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在留カードの期限が切れても大丈夫?在留資格の「特例期間」と企業が確認すべきポイント

入管法


こんにちは、行政書士の稲福です。

今回は、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請をした後、在留期限までに入管の審査結果が出ない場合に問題となる「特例期間」について解説します。

外国人の方が日本に在留するためには、在留カードに記載された在留期間を守る必要があります。しかし、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請をしたものの、在留期限までに入管の審査結果が出ないことがあります。

このような場合に重要になるのが、在留資格の「特例期間」です。

特例期間を正しく理解していないと、

「在留カードの期限が切れているから不法滞在ではないか」
「会社は働かせ続けてよいのか」
「銀行口座やマイナンバーカードはどうなるのか」
「一時帰国しても大丈夫なのか」

といった不安やトラブルにつながることがあります。

この記事では、在留資格の特例期間について、外国人本人・受入企業の双方に向けて、実務上の注意点をわかりやすく解説します。

✅ この記事でわかること
  • 在留資格の「特例期間」とは何か
  • 在留期限を過ぎても直ちに不法滞在にならないケース
  • 特例期間はいつからいつまで続くのか
  • 特例期間中に働くことができる場合と注意点
  • 更新申請中と変更申請中で異なる実務上のポイント
  • 在留カード表面・裏面で確認すべきポイント
  • オンライン申請の場合に保管すべき資料
  • 特例期間中の一時帰国・再入国の注意点
  • マイナンバーカードや銀行口座に影響が出る可能性
  • 企業が外国人を雇用する際に確認すべき実務ポイント

在留資格の特例期間とは、在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請をした後、在留期限までに審査結果が出ない場合に、一定期間、引き続き日本に在留できる制度です。

簡単にいうと、在留期限までに更新申請・変更申請をしていれば、審査結果が出るまでの一定期間は、在留カード表面の期限を過ぎても直ちに不法滞在にはならないという制度です。

ただし、これは「在留期限が過ぎても何もしなくてよい」という意味ではありません。あくまで、在留期限までに適法に申請をしていることが前提です。

特例期間が問題になる代表的なケースは、次のような場合です。特例期間は、申請をしていれば常に無制限に認められるものではありません。

「いつ申請したか」
「どの申請をしたか」
「現在どの在留資格で在留しているか」
「在留カードを所持しているか」

などを確認する必要があります。

特例期間は、原則として次のいずれか早い時点までです。

☑入管から申請に対する処分がされる時
☑在留期間の満了日から2か月が経過する日の終了時

つまり、特例期間は「在留期限後、無期限に続くもの」ではありません。

例えば、在留期限が7月31日の方が、期限前に在留期間更新許可申請を行い、7月31日までに結果が出なかった場合、特例期間に入ります。

この場合、結果が出るまで、または在留期限から2か月が経過する日の終了時まで、従前の在留資格で引き続き在留できることになります。

特例期間中は、原則として従前の在留資格に基づく活動を続けることができます

例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で働いていた方が、在留期間更新許可申請を行い、審査中に在留期限を迎えた場合、特例期間中も従前の在留資格に基づく範囲内で就労を継続できると考えられます。

一方で、注意すべきなのは、特例期間中にできる活動は、あくまで従前の在留資格で認められていた活動であるという点です。

例えば、留学生が就職のために在留資格変更許可申請をしている場合、変更許可が出る前に正社員として就労を開始できるわけではありません。

変更申請中であっても、許可が出るまでは、原則として現在の在留資格の範囲内で行動する必要があります。

特例期間を考えるときは、更新申請中なのか、変更申請中なのかを分けて考える必要があります。特に、留学から就労ビザへ変更するケース、家族滞在から就労系在留資格へ変更するケース、特定活動から特定技能へ変更するケースなどでは注意が必要です。

「申請したからもう働ける」と考えるのは危険です。実際に働き始められるタイミングは、変更許可が出た後であることが多いため、雇用開始日や入社日を設定する際には慎重に確認する必要があります。

特例期間中かどうかを確認する際には、在留カードの表面だけでなく、裏面も確認する必要があります。

在留カードの表面には、在留期間の満了日が記載されています。一方で、窓口で在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請をした場合、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に、申請中であることが記載されます。

そのため、在留カード表面の在留期限が過ぎている場合でも、裏面に申請中の記載があるかを確認することが重要です。

近年は、在留申請のオンライン化が進んでいます。ここで注意が必要なのは、オンライン申請の場合、窓口申請と異なり、在留カードの裏面に「申請中」の記載がされないことです。

そのため、オンライン申請をした場合には、申請受付番号や受付完了メールなど、申請中であることを確認できる資料を保管しておくことが重要です。

企業側も、外国人本人から在留カードだけを確認するのではなく、

・オンライン申請の受付完了メール
・申請受付番号
・申請内容がわかる資料
・行政書士や申請取次者からの申請完了連絡

などを確認しておくと安心です。

特例期間中であっても、再入国の可否については慎重に判断する必要があります。

特例期間中に出国する場合、みなし再入国許可や再入国許可の問題だけでなく、入管から追加資料の提出通知や結果通知が来る可能性もあります。例えば、本人が海外にいる間に入管から連絡があり、期限内に対応できない場合、審査に影響が出るおそれがあります。

特に、特例期間は最長でも在留期限から2か月程度であるため、長期の一時帰国は避けるべきです。

どうしても出国が必要な場合は、

・特例期間の満了日
・再入国予定日
・入管から通知が来た場合の対応方法
・郵便物を確認できる体制
・勤務先や行政書士との連絡体制

を事前に確認しておく必要があります。

外国人のマイナンバーカードの有効期限は、在留期間と連動している場合があります。

そのため、在留資格の更新申請中に在留期限を迎え、特例期間に入った場合でも、マイナンバーカードの有効期限が自動で延長されるとは限らず、在留期間更新許可を受けた後は、市区町村でマイナンバーカードの有効期限更新手続が必要になることがあります。

また、更新許可が在留期限までに間に合わない場合、市区町村によっては、在留申請中であることを示してマイナンバーカードの有効期間延長に関する案内を受けられる場合があります。

ただし、対応は自治体によって異なるため、在留期限が近い場合は、早めに市区町村へ確認することが重要です。

特例期間中は、法律上は適法に在留していても、民間サービスでは在留カード表面の期限を基準に確認されることがあります。例えば、

・銀行口座
・キャッシュカード
・デビットカード
・クレジットカード
・携帯電話契約
・賃貸借契約
・勤務先での在留期限管理

などです。

金融機関や事業者によっては、在留カード表面の在留期限を過ぎると、追加確認を求められたり、一部サービスが制限されたりする可能性があります。

そのため、特例期間に入る可能性がある場合には、事前に銀行や勤務先へ「在留期間更新申請中であること」を伝えておくと安心です。特に、給与口座や生活費の引落口座として使用している銀行口座については、早めの確認をおすすめします。

外国人を雇用している企業は、従業員の在留期限を適切に管理する必要があります。

ただし、在留カード表面の在留期限が過ぎているからといって、直ちに不法残留や就労不可と判断するのは適切ではありません。在留期限までに在留期間更新許可申請を行っており、入管で審査中の場合には、特例期間により、従前の在留資格で引き続き在留できる場合があります。

そのため、勤務先としては、在留カードの表面だけで判断するのではなく、次の点を確認することが重要です。

CHECK
特例期間中に勤務先が確認すべきポイント
確認項目 実務上の確認ポイント
① 在留カード表面の在留期限 まず、在留カード表面に記載されている在留期間満了日を確認します。ただし、表面の期限が過ぎているだけで、直ちに就労不可と判断しないよう注意が必要です。
② 在留カード裏面の申請中記載 窓口申請の場合、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請中」の記載を確認します。表面の期限が過ぎていても、期限前に申請していれば特例期間に入っている可能性があります。
③ オンライン申請の受付資料 オンライン申請の場合、在留カード裏面に申請中の記載がされません。申請受付番号通知メール、受付完了メール、申請完了連絡などを確認しましょう。
④ 申請の種類 申請が「在留期間更新許可申請」なのか、「在留資格変更許可申請」なのかを確認します。更新申請と変更申請では、特例期間中にできる活動の考え方が異なります。
⑤ 現在の業務を継続できるか 現在の在留資格で、現在従事している業務を継続できるかを確認します。変更申請中の場合は、変更許可が出るまで新しい在留資格に基づく業務を開始できない場合があります。
⑥ 特例期間の満了日 特例期間は無期限ではありません。原則として、在留期限満了日から2か月を経過する日までが重要な目安となるため、特例期間の満了日を必ず確認しておきましょう。
⑦ 入管からの通知の有無 入管から追加資料通知や結果通知が届いていないか確認します。通知を放置すると、審査や在留継続に影響する可能性があるため、本人・勤務先・専門家の間で連絡体制を整えておくことが大切です。

特に、現在と同じ在留資格のまま期間を延長する「在留期間更新許可申請」と、別の在留資格へ切り替える「在留資格変更許可申請」では、考え方が異なります。更新申請中であれば、原則として従前の在留資格に基づく活動を継続できる場合があります。

一方、変更申請中の場合は、変更許可が出るまでは、原則として現在の在留資格の範囲内で行動する必要があります。

したがって、企業側は「申請中だから問題ない」と安易に判断するのではなく、現在の在留資格、申請の種類、現在行っている業務内容を確認することが大切です。

特例期間中の就労可否は、在留資格の種類や申請内容によって判断が分かれることがあります。不安がある場合は、入管や専門家に確認したうえで対応することをおすすめします。

特例期間中に申請が不許可となった場合、その時点で今後の対応を検討する必要があります。不許可になったからといって、必ずしも直ちに退去しなければならないとは限りませんが、状況によっては出国準備のための在留資格へ移行することがあります。

