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特定技能2号を、人材確保戦略にどう活かすべきかをわかりやすく解説

特定技能

こんにちは。行政書士の稲福です。

特定技能制度は、これまで多くの企業にとって「海外から人材を呼び寄せるための制度」として活用されてきました。しかし、今後はその考え方だけでは通用しなくなる可能性があります。実際に、外食業分野では特定技能1号の在留者数が受入れ見込数に近づいたことを受け、2026年4月13日以降に受理された新規の在留資格認定証明書交付申請は不交付、在留資格変更許可申請も原則不許可とする運用が示されています。

これは、外食業だけの問題ではありません。特定技能1号には、分野ごとに受入れ見込数が設定されており、大きな経済情勢の変化がない限り、1号特定技能外国人の受入れ上限として運用されます。つまり、これからの外国人雇用では、「辞めたら、また海外から呼べばよい」という発想が通用しなくなる可能性があります。

これから企業に求められるのは、単なる採用力ではありません。採用した特定技能人材に長く働いてもらい、技能・日本語・現場経験を高め、将来的に特定技能2号、または介護分野であれば在留資格「介護」へつなげていくための定着・育成戦略です。

ここからは、外食業分野の受入れ停止が示す意味、介護や他分野で求められる定着支援、そして特定技能2号へ移行するために企業・登録支援機関が今から準備すべきことについて、順を追って解説します。

✅ この記事でわかること
  • 特定技能2号が、これからの人材確保戦略になる理由
  • 特定技能1号が「無制限に採用できる制度」ではない理由
  • 外食業分野の新規受入れ停止が示す注意点
  • 企業が今から準備すべき育成・日本語支援・処遇改善のポイント
  • 介護分野で在留資格「介護」への移行を見据えるべき理由
  • 登録支援機関が2号移行・長期定着にどう関わるべきか

外食業分野では、特定技能1号の在留者数が受入れ見込数に近づいたことにより、2026年4月13日以降に受理された新規の在留資格認定証明書交付申請について、不交付とする運用が示されました。また、同日以降に受理された在留資格変更許可申請についても、原則として不許可とされています。

これは、特定技能制度を利用する企業にとって非常に大きな意味を持ちます。

これまでは、特定技能人材が退職した場合でも、「また海外から新しい人材を呼べばよい」「別の国から採用すればよい」「紹介会社に依頼すれば何とかなる」と考える企業も少なくありませんでした。

しかし、受入れ上限に達した分野では、候補者がいても、試験に合格していても、求人があっても、制度上、新規受入れができない可能性があります。

つまり、特定技能制度は、企業が必要なときにいつでも自由に使える制度ではないということです。

特定技能1号は、人手不足分野において一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れるための在留資格です。一方で、制度上、特定技能1号には分野ごとの受入れ見込数が設定されています。

出入国在留管理庁も、特定技能制度では受入れ分野ごとに5年間の受入れ見込数を設定し、大きな経済情勢の変化が生じない限り、1号特定技能外国人の受入れ上限として運用すると説明しています。そのため、ある分野で受入れ人数が急増すれば、外食業分野と同じように、新規受入れが制限される可能性があります。

これは、企業にとって大きなリスクです。求人を出しても、候補者が見つかっても、面接をして採用内定を出しても、在留資格申請の段階で制度上受け入れられないという事態が起こり得るからです。だからこそ、これからは「新しく採用すること」だけではなく、「今いる人材に長く働いてもらうこと」が重要になります。

外食業分野の受入れ停止は、外食業だけの問題ではありません。介護、建設、飲食料品製造業など、他の特定技能分野でも、今後の受入れ人数の推移によっては、同じように受入れ上限が問題となる可能性があります。

特に介護分野は、今後も深刻な人手不足が続くことが見込まれる分野です。ただし、介護分野には特定技能2号がありません。出入国在留管理庁は、介護分野については、現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるため、特定技能2号の対象分野とはしていないと説明しています。そのため、介護分野では、特定技能1号から特定技能2号を目指すのではなく、介護福祉士の国家資格取得を支援し、在留資格「介護」へつなげていくことが重要です。

