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「外国語対応あり」だけでは技人国にならない理由~ツアーガイドは技人国で通るのか?~

技人国

こんにちは。行政書士の稲福です。

観光業やインバウンド関連事業では、外国人観光客への対応が増える中で、外国人材を採用したいという相談が増えています。

その中でもよくあるのが、「外国語ができる人をツアーガイドとして雇いたい」「外国人観光客向けの案内業務だから、技術・人文知識・国際業務、いわゆる技人国で申請できますか」というご相談です。

たしかに、ツアーガイド業務では、英語、中国語、ベトナム語、ネパール語、韓国語など、外国語を使用する場面があります。また、外国人観光客に対して、日本の観光地、文化、歴史、地域の魅力を説明する仕事であれば、一見すると「国際業務」に近いようにも見えます。

しかし、ここで注意が必要です。

在留資格の審査では、単に「外国語を使う仕事かどうか」だけで判断されるわけではありません。重要なのは、その人が実際に従事する業務内容が、技人国に該当する専門的業務といえるかどうかです。

つまり、「外国語対応あり」「外国人観光客対応あり」「ツアーガイド」という名称だけで、当然に技人国で認められるわけではありません。

この記事では、観光業におけるツアーガイド業務と技人国の関係について、実務上の注意点を整理します。

✅ この記事でわかること
  • 「外国語対応あり」だけでは技人国といえない理由
  • ツアーガイド業務が技人国で認められる可能性
  • 単なる観光案内・添乗業務が慎重に見られる理由
  • 技人国で検討しやすいツアーガイド関連業務
  • 求人票や理由書で避けたい書き方
  • 観光業・インバウンド事業者が採用前に確認すべきポイント

技人国は「外国語を使う仕事」なら何でもよいわけではないです。

まず前提として、技人国は、外国人が日本で働くための一般的な就労ビザではありません。技人国は、大学や専門学校等で学んだ知識、または一定の実務経験に裏付けられた専門的知識を活かして働くための在留資格です。

また、「国際業務」として認められるためには、単に外国人であることや、外国語が話せることだけでは足りません。外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務であることが求められます。

そのため、外国語を使用する場面があるとしても、それが業務全体の一部にすぎない場合や、実際の業務の中心が単純な接客・案内・現場対応である場合には、技人国として慎重に判断される可能性があります。ここが、観光業やツアーガイド業務で非常に重要なポイントです。

結論から申し上げると、ツアーガイド業務が技人国で絶対に認められないわけではありません。一方で、ツアーガイドであれば当然に技人国で認められる、というものでもありません。

重要なのは、ツアーガイドという職種名ではなく、実際の業務内容です。たとえば、次のような業務が中心である場合には、技人国としては慎重に見られる可能性があります。

・観光地への同行案内
・集合場所での誘導
・バスの乗降案内
・写真撮影の補助
・買い物場所への案内
・飲食店への誘導
・旅程表に沿った現場案内
・添乗員的な参加者管理
・お客様の移動補助
・土産物店や観光施設への案内

これらの業務は、観光業において重要な仕事であることは間違いありません。しかし、在留資格の観点から見ると、単なる接客・案内・現場対応と評価される可能性があります。つまり、たとえ外国語を使っていたとしても、それだけで技人国に該当するとは限らないのです。

観光業でよくある誤解が、「外国人観光客を相手にするから技人国で大丈夫」「英語で案内するから国際業務になる」「中国語で説明するから通訳業務になる」という考え方です。

もちろん、外国語対応は技人国と親和性があります。しかし、問題は、外国語を使う場面があるかどうかではありません。その外国語対応が、その人の中核業務といえるかどうかが重要です。

たとえば、観光地を歩きながら、決められた説明を外国語で行うだけの場合や、観光客から質問があったときに簡単に対応する程度であれば、単なる観光案内業務の一部と見られる可能性があります。

一方で、海外顧客向けの旅行商品の企画、外国語による観光資源の説明資料作成、海外旅行会社との折衝、外国語による問い合わせ対応、インバウンド向けマーケティングなどが日常的かつ中心的な業務であれば、技人国として説明しやすくなります。

つまり、ポイントは、外国語を使っているかどうかではなく、外国語能力や国際的な知識・感受性を必要とする業務が、職務全体の中でどの程度の位置づけにあるかです。

ツアーガイドという言葉を使う場合でも、業務の中身によっては、技人国で検討できる余地があります。

たとえば、次のような業務です。

・海外顧客向け旅行商品の企画
・外国語による観光資源の説明
・地域文化・歴史に関する外国語での情報発信
・海外旅行会社との連絡調整
・外国語による予約・問い合わせ対応
・外国語版パンフレットやWeb記事の作成
・インバウンド向けSNS発信
・海外向けプロモーションの企画
・通訳・翻訳を伴う専門的な顧客対応
・観光データや顧客ニーズの分析
・訪日外国人向けツアー商品の開発

このような業務が中核であれば、単なる現場案内ではなく、観光・語学・国際業務・企画・マーケティングに関する専門性を活かした業務として説明できる可能性があります。

特に、本人の学歴や職歴が、観光、語学、国際関係、地域文化、マーケティング、経営、旅行業などと関連している場合には、その関連性を丁寧に説明することが重要です。

しかし、外国人材の場合は、日本人従業員と同じ感覚で「必要なときに少し手伝ってもらう」という運用はできません。外国人は、それぞれ許可された在留資格の範囲内でのみ就労が認められており、その範囲を超える業務に従事させた場合、本人については不法就労に該当する可能性があります。

また、企業側も注意が必要です。たとえ、

「少しだけ手伝ってもらった」
「忙しい時間帯だけ対応してもらった」
「観光業務の一環だと思っていた」
「本人ができると言ったので任せた」

という認識であっても、在留資格上認められていない業務に従事させていた場合には、企業側が不法就労を助長したとして、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

特に、技術・人文知識・国際業務、特定技能、留学、家族滞在などの在留資格では、認められる活動内容や就労範囲が異なります。そのため、現場の人手不足や繁忙期対応を理由に、本来の業務範囲を超えた作業をさせることは、後日の更新申請や変更申請、実地調査の場面でも問題視される可能性があります。

外国人雇用では、「できるかどうか」ではなく、その在留資格でその業務を行わせてよいかを確認することが重要です。

ツアーガイド関連業務で外国人材を採用する場合、企業は採用前に少なくとも次の点を整理しておくべきです。

まず、本人に任せる業務の中心が何かを明確にすることです。単なる観光地案内なのか、海外顧客向けの企画・広報・通訳翻訳・旅行商品開発なのかによって、在留資格の考え方は大きく変わります。

次に、外国語対応が業務の一部なのか、中核業務なのかを確認する必要があります。外国語を使う場面があるだけでは不十分です。外国語能力や国際的な知識が、その業務を行ううえで本当に必要なのかを説明できなければなりません。

さらに、本人の学歴や職歴との関連性も重要です。観光、語学、国際関係、文化、地域振興、マーケティングなど、本人が学んできた内容や過去の職務経験と、実際に任せる業務がどのように結びつくのかを整理しておく必要があります。

最後に、採用後の運用です。申請時には専門的業務として説明していたにもかかわらず、実際には添乗・誘導・現場補助ばかりになってしまうと、在留資格との整合性が崩れてしまいます。

ツアーガイド業務で在留資格「技術・人文知識・国際業務」を検討する場合、求人票や理由書の書き方には注意が必要です。

たとえば、次のような書き方だけでは弱いです。

・外国人観光客のツアーガイド
・観光地の案内
・外国語による接客
・ツアー参加者の誘導
・観光客対応全般

これだけでは、単なる接客、案内、誘導、現場対応との違いが明確ではありません。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、単に外国語を使う仕事であればよいというものではなく、自然科学・人文科学の分野に属する専門的知識を要する業務、または外国文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務であることが求められます。入管庁も、該当例として通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング業務従事者等を挙げています。

そのため、理由書では、単なる「観光案内」ではなく、業務の中にどのような専門性、国際業務性、企画性があるのかを具体的に整理する必要があります。

たとえば、実態としてそのような業務がある場合には、次のような要素を整理します。

・海外顧客向け旅行商品の企画立案
・外国語による観光資源、地域文化、歴史的背景の説明
・海外旅行会社との予約調整、問い合わせ対応
・外国語版パンフレット、Web記事、SNS投稿の企画作成
・インバウンド向けプロモーションの企画
・訪日外国人のニーズ分析に基づくツアー内容の改善
・通訳翻訳を伴う専門的な顧客対応
・外国人観光客向けサービス改善に関する企画業務

このように、企画、通訳翻訳、海外顧客対応、広報、マーケティング、観光資源の発信といった要素が実際の業務に含まれている場合には、それを具体的に説明することが重要です。

ただし、ここで注意すべきなのは、現場ガイド業務がメインであるにもかかわらず、理由書上だけ「企画」「マーケティング」「通訳翻訳」「海外顧客対応」を強調しすぎることです。

実際の業務内容が、観光地での案内、集合場所での誘導、参加者対応、移動中の説明、トラブル時の現場対応などに大きく偏っている場合、形式上だけ専門職のように書いても、審査上は実態を見られます。

特に、初回申請時に「企画・マーケティング業務が中心」と説明して許可を受けたにもかかわらず、更新時に提出する資料や勤務実態から、実際にはほとんどが現場ガイド業務であったと判断されると、更新時に追加説明を求められたり、場合によっては更新が難しくなる可能性もあります。

