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留学生のアルバイトはどう変わる?資格外活動許可の見直しと生活困窮リスク

留学

こんにちは。行政書士の稲福です。

外国人留学生が日本でアルバイトをする場合、原則として「資格外活動許可」を受ける必要があります。

現在の実務では、留学生が新規に日本へ入国する際、一定の条件を満たせば、空港等の上陸審査時に資格外活動許可を申請し、入国と同時に許可を受けることが可能です。そのため、多くの留学生は、日本へ入国した後、比較的早い段階でアルバイトを始めることができます。

しかし近年、留学生のアルバイトをめぐっては、週28時間を超える就労、学業不振、偽装留学、ブローカーの関与などが問題視されることも少なくありません。

そのような背景から、留学生の資格外活動許可について、入国時に一律で許可する現在の運用を見直し、入国後一定期間が経過してから、在籍状況や学習状況を確認したうえで許可する案が議論されているようです。

一部では、入国後3か月、あるいは長い場合には半年程度の期間を置いてから資格外活動許可を認めるべきではないか、という意見もあると聞きます。

もちろん、留学生の本分はあくまで学業です。資格外活動許可は、留学生が当然にアルバイトできる権利ではなく、本来の在留活動である「留学」に支障がない範囲で、例外的に認められる許可です。その意味では、留学生の資格外活動を適正化しようとする方向性自体は理解できます。

しかし一方で、入国後すぐにアルバイトができないとなれば、留学生の生活に大きな影響が出る可能性があります。

今回は、留学生の資格外活動許可の基本的な仕組みを確認しながら、入国後許可案が持つ意味と、現場で生じ得る課題について考えてみたいと思います。

✅ この記事でわかること
  • 留学生の資格外活動許可とは何か
  • 現在、入国時に資格外活動許可を受けられる理由
  • 入国後に許可する案が出ている背景
  • 入国後3か月・半年アルバイトできない場合の影響
  • 生活困窮や無許可就労を防ぐために必要な視点
  • 学校・雇用主・留学生本人が注意すべきポイント

「留学」の在留資格は、本来、日本の学校で教育を受けるための在留資格です。そのため、留学生は「留学」の在留資格だけで自由に働くことはできません。

留学生がアルバイトなどの収入を伴う活動を行う場合には、あらかじめ出入国在留管理庁から「資格外活動許可」を受ける必要があります。

資格外活動許可とは、現在持っている在留資格で認められている活動以外の活動を、一定の範囲内で行うための許可です。留学生の場合、一般的には包括許可として、週28時間以内のアルバイトが認められる形になります。

ただし、資格外活動許可を受けていれば何でもできるわけではありません。例えば、風俗営業等に従事することは認められていません。また、週28時間以内という上限も、アルバイト先ごとではなく、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合には合算して判断されます。

つまり、A店で週20時間、B店で週15時間働いている場合、合計35時間となり、資格外活動許可の範囲を超えることになります。

資格外活動許可は、あくまで学業に支障がない範囲で認められるものです。この点を誤解してしまうと、在留期間更新や卒業後の就労ビザへの変更に大きな影響が出る可能性があります。

現在の実務では、新規に日本へ入国する留学生について、一定の条件を満たす場合、空港等での上陸審査時に資格外活動許可を申請することができます。

入国時に資格外活動許可を受けた場合、在留カードの裏面に資格外活動許可の内容が記載されます。そのため、留学生は日本に入国した後、比較的早い段階でアルバイトを探し、働き始めることが可能になります。

この仕組みは、留学生にとって非常に大きな意味があります。なぜなら、日本での生活には、入国直後からさまざまな費用がかかるからです。

例えば、

・家賃
・食費
・交通費
・通信費
・学校までの定期代
・生活用品の購入費
・次回の学費納付

など、来日直後から支出は発生します。もちろん、留学ビザの申請時には、経費支弁能力が確認されます。

しかし、現実には、すべての留学生が十分な預貯金や仕送りだけで生活できるわけではありません。特に日本語学校や専門学校に通う留学生の中には、学費や生活費の一部をアルバイト収入で補うことを前提に生活設計をしている人も少なくありません。

