名称未設定 (2000 x 500 px) (16)
previous arrow
next arrow

【外食求人2倍】国内特定技能人材5万人争奪戦、日本の飲食店で今起きていること

時事問題

こんにちは。行政書士の稲福です。

外食分野の特定技能をめぐる採用環境が、ここにきて一段と厳しくなっています。

きっかけは、外食業分野の特定技能1号が受入れ見込数である5万人に近づき、新規受け入れに制限がかかったことです。出入国在留管理庁は、2026年4月13日以降に受理された一定の申請について、原則として不交付・不許可とする運用を公表しています。

これにより、海外から新たに人材を呼び寄せるルートや、他の在留資格から外食分野の特定技能へ変更するルートは、以前よりもかなり狭くなりました。

一方で、飲食店の現場から人手不足がなくなったわけではありません。店舗を営業するには、接客、調理、仕込み、清掃、深夜帯や土日のシフトなど、日々多くの人手が必要です。制度上は新規受け入れが制限されても、現場の採用ニーズは残り続けます。

その結果、採用の焦点は、すでに日本国内で外食分野の特定技能1号として働いている人材へ移っています。

今回の日経新聞でも、外食分野の特定技能求人が新規受け入れ停止後に約2倍へ増えたと報じられていました。これは単なる求人増加ではなく、外食企業の採用戦略が「海外から呼ぶ」から「国内にいる人材を確保する」へ切り替わっていることを示していると思います。

✅ この記事でわかること
  • 外食分野の特定技能求人が約2倍に増えている背景
  • 新規受け入れ停止後に、外食業界で何が起きているのか
  • なぜ国内在留の約5万人の外国人材をめぐる争奪戦になっているのか
  • 転職時に月収を約3万円上げるケースが出ている理由
  • 外国人材が「安い労働力」ではなく、企業を選ぶ側になり始めている現実
  • コンビニ・飲食店の現場から見える日本社会の変化
  • 外食業界が「外国人材がいないと営業できない」段階に入りつつあること
  • これから企業に求められる外国人材の採用・定着戦略

今回の日経新聞の記事で最も重要なのは、外食分野の特定技能求人が、新規受け入れ停止後に約2倍へ増えたという点です。

外食分野では、特定技能1号の受入れ見込数である5万人に近づいたことを受け、新規受け入れが一時停止されています。その影響は、すぐに採用市場へ表れました。

記事では、人材紹介サービスにおいて、外食分野の特定技能人材に対する求人が、新規受け入れ停止後に急増していることが紹介されています。しかし、新たに海外から呼び寄せるルートが制限されている。そのため、企業の目線は一気に、すでに日本国内にいる外食分野の特定技能人材へ向かっています。

ここが今回の大きなポイントです。制度上の受け入れ枠が詰まったことで、、国内にいる人材へ求人が集中し始めたのです。

日経記事では、特定技能の各分野について、受け入れ枠の状況にも触れられていました。その中でも、外食分野は受け入れ枠が特に詰まりつつある分野として示されています。

特定技能制度には、分野ごとに受入れ見込数があります。外食分野の受入れ見込数は5万人です。出入国在留管理庁の公表では、2026年2月末時点で、外食業分野の特定技能1号在留者数は約4万6,000人となっており、2026年5月頃には5万人を超えることが見込まれていました。

そのため、2026年4月13日以降に受理された外食業分野の在留資格認定証明書交付申請については、不交付とする運用が示されています。

また、同日以降に受理された在留資格変更許可申請についても、原則として不許可となる取扱いが示されています。つまり、外食分野は制度上、すでに受け入れ枠の限界に近いところまで来ているということです。

一方で、飲食店の現場では、今も人手不足が続いています。この「制度上の上限」と「現場の人手不足」のギャップが、国内人材の争奪戦を生んでいます。

ここで注意が必要なのは、外食分野の特定技能制度そのものが完全に止まったわけではないという点です。止まっているのは、主に新規で外食分野へ入ってくるルートです。

たとえば、海外から新たに外食分野の特定技能人材を呼び寄せる場合や、他の在留資格から新たに外食分野の特定技能1号へ変更する場合などは、原則として厳しい扱いになっています。

