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経営・管理ビザの「管理」とは?取締役・支店長・事業部長は該当するのかをわかりやすく解説

経営・管理

こんにちは。行政書士の稲福です。

外国人が日本で会社を経営したり、会社の役員や管理職として事業運営に関わる場合に検討される在留資格が「経営・管理」です。

「経営・管理」と聞くと、会社を設立して代表取締役になる外国人経営者をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、この在留資格は、会社を自ら経営する人だけを対象としているわけではありません。在留資格の名称どおり、「経営」だけでなく、事業の「管理」に従事する外国人も対象になります。

では、この「管理」とは、具体的にどのような活動を指すのでしょうか。上場企業の取締役、執行役員、支店長、事業部長、工場長、統括マネージャーなどは、経営・管理ビザの「管理」に該当するのでしょうか。

この記事では、経営・管理ビザにおける「管理」の意味、経営との違い、技人国との違い、役員や管理職で申請する場合の注意点について解説します。

✅ この記事でわかること
  • 経営・管理ビザの「管理」とは何を意味するのか
  • 「経営」と「管理」の違い
  • 上場企業の取締役や執行役員が該当する可能性
  • 支店長・事業部長・工場長・統括マネージャーが該当するケース
  • 単なる肩書だけでは経営・管理に該当しない理由
  • 現場作業中心の場合に注意すべきポイント
  • 技人国と経営・管理の使い分け
  • 企業が外国人役員・管理職を受け入れる際に確認すべき事項

経営・管理ビザとは、日本で事業の経営を行い、またはその事業の管理に従事する外国人を対象とする在留資格です。

たとえば、外国人が日本で会社を設立して代表取締役として事業を運営する場合、既存企業の役員として経営に参画する場合、または日本法人・支店・事業部門の管理責任者として事業運営を行う場合などが想定されます。

ここで重要なのは、経営・管理ビザは「会社を作る人」だけの在留資格ではないという点です。既に存在している会社において、役員や管理職として事業の運営に関与する場合も、活動内容によっては経営・管理の対象となります。

経営・管理ビザを理解するうえで、まず「経営」と「管理」を分けて考えることが重要です。

「経営」とは、会社や事業全体の方針を決定し、事業を運営する活動です。代表取締役、取締役、CEO、CFO、COOなど、会社全体または重要な事業の意思決定に関与する立場が典型例です。

一方、「管理」とは、会社全体の経営者ではなくても、事業の一部、部門、拠点、支店、工場、店舗などを責任者として運営・統括する活動です。たとえば、事業部長、支店長、工場長、営業所長、統括マネージャーなどが該当し得ます。

簡単に整理すると、次のようになります。

CATEGORY
「経営」と「管理」の違い
区分 内容 具体例・ポイント
経営 会社や事業全体の方針を決め、事業を運営する活動 代表取締役、取締役、CEO、CFO、COOなど。会社全体の意思決定や事業運営に関与する立場が想定されます。
管理 部門・支店・工場・店舗・事業などを責任者として統括する活動 事業部長、支店長、工場長、店舗統括責任者、統括マネージャーなど。一定の組織や事業を責任者として管理する立場が想定されます。
ポイント:
「管理」は、単に役職名が付いているだけではなく、一定の組織・部門・店舗・事業を責任者として統括する立場であることが重要です。 そのため、実際の業務内容、権限、部下の有無、事業運営への関与などが確認されます。

つまり、「経営」は会社や事業の方向性を決める立場、「管理」は決められた事業を責任者として動かす立場と考えるとわかりやすいです。

経営・管理ビザにおける「管理」とは、単に部下がいる、役職名がある、マネージャーと呼ばれている、というだけでは足りません。重要なのは、事業運営に実質的に関与しているかどうかです。

具体的には、次のような活動が「管理」に近いと考えられます。

・部門や拠点の責任者として業務全体を統括する
・売上、利益、予算、コストを管理する
・従業員の採用、配置、評価、教育に関与する
・事業計画や営業方針を立てる
・取引先との重要な交渉を行う
・現場スタッフに対して業務指示や改善指導を行う
・会社の重要な意思決定や事業運営に関与する

要するに、自分が作業員として現場に立つのではなく、組織、人、予算、売上、業務フローなどを管理し、事業を動かす立場であることが重要です。

上場企業の取締役、執行役員、事業責任者などは、経営・管理ビザの対象となる可能性があります。特に、会社の経営方針、事業戦略、予算、人員配置、組織運営、重要な契約、内部統制などに関与する場合は、「管理」というより、むしろ「経営」に近い活動と評価されることもあります。

たとえば、次のようなケースです。

・上場企業の取締役として経営会議に参加する
・海外事業担当役員として日本法人の事業戦略を統括する
・CFOとして財務戦略や予算管理を担う
・COOとして事業執行全体を管理する
・事業部門の責任者として売上・人員・予算を管理する

このような場合、役職、権限、報酬、業務内容、会社規模などを踏まえて、経営・管理に該当する可能性があります。

ただし、ここで注意すべきなのは、取締役という肩書があれば当然に経営・管理ビザに該当するわけではないという点です。名義上の取締役であり、実際には経営判断に関与していない場合、報酬が極端に低い場合、非常勤で実態が乏しい場合などは、経営・管理として評価されにくい可能性があります。

経営・管理ビザで最も注意すべきポイントは、肩書だけでは判断されないという点です。取締役、執行役員、マネージャー、支店長、店長などの肩書があっても、実際の業務内容が現場作業中心であれば、経営・管理の「管理」とは評価されにくくなります。

たとえば、次のようなケースは注意が必要です。

・飲食店の店長だが、自分が調理や接客を中心に行っている
・小売店のマネージャーだが、実態はレジ打ちや品出しが中心
・ホテルの責任者という肩書だが、実際はフロント業務が中心
・工場長という肩書だが、実際は製造作業が中心
・営業部長という肩書だが、実際は個人営業担当者に近い
・取締役に就任しているが、経営会議や意思決定に関与していない

経営・管理ビザでは、肩書ではなく、実際に何をしているのかが重要です。そのため、申請では、役職名だけでなく、具体的な業務内容、権限、管理対象、人員体制、報酬、組織図などを丁寧に説明する必要があります。

支店長、事業部長、工場長、営業所長、統括マネージャーなども、活動内容によっては経営・管理ビザの「管理」に該当する可能性があります。

たとえば、次のような場合です。

・支店の売上、利益、予算を管理している
・複数の従業員を管理している
・採用や人事評価に関与している
・取引先との重要な契約交渉を行っている
・支店や事業部の営業方針を決定している
・本社から一定の裁量を与えられている
・現場作業ではなく、管理業務が中心である

一方で、支店長や店長という肩書であっても、実態が現場作業中心であれば、経営・管理ではなく、他の在留資格を検討すべき場合があります。

特に飲食店、小売店、宿泊施設、工場、清掃、建設などの現場では、「管理者」と「現場作業者」の境界が問題になりやすいため注意が必要です。

外国人役員や管理職を受け入れる場合、経営・管理ではなく、技術・人文知識・国際業務、いわゆる「技人国」で整理する方が自然なケースもあります。

技人国は、本人の学歴や職歴と、従事する業務内容との関連性が重視される在留資格です。たとえば、マーケティング、経理、財務、人事、法務、システム開発、コンサルティング、海外営業、通訳・翻訳、貿易業務など、専門的な知識を活かして働く場合は、技人国の対象となる可能性があります。

一方、経営・管理は、専門業務そのものではなく、事業の経営または管理に実質的に関与する活動が中心です。

整理すると、次のようになります。

COMPARISON
技術・人文知識・国際業務と経営・管理の違い
項目 技術・人文知識・国際業務 経営・管理
主な対象 専門職、ホワイトカラー業務 経営者、役員、管理責任者
判断の中心 学歴・職歴と業務内容の関連性 事業の経営・管理への実質的関与
典型例 エンジニア、マーケター、経理、法務、海外営業など 代表取締役、取締役、支店長、事業部長など
現場作業 原則として対象外 原則として対象外
ポイント 専門知識を使う業務か 事業を動かす権限と責任があるか
ポイント:
技術・人文知識・国際業務は、本人の学歴・職歴と担当業務との関連性が重視されます。 一方、経営・管理では、本人が事業の経営や管理に実質的に関与しているか、権限と責任を持っているかが重要になります。

たとえば、外国人が「マーケティング部長」として働く場合でも、実態がマーケティング戦略の立案や分析、広告運用、海外展開の企画などであれば、技人国の方が適していることがあります。

一方で、マーケティング部門全体の予算、人員、戦略、意思決定を統括している場合は、経営・管理の「管理」に近づきます。

役員に就任したからといって、必ず経営・管理ビザに変更しなければならないわけではありません。

たとえば、CTO、CFO、CMO、法務担当役員、海外事業担当役員などの場合、役員としての地位を持ちながらも、実際の活動内容が専門的な知識に基づく業務であれば、技人国や高度専門職で整理できる場合があります。

具体的には、次のようなケースです。

・CTOとしてシステム開発や技術戦略に関与する
・CFOとして財務、会計、資金調達を担当する
・CMOとしてマーケティング戦略を担当する
・法務担当役員として契約、コンプライアンスを担当する
・海外事業担当役員として国際業務、海外展開を担当する

このような場合は、肩書だけで判断せず、実際の業務内容をもとに、経営・管理、技人国、高度専門職のいずれで整理するのが適切かを検討する必要があります。

実務上、経営・管理ビザの「管理」に該当しやすいのは、次のようなケースです。

・一定規模の会社や事業部門を任されている
・部下や従業員を管理している
・売上、利益、予算、コストの管理をしている
・採用、評価、配置など人事権限がある
・重要な契約や取引に関与している
・会社や事業部門の方針決定に関与している
・報酬が管理職・役員として相応である
・組織図上も責任者として位置付けられている

