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特定技能移行時の外国人人材流出ー上位県に見る地方企業の定着課題

社会

こんにちは、行政書士の稲福です。

今回は、技能実習から特定技能1号へ移行する際に、外国人人材がどの地域へ移動しているのかについて考えてみたいと思います。

外国人人材を受け入れている企業にとって、重要なのは「採用できるか」だけではありません。むしろ、今後ますます重要になるのは、採用した外国人人材に、特定技能移行後も自社・自地域で働き続けてもらえるかという点です。

出入国在留管理庁は、2026年1月7日に開催された「第13回 特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」において、「技能実習から特定技能へ移行時の地域間異動状況等」という参考資料を公表しています。

この資料では、令和7年6月末時点の1号特定技能外国人のうち、技能実習から特定技能へ移行した外国人について、移行前後の住居地の変化が整理されています。

資料によれば、技能実習から特定技能1号へ移行した外国人144,402人のうち、特定技能1号への移行に際して都道府県をまたぐ住居地の異動があった人は47,432人、割合にして32.8%とされています。

つまり、全国平均で見ると、約3人に1人が、技能実習から特定技能へ移行するタイミングで都道府県をまたいで移動していることになります。これは、外国人材を受け入れている企業にとって非常に重要なデータです。

技能実習期間中は同じ企業・同じ地域で働いていたとしても、特定技能へ移行する段階で、本人が他の地域や企業を選び直している可能性があるからです。特に注目したいのは、流出率が高い地域に、東北地方や地方圏の県が多く含まれている点です。

これは単に、「外国人人材が都市部へ行きたがる」という単純な話ではありません。技能実習を修了した外国人は、要件を満たせば、同じ企業・同じ職場で特定技能1号へ移行することも可能です。それにもかかわらず、特定技能への移行を機に他地域へ移っているということは、本人がこのタイミングで、働く場所、生活する地域、将来の可能性を改めて比較している可能性があります。

つまり、このデータは、地方企業にとって、単なる人口移動の統計ではありません。外国人人材を「採用できるか」だけでなく、特定技能へ移行した後も、自社・自地域に残ってもらえるかが問われていることを示しているといえます。

✅ この記事でわかること

  • 技能実習から特定技能へ移行する際に人材が流出しやすい地域
  • 東北地方や地方圏で流出率が高くなりやすい背景
  • 賃金・生活環境・同国人コミュニティが定着に与える影響
  • 地方企業が特定技能人材に残ってもらうための定着対策

資料によれば、特定技能移行時の他地域への流出率が高い地域として、次のような県が上位に並んでいます。

順位 都道府県 流出率 最低賃金
1位 青森県 60.2% 1,029円
2位 島根県 55.6% 1,033円
3位 岩手県 55.1% 1,031円
4位 鳥取県 54.2% 1,030円
5位 秋田県 53.4% 1,031円
6位 佐賀県 52.9% 1,030円
7位 福島県 51.4% 1,033円
8位 宮城県 50.1% 1,038円

上位8県を見ると、青森県、岩手県、秋田県、福島県、宮城県の5県が東北地方です。また、島根県、鳥取県、佐賀県も、いずれも地方圏に位置する県です。

このことから、特定技能移行時の流出率が高い地域には、いくつかの共通した傾向があると考えられます。

まず目立つのは、東北地方の県が多いことです。上位8県のうち、5県が東北地方に属しています。これは偶然とは言い切れないと思います。

東北地方は、農業、食品製造、製造業、建設、介護、宿泊など、外国人材のニーズが高い産業を多く抱えています。一方で、首都圏や中部圏、関西圏と比較すると、賃金水準、求人の選択肢、外国人コミュニティの規模、生活利便性などで差が出やすい地域でもあります。

技能実習中は、同じ職場で働き続けていたとしても、特定技能へ移行する段階では、本人が他地域の求人情報を見たり、同国人の友人から情報を得たりする機会が増えます。

そのときに、「関東の方が給与が高い」「友人がいる地域の方が安心できる」「次は別の地域で働いてみたい」「都市部の方が将来の選択肢が多そうだ」と考えることは、十分にあり得ます。