一方で、すでに外食業分野の特定技能1号として日本に在留している方が、外食業分野内で転職する場合などは、通常どおり審査される扱いです。

ここが非常に重要です。

外食企業が、今後まったく特定技能人材を採用できないわけではありません。ただし、採用対象は、主にすでに日本国内にいる外食分野の特定技能人材になります。

そのため、外食企業の採用戦略は、海外からの新規採用中心から、国内在留人材の確保へ大きく変わり始めています。

外食分野の受入れ見込数は5万人です。新規受け入れが制限されると、企業側が採用対象にできる人材は、すでに国内にいる外食分野の特定技能人材が中心になります。

つまり、外食企業同士が、限られた人材層に一斉に求人を出す状態になります。

採用したい企業は多い。しかし、対象となる人材は限られている。この状況では、人材側の選択肢が増えます。

条件の良い会社へ転職する。
住居支援がある会社を選ぶ。
休日が安定している会社を選ぶ。
日本語や生活面のサポートがある会社を選ぶ。
職場の雰囲気が良い会社を選ぶ。

これは、特定技能人材が企業から一方的に選ばれる時代から、特定技能人材が企業を選ぶ時代へ変わりつつあるということです。

今回の記事で報じられた「5万人の争奪戦」という構図は、まさにこの変化を表していると思います。

日経記事では、転職時に月収を約3万円引き上げるケースも紹介されていました。月収3万円の上昇は、外食分野では非常に大きな変化です。

これまで、特定技能人材については、安価な労働力と見られてきた面があったことは否定できません。しかし、今回のように求人が増え、企業同士で人材を取り合うようになると、当然、待遇改善が必要になります。

給与を上げる。
休日を整える。
住居支援を付ける。
日本語支援や生活支援を充実させる。
職場内の教育体制を整える。

こうした取り組みがなければ、特定技能人材に選ばれにくくなります。つまり、特定技能人材を安く雇う時代ではなく、特定技能人材に選ばれる職場をつくる時代に入っているということです。

これは、外食企業にとって大きな意識転換だと思います。

日経記事では、特定技能求人の平均年収についても触れられていました。記事に掲載されているグラフを見ると、外食を含む分野で、特定技能求人の年収水準が上昇傾向にあることが示されています。これは、単に求人件数が増えているだけではありません。企業が待遇を見直し始めているということです。

これまでのように、最低限の条件で募集を出せば人が集まるという状況ではなくなっています。特に外食分野では、採用対象となる国内在留人材が限られているため、企業側が条件を上げなければ、そもそも応募してもらえない可能性があります。

採用市場では、求人の数だけでなく、条件の比較も起きます。

月給はいくらか。
手当はあるか。
残業は多すぎないか。
休みは取れるか。
寮や住宅支援はあるか。
支援体制は整っているか。

人材側がこうした条件を見比べるようになれば、企業側も待遇改善を避けて通れません。今回の平均年収の上昇は、外食分野の採用市場が、売り手市場へ移りつつあることを示していると思います。

最近、コンビニや飲食店に入ると、外国人スタッフの方が接客や調理、レジ対応をしている光景をよく見かけます。これは、もはや特別な場面ではありません。むしろ、東京都心部では、外国人スタッフが現場の中心になっている店舗も珍しくありません。

ただ、ここで大事なのは、単に「外国人スタッフが増えた」という話ではないと思います。実際に接客を受けていると、日本語がとても自然で、説明も丁寧で、こちらが外国人スタッフだと意識しないことも多くあります。つまり、外国人材は、単に人手不足を埋める存在ではなく、すでに日本のサービス現場の品質を支える存在になっているということです。

外食やコンビニの仕事は、外から見るよりもはるかに大変です。ピークタイムの対応、細かいオペレーション、レジ、調理、清掃、クレーム対応、土日祝日や深夜の勤務。一つひとつの業務は地味に見えても、現場ではスピードと正確さ、そして接客力が求められます。

以前であれば、こうした現場は学生アルバイトやフリーターが多く支えていましたが、少子化が進み、働き方の選択肢も増えた今、日本人だけでこの現場を維持していくことは、かなり難しくなっています。

