近い仕事をしているのであれば、本来は特定技能への移行を検討すべきケースもあります。
しかし、外国人本人が特定技能への移行を嫌がることがあります。
理由の一つは、特定技能1号では原則として家族帯同が認められていないことです。技人国であれば、要件を満たせば配偶者や子どもを家族滞在で呼び寄せることができます。そのため、将来的に家族と日本で暮らしたい外国人にとっては、技人国の方が魅力的に見えます。
また、特定技能は分野や業務内容が明確に限定されています。支援計画、定期届出、転職時の在留資格変更手続きなども必要になります。本人からすれば、技人国の方が自由度の高い在留資格に見えるのです。
さらに、心理的な問題もあります。
本人は、母国で大学・短大・専門学校を卒業し、時間とお金をかけて学歴を積み上げてきたという自負を持っています。そのような人にとって、現場作業を前提とする特定技能へ変更することは、たとえ制度上は適切であっても、気持ちの上では簡単に受け入れられない場合があります。
「せっかく学校を卒業したのに、なぜ特定技能なのか」「技人国で来たのに、特定技能に変わるのは格下げのように感じる」「自分は単純労働をするために日本に来たわけではない」このような感覚を持つ外国人もいると思います。
しかし、本人の希望やプライドだけで在留資格を選ぶことはできません。自由に見えるからといって、実態に合わない在留資格を使い続けることはできません。技人国として説明できない業務であれば、特定技能など、実際の業務内容に合った在留資格を検討する必要があります。
重要なのは、在留資格の名前ではなく、実際にどのような業務に従事するのかです。本人の学歴や希望を尊重することは大切です。しかし、それ以上に、在留資格と業務内容の整合性を守ることが必要です。
技人国なのか、特定技能なのかを考える際には、本人の希望だけで判断するのではなく、実際の仕事内容、学歴・職歴との関連性、家族帯同の可否、将来のキャリアパスまで含めて、慎重に整理する必要があります。
さいごに
外国人労働者は、今後も日本社会にとって欠かせない存在になります。製造、物流、建設、介護、外食、宿泊など、多くの現場で外国人材が重要な役割を担っています。
しかし、人手不足だからといって、在留資格制度を曖昧に使ってよいわけではありません。技人国ビザは、便利な就労ビザではありません。単純作業をさせるための抜け道でもありません。家族滞在を可能にするための形式的な在留資格でもありません。
本来は、専門的・技術的な知識を活かして働くための在留資格です。派遣・請負の現場に技人国人材が増えている今こそ、企業、派遣元、請負会社、紹介会社、申請取次者が、それぞれの立場で在留資格該当性を丁寧に確認する必要があります。
派遣元が責任を負えばよい。書類さえ整えればよい。現場の実態は入管には分からない。このような考え方は、いずれ通用しなくなると思います。
むしろ、技人国の運用が急拡大した今だからこそ、今後は審査や更新で、業務内容、日本語能力、派遣先・請負先での実態確認がより厳しく見られる可能性があります。
外国人人材を本当の意味で戦力化するためには、制度の趣旨に沿った適正な受入れが必要です。現場に立つ行政書士として、今後も技人国ビザ、特定技能、派遣・請負現場における外国人雇用の適正運用について、実務と制度の両面から情報発信を続けていきたいと思います。
出入国在留管理局申請取次行政書士
稲福 正直
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