つまり、東北地方の流出率の高さは、単なる地域差ではなく、都市部との賃金差・生活環境差・情報格差が比較されやすい地域であることが背景にあると考えられます。

ここは私見になりますが、東北地方については、関東圏との距離感も一定程度影響していると思います。

特に、福島県や宮城県は、関東圏への移動が比較的現実的な地域です。技能実習を終え、特定技能へ移行するタイミングで、本人が関東圏の求人を見た場合、「今の地域に残るか」「東京、埼玉、千葉、神奈川、茨城、栃木、群馬などへ移るか」という比較が起こりやすくなります。

福島県であれば、関東圏は心理的にも距離的にもかなり近い選択肢です。宮城県も、仙台という都市機能を持ちながら、一方で関東圏への移動も十分に現実的です。

そのため、福島県や宮城県については、単に「地方だから流出する」というよりも、関東圏という大きな労働市場が比較対象として近くにあることが、流出率に影響している可能性があると考えます。

一方で、青森県、岩手県、秋田県は、福島県や宮城県ほど関東圏に近いとはいえません。しかし、それでも外国人人材にとっては、技能実習を終えた後の次の選択肢として、関東圏が強く意識される可能性があります。なぜなら、関東圏には求人が多く、賃金水準も高く、同国人コミュニティも大きいからです。

SNSや同国人ネットワークを通じて、「友人が埼玉で働いている」「千葉の工場で募集がある」「神奈川の介護施設の方が給与が高い」「東京周辺なら同じ国の人が多い」といった情報が入ってくれば、距離が多少あっても、関東圏への移動は現実的な選択肢になります。この意味で、東北地方の流出率の高さには、関東圏という大きな受け皿が比較的近くに存在することも影響している可能性があります。

ただし、これは「東北だから必ず関東へ流れる」という単純な話ではありません。東北地方の中でも、仙台圏のように一定の都市機能を持つ地域もあります。また、地元企業の待遇や支援体制が整っていれば、外国人人材がその地域に残ることも十分にあります。

重要なのは、外国人本人が特定技能移行時に、現在の職場だけでなく、関東圏を含む他地域の求人や生活環境と比較しているという点です。地方企業は、この比較にさらされていることを前提に、定着対策を考える必要があります。

流出率上位県のもう一つの特徴は、最低賃金が比較的低い水準に集中していることです。上位県の最低賃金を見ると、おおむね1,020円台から1,030円台です。

一方、令和7年度の地域別最低賃金の全国加重平均額は1,121円とされています。厚生労働省は、令和7年度の地域別最低賃金について、全都道府県で答申がなされ、全国加重平均額が昨年度から66円引き上げの1,121円になると公表しています。

もちろん、特定技能外国人の報酬は、単に最低賃金を満たせばよいというものではありません。特定技能では、日本人が従事する場合と同等以上の報酬であることが求められます。しかし、最低賃金は、その地域全体の賃金水準を示す一つの目安になります。最低賃金が低い地域では、求人票上の基本給や時給も、都市部と比較して低く見えやすくなります

外国人本人は、SNSや同国人ネットワークを通じて、他地域の求人情報を簡単に知ることができます。そのため、「同じ仕事なら、もっと給与が高い地域で働きたい」「都市部の方が残業や手当を含めて収入が多そうだ」「母国への仕送りを考えると、少しでも収入を上げたい」と考えることは自然です。特に、母国の家族へ送金している外国人にとって、月に数万円の差は非常に大きな意味を持ちます。

この意味で、賃金水準の差は、特定技能移行時の流出を考えるうえで、無視できない要素です。

ここで非常に重要なのは、特定技能への移行は、必ずしも転職や地域移動を伴うものではないという点です。技能実習を修了した外国人は、要件を満たせば、同じ企業・同じ職場で特定技能1号へ移行することが可能です。

つまり、本人には、「今の職場に残る」という選択肢があります。それにもかかわらず、流出率上位県では、特定技能移行時に他地域へ移る人が多いということです。これは、単に「近くに仕事がないから県外へ出る」という説明だけでは不十分です。

むしろ、本人が、「この会社に残るより、他地域で働いた方がよい」「今の地域で生活を続けるより、別の地域へ移った方が将来性がある」「技能実習を終えたら、次は自分で働く場所を選びたい」と考えている可能性があります。