だからこそ、外国人材は「足りない分を補う人」ではなく、店舗を回すうえで欠かせない主力メンバーになっているのだと思います。

日経記事では、外食以外の分野についても、受け入れ枠の状況が示されていました。

飲食料品製造、建設、介護、農業、自動車整備、造船・舶用工業、航空など、特定技能の各分野で外国人材の受け入れが進んでいます。

ただ、外食分野はその中でも、受け入れ枠の上限に近づくスピードが早かった分野です。これは、外食業界の人手不足がそれだけ深刻であることを示しているともいえます。

そして、外食で今起きていることは、今後、他の分野でも起きる可能性があります。日本の人口減少が続く以上、人手不足分野では外国人材の重要性がさらに高まっていくはずです。外食分野の求人2倍は、日本の労働市場全体の先行事例として見るべきだと思います。

今回の求人増加は、外食企業が一時的に採用数を増やしている、というだけの話ではありません。むしろ、外食業界そのものが、外国人材を前提にしなければ成り立ちにくい構造へ変わり始めていることを示しているように感じます。

これまで外国人人材は、忙しい店舗を支えるための追加戦力、あるいは人手不足を補う存在として見られることも多かったと思います。しかし、今後はその位置づけが変わっていきます。人材が集まりにくい店舗では、外国人人材をどれだけ採用し、定着してもらえるかが、営業時間やサービス品質そのものに直結していくはずです。

特に、都心部の飲食店、複数店舗を展開するチェーン店、深夜帯の営業を行う店舗、採用が難しい地方店舗では、この影響はより大きくなると思います。

一方で、外食分野では新規受け入れが制限され、採用できる人材の母数は限られています。現場では人が足りない。しかし、新たに外から人材を入れられない。その結果、すでに日本国内で働いている外食分野の特定技能人材に求人が集中し、企業間の採用競争が強まっています。

これは、外食業界が「外国人人材を活用するかどうか」を検討する段階から、「外国人人材に選ばれる職場をどうつくるか」を考える段階へ移ったことを意味していると思います。

これからの外食企業に求められるのは、単に外国人材を採用することではありません。外国人人材に選ばれ、定着してもらえる職場をつくることです。

具体的には、次のような点が重要になります。

・給与水準
・休日、シフトの安定性
・住居支援
・日本語学習の支援
・生活面の相談体制
・職場内のコミュニケーション
・キャリアパス
・ハラスメント防止
・文化や宗教への配慮
・登録支援機関との連携

特定技能人材は、制度上、一定の範囲で転職が可能です。そのため、職場環境や待遇に不満があれば、他社へ転職することも現実的に起こります。採用できたら終わりではありません。むしろ、採用後にどれだけ定着してもらえるかが重要です。

人材紹介、在留資格申請、登録支援、生活支援、定着支援。これらをバラバラに考えるのではなく、一体的に整えることが、これからの外国人材採用では必要になります。

外食分野の特定技能求人が増えている背景には、新規受け入れが制限されたことで、採用の対象が国内在留者に大きく絞られたことがあります。受入れ見込数である5万人に近づいたことで、外食分野に新たに入ってくるルートは限られました。

一方で、飲食店の現場では、必要な人員が急に減るわけではありません。店舗を営業するためには、これまでどおり人が必要です。そのため、すでに日本国内で外食分野の特定技能1号として働いている人材に、求人が集中するようになっています。

今回の日経新聞の記事で紹介されていた「求人2倍」「5万人の争奪戦」「転職で月収3万円上げ」という動きは、外食業界の採用環境が、明らかに売り手市場へ傾き始めていることを示しています。

これからの外食企業にとって重要なのは、外国人人材を単なる人員補充として考えないことです。給与や休日、住居支援、職場の雰囲気、相談しやすい体制など、働く側が安心して長く続けられる環境を整えられるかどうかが、採用力に直結していきます。

外国人人材に来てもらう時代から、外国人人材に選ばれる時代へ。外食業界は、まさにその転換点に立っていると思います。

今後は、採用して終わりではなく、入社後のフォロー、生活面の支援、職場内での育成まで含めて考える企業が、人材を確保しやすくなるはずです。

外国人人材は、短期的な穴埋め要員ではありません。現場を支え、サービスの質を維持し、企業の成長を一緒につくっていく存在として向き合うことが、これからの外食企業に求められているのだと思います。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

稲福 正直をフォローする
時事問題特定技能
シェアする
稲福 正直をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました