こんにちは。行政書士の稲福です。
今回は、外国人の方が在留カードの更新申請をした後、在留期限までに許可が下りず、いわゆる「特例期間」に入った場合の注意点について解説します。
在留期間更新許可申請を在留期限までに行っていれば、在留期限を過ぎても、一定期間は適法に日本に在留できる場合があります。
しかし、ここで注意しなければならないのが、マイナンバーカードや銀行口座の手続きです。
本人は適法に在留していても、マイナンバーカードの有効期限が切れてしまったり、銀行に登録されている在留期限情報が更新されていなかったりすると、コンビニ交付、マイナポータル、オンライン手続き、さらにはキャッシュカードやATM取引、振込、送金などに支障が出る可能性があります。
特に外国人の方は、「入管に更新申請を出したから大丈夫」「在留カードの更新が終わればすべて完了」と考えがちです。
しかし、実際には、入管での手続きだけでなく、市区町村でのマイナンバーカード手続きや、銀行への在留期限情報の届出も重要です。
この記事では、在留カード更新申請中に在留期限を迎える場合の注意点、マイナンバーカードの有効期限延長、銀行口座の利用制限を防ぐための対策について、実務上のポイントをわかりやすく解説します。
- 在留カード更新申請中に在留期限を迎える場合の注意点
- 在留期限後も一定期間在留できる「特例期間」とは何か
- 外国人のマイナンバーカードの有効期限と在留期間の関係
- 在留期間更新後にマイナンバーカードが自動延長されない理由
- 更新申請中にマイナンバーカードの特例延長が必要になるケース
- 特定在留カードを利用する場合の有効期限に関する注意点
- 特例期間中に銀行口座やキャッシュカードが制限される可能性
- 銀行口座の利用制限を防ぐために事前に行うべき手続き
- 更新許可後に市区町村と銀行で必要となる手続き
- 外国人本人・雇用主・支援者が確認すべき実務上のポイント

在留期間更新申請中に在留期限を迎えることがある
外国人の方が日本で引き続き生活や就労を続けるためには、在留期限までに在留期間更新許可申請を行う必要があります。通常、在留期間更新許可申請は、在留期限のおおむね3か月前から行うことができます。
もっとも、申請をしたからといって、必ず在留期限までに結果が出るとは限りません。入管の審査状況、申請内容、追加資料の有無などによっては、在留期限までに許可・不許可の結果が出ないことがあります。
このような場合、在留期限までに適法に在留期間更新許可申請を行っていれば、一定期間、従前の在留資格で引き続き日本に在留できる場合があります。
これが、一般的に「特例期間」と呼ばれるものです。
特例期間とは
特例期間とは、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を在留期限までに行ったものの、在留期限までに入管の処分がされない場合に、一定期間、従前の在留資格で日本に在留できる制度です。
具体的には、処分がされる日、または在留期間満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日まで、従前の在留資格で引き続き在留できる場合があります。
たとえば、在留期限が2026年8月31日で、その日までに在留期間更新許可申請を行っている場合、在留期限までに結果が出なくても、直ちに不法残留になるわけではありません。
ただし、これはあくまで適法に申請が受理されていることが前提です。
窓口申請の場合、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に、申請中であることが記載されることがあります。オンライン申請の場合は、申請受付番号通知メールなどが、申請中であることを示す資料になります。
特例期間中は、在留カードの表面上は在留期限を過ぎているように見えるため、金融機関、勤務先、市区町村などで説明が必要になることがあります。
外国人のマイナンバーカードは在留期限と連動する
在留期間の定めがある外国人の方は、マイナンバーカードの有効期限にも注意が必要です。
日本人の場合、マイナンバーカードの有効期限は、原則としてカード発行日から10回目の誕生日までです。未成年者の場合は、発行日から5回目の誕生日までとされています。
一方、在留期間の定めがある外国人の場合、マイナンバーカードの有効期限は、原則として在留期間の満了日までとなります。つまり、多くの場合、在留カードに記載されている在留期間満了日と、マイナンバーカードの有効期限が同じ日になります。
たとえば、在留カードの在留期限が2026年8月31日であれば、マイナンバーカードの有効期限も2026年8月31日までとなるのが基本です。この点は、日本人のマイナンバーカードとは大きく異なるため、外国人本人も、雇用主や支援者も注意が必要です。
在留カードを更新してもマイナンバーカードは自動で延長されない