また、不許可理由によっては、再申請が可能な場合もあります。ただし、再申請する場合でも、時間的余裕がないことが多いため、不許可通知を受けたら、すぐに専門家へ相談することをおすすめします。

特例期間の終盤で不許可になった場合、対応できる時間が非常に限られます。

特例期間については、実務上、次のような誤解がよくあります。

1つ目は、「在留期限を過ぎても2か月間は必ず大丈夫」という誤解です。

特例期間は、在留期限までに適法に在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を行い、その申請が受理されていることが前提です。単に在留期限を過ぎただけで、自動的に2か月間在留できるわけではありません。

また、特例期間は「在留期限満了日から必ず2か月間保証される期間」というよりも、入管の処分がされる日、または在留期限満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日までと考える必要があります。許可・不許可の結果が出た場合には、その時点で次の対応が必要になります。

2つ目は、「特例期間中なら何もしなくても普段どおり生活できる」という誤解です。

入管法上は適法に在留できる場合であっても、在留カードの表面上は在留期限を過ぎているように見えます。そのため、勤務先、銀行、市区町村、携帯電話会社、不動産会社などで、在留資格や在留期限について確認を求められることがあります。

このとき、在留カード裏面の申請中記載や、オンライン申請の受付番号通知メールなど、申請中であることを示す資料を提示できないと、相手方に状況を理解してもらえず、手続きが止まる可能性があります。

3つ目は、「入管に申請しているから、マイナンバーカードや銀行の手続きも自動で更新される」という誤解です。

在留期間更新許可申請をしていても、その情報が市区町村や銀行に自動で反映されるわけではありません。特に、マイナンバーカードの有効期限は在留期間満了日と連動しているため、更新申請中に在留期限を迎える場合には、市区町村で特例延長の手続きが必要になることがあります。

また、銀行に登録されている在留期限情報が古いままになっていると、本人は適法に在留していても、金融機関側では「登録上の在留期限が過ぎている」と判断される可能性があります。その結果、キャッシュカード、ATM取引、振込、送金、インターネットバンキングなどに制限がかかる場合があります。

4つ目は、「新しい在留カードを受け取ればすべて完了」という誤解です。

入管で新しい在留カードを受け取ることは重要ですが、それだけでマイナンバーカードや銀行の登録情報まで更新されるわけではありません。新しい在留カードを受け取った後は、市区町村でマイナンバーカードの有効期限延長手続きを行い、取引銀行にも新しい在留カード情報を届け出る必要があります。

特に、特例期間中に銀行へ「更新申請中」であることを伝えて一時的に対応してもらっていた場合、新しい在留カード取得後に正式な更新情報を届け出なければ、後日あらためて取引制限がかかる可能性もあります。

つまり、特例期間中に大切なのは、「入管に申請しているから大丈夫」と考えることではありません。入管での申請状況を示す資料を保管し、市区町村、銀行、勤務先など、必要な関係先に適切に説明・届出を行うことです。

特例期間は、在留資格の更新結果を待つための重要な制度ですが、生活上のすべての手続きが自動で守られる制度ではありません。だからこそ、在留期限が近づいている外国人の方は、入管手続きだけでなく、マイナンバーカードと銀行口座の手続きもセットで確認しておく必要があります。

特例期間に関するトラブルを防ぐためには、在留期限の直前になって慌てないことが重要です。

外国人本人は、在留期限の数か月前から更新・変更申請の準備を始めるべきです。企業側も、外国人従業員の在留期限を一覧で管理し、期限の3か月前には本人に確認を行う体制を整えておくと安心です。

また、申請後も、入管からの通知や追加資料依頼を放置しないことが重要です。特例期間は、あくまで審査中に在留期限を迎えた場合の救済的な制度です。

「特例期間があるから遅れてもよい」という考え方ではなく、できる限り早めに申請し、余裕を持って結果を待つことが大切です。

在留資格の特例期間とは、在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請をした後、在留期限までに結果が出ない場合に、一定期間、従前の在留資格で引き続き日本に在留できる制度です。

ただし、特例期間は無期限ではありません。また、更新申請中なのか、変更申請中なのかによって、就労できる範囲や注意点が変わります。特に企業側は、在留カード表面の期限だけで判断せず、在留カード裏面の申請中の記載や、オンライン申請の受付完了メールなどを確認することが重要です。

また、特例期間中は、マイナンバーカード、銀行口座、給与口座、携帯電話契約など、生活面にも影響が出ることがあります。在留期限が近づいている場合は、早めに更新・変更申請の準備を行い、必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。

在留資格の更新・変更申請では、申請内容、勤務先の状況、職務内容、収入、過去の在留状況など、さまざまな事情が審査されます。特例期間に入ってから慌てて対応するのではなく、在留期限の前から余裕をもって準備することが重要です。

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所では、外国人本人・企業の双方に向けて、在留資格の更新申請、変更申請、特定技能、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、高度専門職などの申請をサポートしています。外国人雇用や在留期限管理でお困りの企業様は、お気軽にご相談ください。

出入国在留管理申請取次行政書士
稲福 正直

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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