一方、介護以外の2号対象分野では、特定技能2号への移行が、長期雇用の現実的な選択肢になります。つまり、これからの外国人雇用は、「採用して終わり」ではなく、「採用後、どう育て、どう定着させ、どう長期就労につなげるか」が重要になります。

特定技能2号は、特定技能1号よりも熟練した技能を有する外国人材を対象とする在留資格です。特定技能1号は、在留期間が通算で原則5年までとされています。

一方、特定技能2号には通算在留期間の上限がありません。また、特定技能2号では、要件を満たせば配偶者や子の帯同も認められます。企業にとっては、特定技能2号へ移行できる人材を育成することで、長期的な戦力として活躍してもらうことができます。

外国人本人にとっても、日本での生活設計、キャリア形成、家族帯同の可能性が広がります。そのため、特定技能2号への移行は、単なる在留資格変更ではありません。企業にとっては、人材確保戦略そのものです。

特定技能2号への移行は、申請直前に準備すればよいものではありません。特定技能1号で採用した段階から、将来的な2号移行を見据えて準備を進める必要があります。

本人のキャリア意思を確認する

まず重要なのは、本人が日本で長く働く意思を持っているかどうかです。企業が一方的に2号移行を考えても、本人が帰国を希望している場合や、他業種への転職を考えている場合には、現実的な計画にはなりません。採用時、入社後面談、定期面談の際に、本人の将来希望を確認することが大切です。

特に、次のような点を確認しておくとよいでしょう。

・日本でどのくらい働きたいと考えているか
・将来的に家族を呼びたい希望があるか
・現在の職場で長く働く意思があるか
・2号試験や資格取得に挑戦する意思があるか
・日本語学習を継続する意欲があるか

本人の意思を確認せずに制度だけを説明しても、実際の定着にはつながりません。

分野ごとの2号要件を確認する

特定技能2号へ移行するためには、分野ごとに定められた試験合格や実務経験が必要です。必要な試験、実務経験、管理・指導経験の内容は分野によって異なります。

そのため、企業は早い段階で、自社の分野において、

・どの試験に合格する必要があるのか
・実務経験はどの程度必要か
・管理・指導経験が必要か
・どのような業務経験を積ませるべきか
・試験はいつ、どこで実施されるのか

を確認しておく必要があります。

特定技能2号への移行は、在留期間満了が近づいてから考えるものではありません。入社後の業務設計そのものに関わる問題です。

現場で管理・指導経験を積ませる

特定技能2号は、単に長く働いていれば移行できるものではありません。分野によっては、複数名の作業者に対する指導、工程管理、品質管理、安全管理、後輩指導など、一定の管理・指導経験が重要になります。そのため、企業は早い段階から、本人に次のような経験を積ませることが重要です。

・新人外国人への作業説明
・後輩社員への教育補助
・作業手順の確認
・安全衛生に関する声かけ
・品質確認
・シフト内でのリーダー補助
・日本人社員と外国人社員の橋渡し
・業務日報や報告書の作成補助

これらは、単に2号申請のためだけではありません。本人を現場の中核人材として育成するためにも重要です。

4. 日本語学習を支援する

特定技能2号を目指すためには、現場で必要な専門用語や、管理・指導に必要な日本語を理解する力が求められます。日常会話ができるだけでは十分ではありません。

たとえば、後輩に作業を説明する、安全上の注意を伝える、不具合を報告する、上司に改善提案をする、といった場面では、より実務的な日本語力が必要になります。

企業としては、本人任せにするのではなく、次のような支援を検討すべきです。

・分野別の専門用語の学習
・試験対策教材の提供
・社内での日本語学習時間の確保
・先輩社員による業務説明
・模擬試験や講習情報の案内
・日本語能力に応じた業務範囲の拡大

日本語学習は、本人の努力だけに任せると継続が難しくなります。会社として「学ぶ環境」を整えることが、定着につながります。

処遇改善を行う

特定技能2号を目指す人材は、企業にとって長期的な戦力です。にもかかわらず、給与や待遇が1号の時とほとんど変わらなければ、本人のモチベーションは上がりません。また、本人が技能を高め、日本語を学び、後輩指導まで行うようになれば、それに見合った評価が必要です。

企業としては、次のような処遇改善を検討すべきです。

・昇給制度
・リーダー手当
・資格手当
・日本語能力手当
・職務手当
・住居支援
・家族帯同を見据えた生活支援
・長期雇用を前提とした評価制度

特定技能2号への移行は、本人にとって大きな努力を伴います。その努力に対して、企業が適切に評価する姿勢を示すことが重要です。

介護分野については、特定技能2号の対象ではありません。そのため、介護分野で特定技能1号として働く外国人材については、介護福祉士の国家資格取得を支援し、在留資格「介護」へ変更することが、長期就労の基本的な方向性になります。

介護事業者が今から準備すべきことは、単なる人員補充ではありません。介護福祉士資格の取得を見据えた育成体制を整えることです。

具体的には、次のような取組みが考えられます。

・介護福祉士国家試験に向けた学習支援
・介護記録、申し送り、利用者対応に必要な日本語教育
・試験前の勤務シフト調整
・現場リーダーによる学習フォロー
・資格取得後の処遇改善
・在留資格「介護」への変更を見据えたキャリア面談

介護分野では、特定技能1号の5年間をどのように使うかが非常に重要です。5年経過してから考えるのではなく、入社直後から資格取得を見据えた育成を行う必要があります。

登録支援機関は、特定技能1号外国人に対する義務的支援を行う立場です。しかし、これからの登録支援機関には、単に定期面談や生活支援を行うだけではなく、企業の外国人雇用戦略を支える役割が求められます。

特に、特定技能2号への移行や長期定着を見据える場合、登録支援機関は次のような支援を行うことが重要です。

・受入企業に対する2号移行の制度説明
・分野別の2号試験情報の提供
・本人のキャリア希望の確認
・日本語学習、技能学習の進捗確認
・現場で管理・指導経験を積めているかの確認
・企業への処遇改善の提案
・在留期間満了までの逆算スケジュール作成
・行政書士等と連携した在留資格変更申請の準備

登録支援機関は、本人の生活状況、職場での悩み、転職意向、学習状況を把握しやすい立場にあります。その情報を単なる面談記録で終わらせるのではなく、企業の定着支援に活かすことが重要です。

実務上、ここは非常に重要な論点です。特定技能1号の外国人が特定技能2号へ移行すると、登録支援機関による義務的支援の対象ではなくなります。そのため、登録支援機関から見ると、1号のまま在留してもらった方が、毎月の支援委託費が継続し、短期的には売上が残るように見えるかもしれません。

しかし、この考え方は非常に危険です。企業が本当に求めているのは、支援委託費を払い続けることではありません。特定技能人材に長く定着してもらい、現場の戦力になってもらうことです。登録支援機関が、自社の利益を優先して2号移行を積極的に案内しない、または本人や企業に十分な情報提供をしない場合、企業からの信頼を失う可能性があります。

これからの登録支援機関に求められるのは、「1号の支援費で稼ぐ機関」ではなく、「外国人材の定着とキャリア形成を支援できる専門機関」になることです。もちろん、2号移行により月額支援費は減るかもしれません。しかし、その代わりに、次のような高付加価値業務につなげることができます。

・外国人雇用管理に関する企業顧問
・定着支援コンサルティング
・日本語学習支援
・管理職育成支援
・キャリア面談の実施
・在留資格変更申請に向けた行政書士との連携
・新規採用時の制度設計支援