ここで特に重要なのは、入管で在留期間更新許可を受け、新しい在留カードが交付されたとしても、マイナンバーカードの有効期限が自動で延長されるわけではないという点です。
在留カードを更新した後も、マイナンバーカードを引き続き利用するためには、住所地の市区町村窓口で、マイナンバーカードの有効期限延長手続きを行う必要があります。
この手続きを忘れてしまうと、マイナンバーカードや電子証明書が失効する可能性があります。
マイナンバーカードや電子証明書が失効すると、次のような手続きに支障が出ることがあります。
- 住民票や印鑑登録証明書などのコンビニ交付
- マイナポータルの利用
- オンラインでの行政手続き
- 電子証明書を利用した本人確認
- マイナ保険証としての利用
- 各種証明書のオンライン申請
失効後に再発行する場合は、手数料がかかったり、再交付まで時間がかかったりすることがあります。
そのため、在留カードの更新が完了したら、市区町村でのマイナンバーカード有効期限延長手続きまで行って、はじめて一連の手続きが完了すると考えるべきです。
更新申請中はマイナンバーカードの特例延長ができる場合がある
在留期間更新申請中で、在留期限までに許可が下りない場合、マイナンバーカードの有効期限にも注意が必要です。
マイナンバーカードの有効期限は、原則として在留期間の満了日までです。そのため、在留期間更新申請中であっても、何もしなければ、マイナンバーカードの有効期限が到来してしまいます。
自治体によっては、在留期間更新許可申請中であることを示す資料を提示することで、マイナンバーカードの有効期限を特例で最長2か月延長できる場合があります。
具体的には、次のような資料が必要になることがあります。
- マイナンバーカード
- 在留カード
- 在留カード裏面の申請中であることが分かる記載
- オンライン申請の場合は申請受付番号通知メール
- 本人確認書類
- 暗証番号
ただし、必要書類や手続方法は自治体によって異なる場合があります。また、この特例延長は、マイナンバーカードの有効期限が切れる前に手続きすることが重要です。
すでに有効期限が切れてしまった場合、延長ではなく再発行が必要になる可能性があります。さらに、特例延長をした場合でも、それで手続きが完全に終わるわけではありません。
在留期間更新許可が下り、新しい在留カードを受け取った後は、改めて市区町村窓口で、新しい在留期間に合わせたマイナンバーカードの有効期限延長手続きを行う必要があります。
特定在留カードの場合も有効期限には注意
2026年6月14日から、特定在留カードの運用が開始されました。特定在留カードとは、在留カードにマイナンバーカード機能を付加したカードです。従来は、外国人の方は在留カードとマイナンバーカードの2枚を持つ形でしたが、特定在留カードを利用することで、これらの機能を1枚にまとめることができます。
ただし、特定在留カードを利用している場合でも、在留期間とマイナンバーカード機能の有効期間の関係を正しく理解しておく必要があります。特に、在留期間更新申請中に在留期限を迎える場合には、特定在留カードであっても、マイナンバーカード機能の有効期間に関する手続きが必要となる場合があります。
また、通常のマイナンバーカードを持っている方が、在留期間更新後に市区町村での有効期限延長手続きを忘れると、マイナンバーカード機能が利用できなくなる可能性があります。
「特定在留カードだから何もしなくてよい」と誤解せず、在留期間更新後や更新申請中の取扱いについては、入管だけでなく、市区町村にも確認しておくことが大切です。
在留カード更新申請中は銀行口座にも注意
在留期間更新申請中に在留期限を迎える場合、もう一つ注意すべきなのが銀行口座です。
近年、外国人名義の銀行口座について、金融機関による在留期限の確認が厳格化されています。在留カードを更新した場合や、在留期間更新申請中に在留期限を迎える場合には、銀行へも在留期限に関する情報を届け出る必要があります。
ここで問題になるのは、本人が特例期間により適法に日本に在留していても、銀行側がその事情を自動的に把握できるわけではないという点です。
銀行に届け出ている在留期間が満了したままになっていると、金融機関によっては、キャッシュカード、ATMでの出金、振込、送金、デビットカード機能、インターネットバンキングなどに制限がかかる場合があります。
これは、在留期限が切れた外国人名義の口座が、帰国後に第三者へ譲渡されたり、犯罪収益移転や不正送金に利用されたりするリスクを防ぐため、金融機関が本人確認や取引管理を強化していることによるものです。
特例期間中にキャッシュカードが使えなくなる可能性
実務上、特に注意すべきなのは、本人が「入管に申請しているから大丈夫」と考えていても、銀行側では「登録されている在留期限が過ぎている」と判断される可能性があることです。
その結果、給与が振り込まれている口座であっても、ATMで出金できない、送金できない、インターネットバンキングに制限がかかるといったトラブルが発生することがあります。
生活費の引き出し、家賃の支払い、公共料金の支払い、母国への送金、家族への仕送りなどに影響が出る可能性があります。特に、給与口座として利用している銀行口座に制限がかかると、本人の生活に直接影響します。
そのため、在留期限が近づいている外国人の方は、入管手続きだけでなく、銀行への届出も早めに行うことが重要です。
銀行口座の利用制限を防ぐための対策
銀行口座の利用制限を防ぐためには、在留期限が切れる前に、取引銀行へ事前に確認・届出をしておくことが大切です。
在留期間更新申請をしたものの、在留期限までに許可が下りない可能性がある場合には、銀行の窓口や問い合わせ窓口に連絡し、在留期間更新申請中であることを伝えましょう。
一般的には、次のような資料を求められることがあります。
- 現在の在留カード
- 在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請中」の記載
- オンライン申請の場合は、申請受付番号通知メール
- パスポート
- キャッシュカードまたは通帳
- 本人確認書類
必要書類や手続方法は金融機関によって異なります。
銀行によっては、窓口での手続きが必要な場合もあれば、インターネットバンキングや郵送で対応できる場合もあります。
そのため、在留期限が近づいてから慌てるのではなく、在留期間更新許可申請をした段階で、早めに取引銀行へ確認しておくことをおすすめします。
更新許可後は新しい在留カードを銀行へ届け出る
在留期間更新許可が下り、新しい在留カードを受け取った後も注意が必要です。入管で新しい在留カードを受け取っても、その情報が銀行へ自動的に通知されるわけではありません。
銀行に登録されている在留期限情報を更新するためには、本人が新しい在留カードを銀行へ提示し、在留資格・在留期間満了日などの情報を届け出る必要があります。
更新申請中であることを銀行に伝えて一時的に取引制限を猶予してもらった場合でも、新しい在留カードを受け取った後に正式な更新情報を届け出なければ、後日あらためて取引制限がかかる可能性があります。
したがって、在留期間更新許可後は、次の3つの手続きをセットで考えることが重要です。
- 入管で新しい在留カードを受け取る
- 市区町村でマイナンバーカードの有効期限を延長する
- 銀行へ新しい在留カード情報を届け出る
外国人本人だけでなく雇用主・支援者も注意が必要
この問題は、外国人本人だけの問題ではありません。外国人を雇用している企業、登録支援機関、行政書士、生活支援を行う関係者にとっても、重要な実務上の注意点です。
たとえば、特定技能外国人や技術・人文知識・国際業務の外国人が在留期間更新申請中に特例期間に入った場合、本人は適法に就労を継続できるケースであっても、銀行口座の利用制限により給与の引き出しや生活費の支払いに支障が出る可能性があります。
また、マイナンバーカードが失効すると、住民票のコンビニ交付、マイナポータル、オンライン行政手続き、マイナ保険証などの利用にも影響が出ます。
外国人本人が日本語で金融機関や市区町村に確認することが難しい場合もあります。そのため、雇用主や支援者は、在留期限の管理だけでなく、マイナンバーカードと銀行口座の手続きについても、早めに案内しておくことが望ましいです。
実務上のチェックリスト
在留期間更新申請を行う外国人の方は、次の点を確認しておきましょう。
まとめ
在留期間の定めがある外国人の方は、在留カードの更新だけでなく、マイナンバーカードや銀行口座の手続きにも注意が必要です。
在留期間更新許可申請中に在留期限を迎えた場合、特例期間により適法に在留できることがあります。しかし、マイナンバーカードや銀行口座の側では、別途手続きが必要になる場合があります。
特に、銀行に届け出ている在留期限が過ぎたままになっていると、金融機関によっては、キャッシュカード、ATM取引、振込、送金、インターネットバンキングなどに制限がかかる可能性があります。
これを防ぐためには、在留期限が切れる前に、銀行へ在留期間更新申請中であることを伝え、必要書類を確認しておくことが重要です。
また、在留期間更新許可後は、新しい在留カードを受け取るだけでなく、市区町村でのマイナンバーカード有効期限延長手続きと、銀行への在留カード情報の届出も忘れずに行いましょう。
「入管に申請したから大丈夫」「在留カードを更新したから終わり」と考えるのではなく、入管、市区町村、銀行の3つの手続きをセットで確認することが、外国人の生活上のトラブルを防ぐポイントです。
在留期限が近づいている場合や、更新申請中に在留期限を迎えそうな場合には、早めに専門家や関係窓口へ相談することをおすすめします。
出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直

















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