したがって、求人票や理由書では、単に許可を取りやすく見せるために業務内容を広げるのではなく、実際に担当させる業務の割合、専門的業務と現場対応の関係、本人の学歴・職歴との関連性を、無理のない範囲で整理することが重要です。

たとえば、現場での案内業務が一定程度ある場合には、それを隠すのではなく、「外国語による観光資源・歴史的背景の説明を中心としつつ、これに付随して参加者対応や現地での調整業務を行う」など、主たる業務と付随業務の関係を明確にした方が、かえって自然です。

逆に、実態として大半が誘導、受付、接客、添乗補助である場合には、技人国での申請には慎重な検討が必要です。つまり、ツアーガイド業務で技人国を検討する場合に重要なのは、「外国語を使うかどうか」だけではありません。

その業務が、本人の専門的知識や外国文化に基盤を有する能力を必要とする業務として説明できるか。
そして、その説明が求人票、雇用契約書、理由書、実際の勤務内容、更新時の資料と矛盾しないか。

ここを丁寧に確認する必要があります。

ツアーガイド業務の中身によっては、技人国ではなく、他の在留資格を検討すべき場合もあります。特に、実際の業務が、観光地への同行、接客、現場案内、誘導、参加者管理、買い物同行、飲食店への案内などに広く及ぶ場合には、技人国に無理に寄せるのではなく、制度趣旨に合った別の方法がないかを慎重に検討する必要があります。

在留資格は、企業側が希望する名称で選ぶものではありません。実際に任せる仕事の内容に合わせて選ぶものです。この点を誤ると、申請時の不許可リスクだけでなく、許可後の運用リスクにもつながります。

ツアーガイド業務について、技術・人文知識・国際業務での申請が難しい場合でも、本人の経歴や業務内容によっては、特定活動46号を検討できる場合があります。

特定活動46号は、日本の大学等を卒業した外国人が、日本語能力を活かしながら、一定の幅広い業務に従事できる可能性がある在留資格です。出入国在留管理庁でも、「本邦大学等卒業者及びその配偶者等」に関する特定活動として案内されています。

たとえば、単なる観光地への同行や誘導だけではなく、日本語を用いた接客、外国人観光客への説明、店舗や施設との調整、予約対応、トラブル時の対応、ツアー運営全体のサポートなどを行う場合には、技人国とは別の選択肢として検討できる余地があります。

ただし、特定活動46号も、誰でも使える在留資格ではありません。本人が日本の大学等を卒業していること、日本語能力、雇用内容、報酬、業務内容との整合性などを確認する必要があります。

そのため、ツアーガイドやインバウンド関連業務で外国人材を採用する場合には、最初から「技人国でいけるか」だけで判断するのではなく、本人の学歴・日本語能力・実際の業務内容を踏まえて、技人国、特定活動46号、その他の在留資格のどれが実態に合っているかを整理することが重要です。

観光業の外国人採用では、次のような誤解がよく見られます。まず、「外国語を話せるから技人国で大丈夫」という誤解です。外国語能力は重要ですが、それだけで技人国に該当するわけではありません。

次に、「外国人観光客を相手にするから国際業務になる」という誤解です。相手が外国人であることだけでは足りません。業務そのものが、外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする内容かどうかが問題になります。

また、「ツアーガイドという仕事だから専門的だ」という考え方にも注意が必要です。ツアーガイド業務の中には、専門的な文化説明や企画業務に近いものもあれば、現場での案内・誘導・同行が中心となるものもあります。

最後に、「書類上、通訳翻訳と書けばよい」という誤解です。実際の勤務実態が異なっていれば意味がありません。在留資格の審査では、名称ではなく実態が重要です。

ツアーガイド業務は、外国語を使用するからといって、当然に技人国に該当するわけではありません。重要なのは、外国語対応が業務の一部に含まれているかどうかではなく、その人の中核業務が、通訳・翻訳、海外顧客対応、旅行企画、インバウンド向け広報、観光資源の企画・発信など、専門的知識や国際業務として説明できる内容になっているかどうかです。

一方で、観光地への同行、集合管理、旅程案内、買い物・飲食店への誘導、写真撮影補助などが中心となる場合には、たとえ外国語を使用していても、単なる接客・案内業務と評価され、技人国での許可には慎重な判断が必要になります。

大切なのは、在留資格に仕事を合わせることではありません。仕事の実態に合った在留資格を選ぶことです。観光業やインバウンド事業で外国人材を採用する場合には、採用前の段階で、任せる業務内容、本人の学歴・職歴との関連性、許可後の実際の運用まで含めて、慎重に整理しておくことが重要です。

外国語を使う仕事なのか。それとも、外国語能力と専門性を活かす仕事なのか。この違いが、技人国で検討できるかどうかの大きな分かれ目になります。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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