この意味で、流出率の高さは、地域の問題であると同時に、受入企業が特定技能移行後も本人から選ばれているかどうかを示す指標でもあります。企業側が、「3年間働いてくれたから、当然そのまま残ってくれるだろう」と考えていると、特定技能移行時に想定外の流出が起きる可能性があります。

技能実習から特定技能への移行は、企業にとっては「継続雇用の手続き」に見えるかもしれません。しかし、本人にとっては、「次にどこで働くか」を選び直す機会でもあるのです。

地方には、都市部にはない強みがあります。たとえば、家賃が安い、通勤時間が短い、自然が多い、職場との距離が近い、人間関係を築きやすい、生活費を抑えやすいといった点です。しかし、外国人本人にその魅力が十分に伝わっていなければ、都市部の求人の方が魅力的に見えてしまいます。

都市部の求人は、時給や月給が高く見えやすいです。一方で、地方の求人は、家賃や生活費の安さを含めた「実質手取り」まで説明しなければ、比較で不利になります。

たとえば、地方で家賃が安く、通勤費も少なく、生活費が抑えられる場合、額面給与が都市部より低くても、実際に手元に残る金額はそれほど変わらないこともあります。しかし、その説明がなければ、本人は単純に給与額だけで比較してしまいます。

地方企業は、給与額だけでなく、「この地域で働くと、実際にどれくらい生活できるのか」「家賃や生活費を差し引いた手取りはいくらか」「母国へどれくらい仕送りできるのか」「生活面でどのような支援があるのか」を具体的に説明する必要があります。

特に、関東圏と比較されやすい東北地方の企業は、額面給与だけで勝負しようとすると不利になりやすいです。そのため、地方で働くメリットを、生活費、住居、通勤、職場環境、支援体制まで含めて説明することが重要です。

外国人人材にとって、生活面での安心感は非常に重要です。特に、技能実習から特定技能へ移行する段階では、本人は日本での生活にある程度慣れています。

その一方で、今後どこで働き、どこで生活するかを自分で考える時期でもあります。都市部や外国人が多い地域では、同じ国の友人や知人が多く、生活情報も入りやすい傾向があります。一方で、地方では、同国人が少なく、休日に会える友人が少ない、母国語で相談できる相手が少ない、宗教や食文化に対応できる場所が少ないと感じることがあります。

その結果、「友人がいる地域へ行きたい」「同じ国の人が多い場所で働きたい」「生活しやすい地域へ移りたい」という理由で、他地域へ移るケースが考えられます。これは、給与だけでは説明できない流出要因です。

特定技能外国人にとって、働く場所は、生活する場所でもあります。そのため、企業は職場だけでなく、生活環境や相談体制も含めて、定着支援を考える必要があります。

ここからは、私見も含みます。流出率上位に東北地方の県が多いことを考えると、気候の影響も一定程度あるのではないかと思います。

もちろん、気候だけが主な理由とはいえません。賃金、職場環境、生活支援、同国人コミュニティ、将来性、そして関東圏との距離感など、複数の要因が重なった結果として、他地域への移動が起きていると考えるべきです。

ただ、外国人材の生活実感として、気候は意外に大きな要素です。特に、東南アジア出身の方にとって、日本の冬の寒さ、雪、日照時間の短さ、移動の不便さは、大きな負担になることがあります。青森県、岩手県、秋田県などは、冬の寒さや積雪の影響を強く受ける地域です。

雪道での通勤、買い物の不便さ、休日の外出のしにくさ、暖房費の負担、冬場の孤独感などは、本人の生活満足度に影響します。

また、宗教施設、母国食材店、同国人コミュニティなどが限られている地域では、冬の厳しさと生活面の孤立感が重なることもあります。この点は、数字だけでは見えにくい部分です。

一方で、北海道が流出率上位に出てこない点を考えると、「寒い地域だから必ず流出率が高い」と単純に言うこともできません。北海道は非常に寒冷な地域ですが、今回の上位には入っていません。ここには、北海道特有の事情があると考えられます。

北海道については、少し注意して見る必要があります。今回のデータは、基本的に都道府県をまたぐ移動を見ています。

北海道は一つの都道府県でありながら、面積が非常に広く、札幌圏、道東、道北、道南など、地域ごとの労働市場が大きく異なります。

そのため、道東から札幌圏へ移る、農業地域から食品製造業へ移る、漁業地域から宿泊業へ移る、地方部から都市部へ移るといった北海道内の移動は、都道府県間の流出としては表れにくい可能性があります。

つまり、北海道が上位に入っていないからといって、外国人人材の移動が少ないとは限りません。北海道については、道外への流出だけでなく、道内での移動、札幌圏への集中、季節性のある産業から通年雇用への移動といった視点で分析する必要があります。

また、北海道の場合、寒さは厳しい一方で、札幌圏などには一定の都市機能や外国人コミュニティがあります。農業、食品製造、宿泊、介護など、特定技能と関係の深い産業も多く、道内で次の選択肢を見つけやすい面もあるかもしれません。

したがって、北海道については、単純に「寒いから流出する」「寒いのに流出しない」と見るのではなく、道内で人材が移動している可能性を含めて考える必要があります。

流出率上位県を見ると、最低賃金の低さは確かに共通点の一つです。しかし、これを単純に、「最低賃金が低いから流出している」とだけ見るのは不十分です。

むしろ、上位県は次のような意味で、外国人材から比較されやすい地域だと考えられます。

・都市部との賃金差が見えやすい
・関東圏など大きな労働市場が比較対象になりやすい
・同じ職場に残るか、他地域へ移るかを選び直されやすい
・地方の生活メリットが伝わりにくい
・同国人コミュニティの差が出やすい
・冬の寒さや移動の不便さなど、気候面の負担がある

つまり、流出率上位県の問題は、単なる賃金の問題ではありません。外国人材から「次もここで働きたい」と思ってもらえるかどうかの問題です。

ここで参考になるのが、韓国で導入されている「地域特化型ビザ」という考え方です。

韓国では、人口減少地域などを対象に、地方自治体が地域に必要な外国人材を推薦し、その地域で一定期間居住しながら経済活動を行うことを前提とした制度が運用されています。いわば、外国人材を単に全国一律で受け入れるのではなく、「どの地域に、どのような人材が必要なのか」という地域側の事情を制度に反映させる仕組みです。

もちろん、日本の特定技能制度は、現時点で韓国の地域特化型ビザと同じ仕組みではありません。特定技能外国人は、要件を満たせば転職も可能であり、特定の地域に本人を強制的に縛りつける制度ではありません。

しかし、技能実習から特定技能へ移行するタイミングで、地方から都市部へ人材が流出している現状を見ると、日本でも今後は、単に企業単位で外国人材を受け入れるだけでなく、地域全体で外国人材をどう受け入れ、どう定着してもらうかという視点が重要になると思います。

たとえば、地方自治体、受入企業、登録支援機関、行政書士、地域の商工団体などが連携し、住居、生活支援、日本語学習、地域コミュニティ、キャリア形成まで含めて支援する体制をつくることができれば、外国人材にとってその地域で働き続ける理由は生まれやすくなります。

外国人人材の流出を防ぐために必要なのは、単に「他地域へ行かないでほしい」と伝えることではありません。その地域で働くことに、本人にとってのメリットと将来性があることを、制度面・生活面・企業側の姿勢として示すことです。

この意味で、地域特化型ビザという発想は、日本の地方企業にとっても示唆があります。重要なのは、外国人材を地域に縛ることではなく、「この地域で働き続けたい」と思ってもらえる環境を、地域全体で設計していくことだと思います。

流出率上位県の傾向から見えるのは、地方企業にとって、外国人材の定着対策がますます重要になっているということです。

給与だけでなく、実質手取りを説明する

都市部と単純に時給だけで比較されると、地方企業は不利になりやすいです。そのため、家賃、寮費、通勤費、生活費、控除額、残業代を含めて、実際にどれくらい手元に残るのかを説明することが重要です。

「額面給与」だけでなく、「生活後にいくら残るのか」「母国へいくら送金できるのか」まで伝えることが大切です。特に、関東圏と比較されやすい地域では、額面給与だけではなく、生活コストを含めた説明が重要になります。

同じ職場で特定技能へ移行するメリットを伝える

本人にとって、同じ職場で働き続けるメリットが見えなければ、他地域へ移る選択をされやすくなります。慣れた職場で働けること、評価が引き継がれること、昇給や役割の変化があること、長期雇用につながることを具体的に伝える必要があります。