特に、上場企業や一定規模の会社で、明確な組織体制があり、本人の権限や担当範囲が客観的に説明できる場合は、経営・管理として整理しやすくなります。

一方で、次のようなケースは注意が必要です。

・肩書だけが管理職で、実態は現場作業中心
・部下や管理対象がいない
・予算や売上に関する管理権限がない
・採用や人事評価に関与していない
・上司の指示に従って日常業務を行うだけ
・役員報酬や管理職報酬としての実態が乏しい
・会社規模や業務量から見て、外国人管理者を置く合理性が弱い
・経営会議や重要な意思決定に関与していない

このような場合、経営・管理ビザではなく、技人国や特定技能など、別の在留資格を検討する必要がある場合があります。

経営・管理ビザの「管理」として申請する場合、重要なのは、本人が本当に管理業務に従事することを客観的に示すことです。

具体的には、次のような資料が重要になります。

・雇用契約書または役員報酬を定めた資料
・辞令、就任承諾書、株主総会議事録、取締役会議事録
・組織図
・本人の職務内容説明書
・管理する部門、支店、事業所の説明資料
・部下の人数や職種がわかる資料
・予算、売上、事業計画に関する資料
・会社案内、登記事項証明書、決算書
・事業計画書
・本人の経歴を証明する資料
・報酬額の根拠資料

特に、単に「管理職です」と説明するだけでは不十分です。どの部門を管理するのか、何人を管理するのか、どのような権限があるのか、現場作業との違いは何か、会社にとってなぜその外国人管理者が必要なのかを整理する必要があります。

経営・管理ビザについては、近年、基準の厳格化が進んでいます。

特に、新規で経営・管理ビザを取得する場合には、事業所、事業規模、常勤職員、日本語能力、経歴、事業計画の具体性・合理性・実現可能性など、複数の観点から審査されます。

また、申請者が事業の管理に従事しようとする場合には、経営管理または申請する事業に必要な技術・知識に関する博士、修士、専門職学位を有すること、または事業の経営・管理について3年以上の経験を有することが求められる点にも注意が必要です。

そのため、単に「日本法人のマネージャーとして赴任する」「取締役に就任する」というだけではなく、本人の経歴、会社の事業実態、管理業務の内容、報酬、組織体制を総合的に確認する必要があります。

企業が外国人役員や管理職を受け入れる場合、次の点を確認することが重要です。

CHECK POINT
経営・管理ビザで確認すべきポイント
本人の役職は何か
実際の業務内容は何か
経営判断や管理業務にどの程度関与するか
管理する部門、事業、拠点、人員、予算があるか
現場作業が中心になっていないか
本人の報酬額は役職に見合っているか
会社の規模や業務量から見て、その管理者を置く合理性があるか
本人の過去の職歴や学歴は基準に合っているか
技人国や高度専門職で整理する方が適切ではないか
申請時に組織図や職務内容説明書で具体的に説明できるか
ポイント:
経営・管理ビザでは、肩書だけではなく、実際にどのような権限と責任を持って事業に関与するのかを具体的に説明することが重要です。 特に、組織図、職務内容説明書、報酬額、会社規模との整合性は、実務上の重要な確認ポイントになります。

特に、飲食店、小売店、宿泊施設、工場、建設現場などでは、肩書上は店長や管理者であっても、実態が現場作業中心になりやすいため注意が必要です。

経営・管理ビザの「管理」とは、単なるマネージャーや店長という肩書を意味するものではありません。重要なのは、事業の運営に実質的に関与しているかどうかです。

上場企業の取締役、執行役員、事業部長、支店長、工場長、統括マネージャーなどは、会社や事業部門の運営について実質的な権限と責任を持つ場合、経営・管理ビザの対象となる可能性があります。

一方で、役員に就任しているだけ、管理職という肩書があるだけ、店長という名前があるだけでは足りません。実際に、重要事項の決定、事業の執行、監査、部門統括、人員管理、予算管理などに関与しているかが重要です。

また、実際の業務が専門職に近い場合は、経営・管理ではなく、技術・人文知識・国際業務や高度専門職で整理する方が適切なこともあります。

外国人役員・管理職の受入れを検討する場合は、肩書ではなく、実際の活動内容、権限、報酬、会社規模、組織体制を踏まえて、適切な在留資格を選択することが重要です。

当事務所では、経営・管理、技術・人文知識・国際業務、高度専門職など、外国人役員・管理職の在留資格申請をサポートしております。

取締役、執行役員、支店長、事業部長、統括マネージャーなどの外国人材について、経営・管理に該当するのか、技人国で整理すべきか、高度専門職の可能性があるのかについても、個別事情に応じて確認いたします。

外国人役員・管理職の受入れ、在留資格変更、更新、企業内転勤からの切替えなどをご検討の企業様は、お気軽にご相談ください。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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