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京都の人手不足と特定技能人材戦略ー留学生・観光・高齢化を踏まえた人材確保の考え方

特定技能

こんにちは。行政書士の稲福です。

今回は、京都における外国人材の受入れについて考えてみたいと思います。京都といえば、世界的な観光都市であり、大学のまちでもあります。国内外から多くの観光客が訪れ、また、多くの留学生が京都で学んでいます。

一方で、宿泊業、外食業、介護、農業、清掃、製造など、地域の産業を支える現場では、人手不足が深刻な課題となっています。特に京都の場合、単に「外国人人材を採用すればよい」という話ではありません。京都には、京都ならではの事情があります。

観光都市としての宿泊・外食需要、大学都市としての留学生の多さ、伝統産業や地域産業の担い手不足、そして東山区をはじめとする高齢化の進行。これらを踏まえたうえで、どの在留資格を活用し、どのように人材を確保・定着させるかが重要になります。

✅ この記事でわかること

  • 京都の宿泊業が外国人人材と相性がよい理由
  • ホテルフロントで技人国を活用する際の注意点
  • 留学生を特定技能・技人国につなげる考え方
  • 観光・介護・農業など京都企業が考えるべき人材戦略

京都は、全国的に見ても大学・学生・留学生が多い地域です。京都市は「大学のまち・学生のまち」として知られており、京都市のデータでは、学生数は154,422人、人口のうち11人に1人が学生、学生のうち8人に1人が留学生とされています。

また、令和6年度の京都府内の留学生数は20,167人で、初めて2万人を超え、過去最多となっています。これは、京都にとって非常に大きな強みです。なぜなら、留学生はすでに日本で生活し、日本語や日本社会に一定程度なじんでいる人材だからです。

もちろん、留学生が卒業後に日本で働くためには、就職先の業務内容、本人の学歴・専攻、報酬、雇用条件、在留資格との適合性などを慎重に確認する必要があります。

しかし、海外からいきなり人材を呼び寄せる場合と比べると、国内にいる留学生は、採用面接、職場見学、インターン、アルバイト経験などを通じて、企業との相互理解を深めやすいという利点があります。

京都の外国人材戦略を考えるうえで、まず注目すべきは、この「留学生の厚み」です。

京都では、コンビニや飲食店などのアルバイト市場において、日本人学生の存在感が比較的大きい点も特徴です。

京都市は「大学のまち・学生のまち」とされ、学生数は154,422人、人口の約11人に1人が学生とされています。そのため、東京の都心部のように、コンビニ店員の多くが外国人で占められている印象とは異なり、京都では日本人学生がコンビニ、飲食店、観光関連サービスなどのアルバイト人材として一定の役割を担っている可能性があります。

もっとも、京都の特徴は「外国人アルバイトがいない」ということではなく、日本人学生と留学生の双方が多く、アルバイト人材の供給源が比較的厚い地域であるという点にあります。

一方で、コンビニや飲食店のアルバイトだけでは、宿泊業、介護、農業、製造、ビルクリーニングなどの恒常的な人手不足を十分に補うことはできません。特に、卒業・就職・帰国によって入れ替わりやすい学生アルバイトに依存するだけでは、長期的な人材確保には限界があります。

そのため京都では、短時間・補助的な労働力としての学生アルバイトだけでなく、卒業後の留学生を技人国や特定技能につなげる仕組み、さらに海外からの人材受入れを含めた中長期的な外国人材戦略が重要になります。

京都で特に相談が多くなりやすいのが、ホテル・旅館などの宿泊業です。京都は世界的な観光都市であり、ホテル、旅館、ゲストハウス、観光関連サービスなど、多言語対応を必要とする場面が多くあります。

そのため、外国人材をホテルフロント、予約対応、海外顧客対応、通訳・翻訳、インバウンド向け広報、マーケティング業務などで採用したいというニーズは高いと考えられます。

この場合、候補になる在留資格の一つが、「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる「技人国」です。特に京都のホテルフロント業務は、技人国の中でも「国際業務」との相性がよい分野といえます。

ホテルフロントは、単なる受付業務というイメージを持たれがちです。

しかし、京都のような国際観光都市では、実際には、外国人観光客への外国語対応、海外からの予約・問い合わせ対応、館内案内、周辺観光案内、トラブル対応、口コミ対応、海外OTAや旅行会社とのやり取りなど、多言語・異文化対応を伴う業務が多く発生します。

「国際業務」は、外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務を対象とするものであり、出入国在留管理庁の資料でも、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、デザイン、商品開発などが例示されています。

京都のホテルフロントでは、単に日本語で宿泊客を受け付けるだけではなく、外国語を用いて海外からの宿泊客の要望を理解し、文化的背景の違いを踏まえて対応する力が求められます。

たとえば、次のような業務です。

業務内容国際業務との関係
外国人宿泊客への外国語対応通訳・異文化対応の要素
海外からの予約・問い合わせ対応翻訳・海外顧客対応の要素
周辺観光案内・文化説明外国人向け情報提供の要素
海外OTA・旅行会社との連絡調整海外取引・国際業務の要素
外国語の口コミ・レビュー対応翻訳・広報の要素
インバウンド向け宿泊プランの企画補助宣伝・企画・商品開発の要素

このように、京都のホテルフロント業務は、外国語能力だけでなく、外国人観光客の文化的背景やニーズを理解し、それに応じた対応を行う点で、国際業務の要素を含みやすい分野です。

特に、京都には留学生が多く、すでに日本で生活しながら日本語を学び、母国語や文化理解も有する人材がいます。そのため、留学生や外国人人材の母国語、文化理解、観光客対応経験を活かせる場合には、ホテルフロント業務を技人国の「国際業務」として職務設計できる余地があります。

もっとも、注意が必要なのは、ホテルフロントであれば当然に技人国で認められるわけではないという点です。実態として、チェックイン・チェックアウトの定型的な受付、清掃、ベッドメイク、配膳、荷物運搬などが中心であれば、技人国との適合性には注意が必要です。

申請書上は「海外顧客対応」「通訳・翻訳」と記載していても、実際の勤務実態が単純接客や現場作業中心であれば、更新時や調査時に問題となる可能性があります。技人国で採用する場合には、外国語対応、海外顧客対応、通訳・翻訳、インバウンド向け広報・企画など、国際業務としての要素を業務内容に明確に位置づけることが重要です。

したがって、京都のホテル・旅館で外国人材を採用する場合には、次の点を整理する必要があります。

確認事項ポイント
本人の学歴・専攻大学・専門学校等で何を学んだか
本人の実務経験国際業務に関連する経験があるか
実際の職務内容外国語対応・通訳・翻訳・海外顧客対応が実態としてあるか
単純作業との区分清掃・配膳・荷物運搬等が中心になっていないか
雇用条件日本人と同等以上の報酬が確保されているか
更新時の説明可能性実際の勤務内容を資料で説明できるか

京都の宿泊業では、外国人観光客対応という強いニーズがあります。だからこそ、技人国で採用する場合には、単に「外国語が話せるから大丈夫」と考えるのではなく、業務設計を明確にし、本人の学歴・専攻・経験と職務内容の関連性を丁寧に整理する必要があります。

一方で、ホテルや旅館の現場業務を広く担ってもらいたい場合には、特定技能「宿泊」も重要な選択肢になります。技人国は、あくまで専門的・技術的分野の業務や、外国文化に基盤を有する国際業務などを対象とする在留資格です。

これに対して、特定技能「宿泊」は、宿泊施設における現場業務を担う人材を受け入れる制度です。そのため、京都の宿泊業では、技人国と特定技能を混同しないことが重要です。

簡単に整理すると、次のようになります。

想定業務主な在留資格の候補
外国語を使った海外顧客対応、通訳・翻訳、海外予約対応、海外向け広報・企画技術・人文知識・国際業務
フロント、接客、レストランサービスなど宿泊施設内の幅広い現場業務特定技能「宿泊」
清掃のみ、ベッドメイクのみ、単純作業のみ在留資格との適合性に注意

京都の場合、「語学力のある留学生をホテルフロントで採用したい」という相談が多くなる可能性があります。

その場合でも、技人国でいくのか、特定技能宿泊でいくのか、あるいは本人の学歴・試験合格状況・業務内容に応じて別の選択肢を検討するのか、事前の整理が必要です。

京都の外国人材ニーズというと、どうしても宿泊業や外食業に目が向きがちです。しかし、京都の課題は観光分野だけではありません。介護、農業、製造、ビルクリーニング、飲食料品製造、外食業など、特定技能の対象となる分野にも大きな可能性があります。