「そのまま残ってほしい」だけでは不十分です。本人にとって、残る理由を明確に示す必要があります。

技能実習中から不満を把握する

特定技能への移行直前になって引き止めようとしても、すでに本人の気持ちが離れていることがあります。定期的に面談を行い、給与、住居、人間関係、将来の希望について早めに把握することが重要です。

特に、本人が本音を話せる環境があるかどうかが大切です。

関東圏と比較されている前提で条件を見直す

東北地方の企業、とくに福島県や宮城県など関東圏への移動が現実的な地域では、外国人人材が関東圏の求人と比較している可能性があります。

そのため、関東圏の求人と比べて給与はどうか、生活費を含めた実質手取りはどうか、寮や住居の条件はどうか、休日や交通の利便性はどうか、同国人との交流機会はあるか、将来の昇給やキャリアパスはあるかを企業側も確認しておく必要があります。

外国人本人は、すでにSNSや友人ネットワークで他地域の情報を得ています。企業側も、「地域内の相場」だけでなく、外国人本人が比較している相場を意識する必要があります。

気候・生活環境への配慮をする

寒冷地や雪の多い地域では、気候への配慮も定着支援の一部と考えるべきです。

たとえば、冬用衣類や防寒具の案内、暖房費を含めた生活費の説明、雪道での通勤方法の確認、冬場の買い物や通院支援、休日の過ごし方や地域コミュニティの紹介など、実務的な支援が重要になります。

気候は変えられません。しかし、気候による不便さや不安を軽減することはできます。このような生活面の配慮があるかどうかは、外国人人材の定着に影響すると思います。

特定技能外国人は、目の前の給与だけでなく、将来の見通しも見ています。

特に、長く日本で働きたい人にとっては、昇給があるか、正社員として安定して働けるか、リーダーになれる可能性があるか、資格取得を支援してもらえるか、特定技能2号につながる可能性があるかといった点が重要です。

企業側が将来の道筋を示せなければ、本人はより将来性のある企業や地域を探すようになります。

登録支援機関に任せきりにしない

特定技能外国人の支援を登録支援機関に委託している企業も多いと思います。しかし、登録支援機関に任せているからといって、企業側の責任がなくなるわけではありません。

外国人人材が毎日働くのは、登録支援機関ではなく、受入企業の職場です。日々の声かけ、職場環境、生活面の配慮、相談体制は、企業側の姿勢によって大きく変わります。

登録支援機関は重要なパートナーですが、外国人人材の定着は、企業と登録支援機関が連携して取り組むべき課題です。

特定技能移行時の流出率上位県を見ると、東北地方や地方圏の県が多く並んでいます。青森県、岩手県、秋田県、福島県、宮城県といった東北地方の県に加え、島根県、鳥取県、佐賀県も上位に入っています。

これらの地域に共通しているのは、最低賃金が比較的低いことだけではありません。

都市部との賃金差、関東圏との距離感、同国人コミュニティの差、生活環境、そして「同じ職場に残るだけの理由」が本人に伝わっているかどうかが、流出に影響していると考えられます。

また、私見ではありますが、東北地方のような寒冷地では、冬の寒さや雪、移動の不便さといった気候面も、生活満足度に一定の影響を与えている可能性があります。

ただし、北海道が上位に出てこないことを考えると、気候だけで説明することはできません。北海道の場合は、都道府県をまたぐ流出としては見えにくい道内移動、札幌圏への集中、産業間の移動など、別の視点で見る必要があります。

重要なのは、技能実習から特定技能へ移行する際、外国人本人は働く場所を選び直すということです。同じ職場で移行できるにもかかわらず、他地域へ移る人が多いということは、企業側が「選ばれ続ける努力」をしなければならない時代になっているということです。

これからの外国人雇用では、企業が外国人材を選ぶだけではありません。外国人材も、企業を選びます。地域を選びます。将来を選びます。流出率上位県のデータは、地方企業に対して、採用だけでなく、定着支援の重要性を強く示しているといえるでしょう。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直

【PR】当事務所グループでは、外国人人材の採用相談から、各種在留資格許可申請、受入れ後の適正運用まで、必要に応じて一貫してサポートしております。外国人人材紹介に関するご相談は、有料職業紹介事業者であるアソシエイツ国際人材サポート合同会社にて、在留資格申請・入管手続きに関するご相談はアソシエイツ稲福国際行政書士事務所にて承ります。

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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