短期的な支援委託費ではなく、長期的な企業との信頼関係を重視すべきです。

特定技能2号評価試験の合格率は、分野や実施回によって大きく異なります。また、分野によっては受験者数が少ない場合や、合格率の公表形式が異なる場合もあります。そのため、単純に合格率だけで難易度を判断することはできません。

ただし、目安としては、分野によって合格率にかなり差があります。たとえば、民間の集計では、2025年実施分の例として、飲食料品製造業分野では全国平均52%、外食業分野では全国平均57.8%とされています。一方で、ビルクリーニング、建設、工業製品製造業などでは、実施回や区分によって合格率に大きな差があるとされています。

重要なのは、合格率の数字だけを見ることではありません。特定技能2号評価試験は、1号試験よりも高い実務能力が求められます。そのため、試験直前に短期間だけ勉強すれば合格できるというものではありません。日々の現場経験、専門用語の理解、管理・指導経験、日本語力を積み上げていく必要があります。

企業としては、試験日程や合格率だけを確認するのではなく、本人が合格できる状態に近づいているかを継続的に確認することが重要です。

特定技能1号の在留期間は、通算で原則5年です。5年という期間は長いように見えますが、実務上はあっという間です。入社直後は、日本の職場に慣れること、生活を安定させること、日本語でのコミュニケーションに慣れることで精一杯です。

2年目、3年目になってようやく現場に定着し、後輩指導や工程管理に関わる余裕が出てくる場合もあります。そこから2号試験対策を始めるのでは、遅い場合があります。

企業は、少なくとも入社後1年以内には、次の点を確認しておくべきです。

・本人に長期就労の意思があるか
・2号移行の対象分野か
・どの試験が必要か
・実務経験の要件は何か
・どのような管理・指導経験を積ませるか
・日本語学習をどう支援するか
・処遇をどう改善するか
・在留期間満了までのスケジュールはどうなるか

特定技能2号への移行は、申請の問題ではありません。人材育成の問題です。だからこそ、早めの対策が必要です。

これまで一部の企業では、特定技能人材が退職しても、「また海外から呼べばよい」「別の国から採用すればよい」「紹介会社に頼めば何とかなる」という考え方があったかもしれません。

しかし、外食業分野の受入れ停止は、その考え方が通用しなくなる可能性を示しています。受入れ上限に達した分野では、候補者がいても、試験に合格していても、制度上、新規受入れができない可能性があります。

このような状況では、既に雇用している外国人材に長く働いてもらうことが、最も現実的で安定した人材確保策になります。これからの企業に必要なのは、採用力だけではありません。

定着力。育成力。長期雇用設計力。この3つが重要になります。

外食業分野の特定技能1号受入れ停止は、特定技能制度の大きな転換点です。これまでのように、必要なときに海外から人材を呼び寄せるという発想だけでは、今後の人材確保は難しくなっていく可能性があります。

企業が今から行うべきことは、特定技能1号人材を単なる労働力として見ることではありません。将来の中核人材として育成することです。介護分野では、介護福祉士資格の取得と在留資格「介護」への移行を見据える必要があります。

介護以外の2号対象分野では、特定技能2号評価試験、実務経験、管理・指導経験、日本語力を計画的に整えていく必要があります。

登録支援機関も、単に1号の義務的支援を行うだけでは不十分です。これからは、企業に対して2号移行や長期定着の重要性を説明し、外国人本人のキャリア形成を支援する役割が求められます。

「辞めたらまた海外から呼べばよい」という時代は、終わりつつあります。これからの特定技能制度では、単に採用するだけでなく、定着を支え、定着した人材を育成し、その先に特定技能2号や在留資格「介護」への移行を見据えることが重要です。

採用、定着、育成、そして長期就労へ。この流れを企業・登録支援機関・行政書士が連携して作っていくことが、これからの外国人雇用において最も重要な課題になると考えます。

企業、登録支援機関、行政書士が連携し、特定技能人材が日本で長く安心して働ける仕組みを作ることが、これからの外国人雇用において最も重要な課題になると考えます。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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