特に介護分野は、今後さらに重要性が増していく分野です。

京都市の資料では、令和5年時点の京都市の高齢化率は28.5%とされています。また、京都市東山区は、観光地としての印象が強い一方で、高齢化が進む地域でもあります。東山区は、祇園、清水寺周辺などを抱える京都有数の観光エリアです。

しかし、そこには観光客を迎える産業だけでなく、地域で暮らす高齢者を支える介護・福祉のニーズも存在しています。つまり、京都では、観光需要と介護需要が同時に存在しているのです。

観光地として外国人観光客を迎える人材が必要である一方で、地域で暮らす高齢者を支える介護人材も必要です。この両面を見ることが、京都における外国人材戦略では非常に重要です。

京都には多くの留学生がいます。そのため、卒業後に技人国で就職するルートだけでなく、本人の希望や業務内容によっては、特定技能へ移行するルートも検討できます。

たとえば、日本語学校や専門学校に通っている留学生が、卒業後、宿泊、外食、介護、ビルクリーニング、飲食料品製造、農業などの分野で働きたいと考える場合、特定技能評価試験と日本語試験に合格することで、特定技能1号への変更を目指すことができます。特に、学歴や専攻と就職先業務の関連性が弱く、技人国での許可が難しい場合には、特定技能が現実的な選択肢になることがあります。

京都の企業にとっては、留学生を「アルバイト人材」として見るだけではもったいないと思います。在学中から関係を築き、本人の希望、語学力、適性、卒業後のキャリアを見据えて、技人国、特定技能、あるいはその他の在留資格の可能性を検討していくことが重要です。

特にホテル・旅館の場合、留学生が在学中にアルバイトとして接客や外国語対応を経験し、卒業後にホテルフロントやインバウンド対応業務へ進むことも考えられます。その際、本人の学歴や職務内容が技人国に合うのであれば技人国を検討し、現場業務を幅広く担うのであれば特定技能宿泊を検討するというように、実態に合わせた制度選択が必要です。

京都府全体で見ると、農業や食品関連産業にも外国人材活用の可能性があります。京都には、京野菜、宇治茶、酒造、食品加工、和菓子、飲食料品製造など、地域ブランドと結びついた産業があります。

これらの分野では、単に人手不足を補うだけでなく、外国人人材が将来的に海外販路開拓やインバウンド向け商品企画に関わる可能性もあります。

たとえば、現場業務としては特定技能で従事しながら、将来的に日本語力や業務経験を高め、母国との取引、海外向け広報、商品開発、輸出関連業務などに関わっていくことも考えられます。

もちろん、在留資格ごとに従事できる業務範囲は異なります。しかし、京都のように「伝統」「観光」「食」「文化」が結びついている地域では、外国人人材を単なる労働力としてではなく、地域産業を海外に伝える担い手として育てていく視点も必要です。

京都で外国人人材を採用する際に注意すべき点は、在留資格の選び方です。特に、次のようなケースは注意が必要です。

まず、ホテルフロントだから当然に技人国で採用できる、という考え方は危険です。京都のホテルフロントは、外国語対応や異文化対応が多く発生するため、技人国の国際業務と相性がよい分野です。しかし、実態として単純接客や清掃、配膳、ベッドメイクが中心であれば、技人国との適合性が問題になる可能性があります。

次に、留学生だから卒業後は何でも就職できる、というわけではありません。技人国であれば、本人の学歴・専攻・職務内容の関連性が問題になります。特定技能であれば、分野ごとの技能試験や日本語試験の合格、受入企業側の基準、支援体制などが必要になります。

また、特定技能では、受入企業や登録支援機関の体制も重要です。雇用条件書、支援計画、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期面談、届出、協議会加入など、制度上求められる手続きは少なくありません。

「人手が足りないから早く採用したい」という気持ちは理解できます。しかし、制度を十分に理解しないまま進めると、採用後に在留資格の更新ができない、入管から追加資料を求められる、支援体制の不備を指摘される、といった問題につながる可能性があります。

外国人人材の受入れで重要なのは、採用することだけではありません。むしろ、採用後にいかに定着してもらうかが重要です。

京都の場合、観光地としての華やかなイメージがある一方で、住居費、生活費、通勤、地域コミュニティ、言語対応など、外国人材が生活するうえでの課題もあります。

また、観光業や外食業では繁忙期と閑散期の差が大きく、勤務シフトや労働時間の管理も重要になります。

介護分野では、専門用語、利用者とのコミュニケーション、夜勤、身体介助、記録業務など、日本語力と現場適応力が求められます。

農業や食品製造では、地域によって交通手段や住居確保が課題になることもあります。

つまり、京都で外国人人材を受け入れる企業には、単に「採用する力」だけでなく、「生活を支える力」「教育する力」「長く働いてもらう力」が求められます。

では、京都の企業はどのように外国人材を獲得していくべきでしょうか。私は、次のような視点が重要だと考えています。

1. 留学生との接点を早めに作る

京都には多くの留学生がいます。企業は、卒業直前になって採用するのではなく、在学中からアルバイト、インターン、職場見学、説明会などを通じて、留学生との接点を作ることが重要です。

本人の日本語力、性格、仕事への適性を見極めながら、卒業後の在留資格まで見据えて採用設計を行うことができます。

2. 技人国と特定技能を使い分ける

ホワイトカラー業務、通訳・翻訳、海外営業、企画、マーケティング、システム関連業務などは、技人国の対象となり得ます。

特に京都のホテルフロント業務は、外国人観光客への対応、海外予約対応、通訳・翻訳、海外向け広報などを伴う場合、技人国の「国際業務」と親和性があります。

一方で、宿泊、外食、介護、ビルクリーニング、農業、製造などの現場業務では、特定技能の活用が現実的な場合があります。

重要なのは、企業側の都合で在留資格を選ぶのではなく、実際の業務内容と本人の経歴に合った在留資格を選ぶことです。

3. 宿泊・観光だけに偏らない

京都では宿泊業や外食業の外国人材ニーズが目立ちます。しかし、介護、農業、食品製造、清掃、製造業などにも人手不足は存在します。

特に高齢化が進む地域では、介護分野の外国人材受入れは今後さらに重要になると考えられます。京都の外国人人材戦略は、観光業だけでなく、地域生活を支える産業全体で考える必要があります。

4. 地域共生を前提にする

外国人人材を受け入れるということは、単に労働者を増やすことではありません。地域で暮らす人を迎えるということです。日本語学習、生活ルール、防災、医療、宗教・文化への配慮、地域住民との関係づくりなど、共生の視点が欠かせません。

京都は、歴史や文化を大切にする地域です。だからこそ、外国人材にも京都の文化や地域性を理解してもらい、同時に地域側も外国人人材を一方的な労働力としてではなく、地域の担い手として受け入れる姿勢が必要です。

京都は、外国人人材の受入れにおいて大きな可能性を持つ地域です。大学が多く、留学生が多い。世界的な観光都市として、宿泊・外食・観光関連産業のニーズがある。

特にホテルフロント業務は、外国人観光客への対応、外国語での予約・問い合わせ対応、通訳・翻訳、海外向け広報などを含む場合、技人国の「国際業務」と相性がよい分野です。

一方で、高齢化が進み、介護や地域産業の担い手不足も深刻になっています。

このような京都の特徴を踏まえると、外国人人材戦略は、単なる人手不足対策ではなく、地域の将来を支える人材戦略として考える必要があります。

技人国で採用すべき人材なのか。特定技能で受け入れるべき人材なのか。留学生をどのように地域企業につなげるのか。宿泊・観光だけでなく、介護、農業、食品製造、清掃、製造業などにどう広げていくのか。そして、採用後にどのように定着してもらうのか。京都における外国人材受入れは、今後ますます重要になります。

しかし、在留資格の制度を誤って理解したまま進めると、企業にも外国人本人にも大きなリスクが生じます。外国人人材の採用を検討する際は、採用前の段階から、業務内容、在留資格、支援体制、労務管理、定着支援を一体的に整理することが大切です。

京都の強みである「留学生」「観光」「文化」「地域産業」を活かしながら、適法で、持続可能な外国人材受入れを進めていくことが、これからの京都企業に求められているのではないでしょうか。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直


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この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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