そのため、入国時に資格外活動許可を受けられる現在の運用は、留学生の生活維持という面でも重要な役割を果たしているといえます。

一方で、留学生の資格外活動をめぐっては、以前からさまざまな問題が指摘されています。

例えば、

・週28時間を超えて働いている
・複数のアルバイト先を掛け持ちしている
・出席率が低い
・学業より就労が中心になっている
・実質的に就労目的で来日している
・悪質な仲介業者やブローカーが関与している

といったケースです。

留学生の本来の目的は学業です。しかし、実務上は、来日直後からアルバイトを開始し、学業よりも就労を優先してしまうケースも見受けられます。

そのため、入国時に資格外活動許可を出すのではなく、入国後しばらく学校での在籍状況や出席状況を確認したうえで、資格外活動許可を認めるべきではないか、という考え方が出てくること自体は理解できます。

入国後3か月、あるいは半年程度の期間を置けば、学校側もその留学生がきちんと授業に出席しているか、日本での生活状況に問題がないか、ある程度確認することができます。

制度を厳格化する側から見れば、資格外活動許可を「入国時に当然に付与されるもの」ではなく、「学業に支障がないことを確認したうえで認めるもの」と位置付け直したいという意図があるのだと思います。

もっとも、入国後すぐにアルバイトができない運用に変わった場合、現場ではかなり大きな影響が出る可能性があります。特に問題となるのは、生活費です。

留学生は、入国後すぐに住居を確保し、生活を始めなければなりません。家賃、食費、交通費、携帯電話代、日用品の購入など、支出は入国直後から発生します。仮に、資格外活動許可が入国後3か月経過しなければ認められないとすると、その3か月間はアルバイト収入を得ることができません。

さらに、半年間認められないという運用になれば、留学生本人だけでなく、学校側にも大きな影響が出るでしょう。

IMPACT
入国後すぐにアルバイトできない場合の影響
想定される影響 具体的な内容
生活費の不足 家賃、食費、交通費、通信費などをアルバイト収入で補えなくなる可能性があります。
学費納付への影響 次回の学費納付や分納計画に支障が出る留学生が増える可能性があります。
無許可就労の誘発 生活に困った結果、資格外活動許可を受けないまま働いてしまうリスクがあります。
学校の募集力低下 アルバイトができない期間が長くなることで、日本留学を選ばない学生が増える可能性があります。
地域の人手不足への影響 コンビニ、飲食店、清掃、ホテル、工場など、留学生アルバイトに依存している現場にも影響が出る可能性があります。

留学制度の適正化は必要です。

しかし、生活費の現実を無視して一律にアルバイト開始時期を遅らせると、かえって無許可就労や不安定就労を生む可能性があります。

制度を厳しくした結果、表向きはアルバイトを抑制できたとしても、生活に困った留学生が見えにくい場所で働いてしまえば、本来の制度趣旨とは逆の結果になりかねません。

留学生の資格外活動許可について考える際には、「留学の適正化」と「留学生の生活維持」の両方を見る必要があります。

確かに、留学生が学業をおろそかにして長時間働くことは問題です。週28時間を超える就労が常態化している場合や、学校にほとんど通っていない場合には、資格外活動許可の取消しや在留期間更新時の不許可につながることもあり得ます。

また、雇用主側も、留学生を雇用する際には、在留カードの確認、資格外活動許可の有無、週28時間以内の管理を行う必要があります。この点を軽視すると、雇用主側が不法就労助長に問われるリスクもあります。

一方で、すべての留学生を一律に「入国後しばらく働かせない」とすることが、本当に適切なのかは慎重に考える必要があります。真面目に勉強しながら、生活費の一部をアルバイトで補っている留学生は多くいます。

そうした留学生まで一律にアルバイトを制限してしまうと、日本での生活そのものが成り立たなくなる可能性があります。

制度の目的が「不適正な就労の防止」であるならば、問題のない留学生まで過度に制限するのではなく、問題のあるケースを早期に把握し、個別に対応する仕組みを強化する方が現実的ではないでしょうか。

個人的には、入国時の資格外活動許可を直ちに廃止するのではなく、入国時許可を維持しつつ、学校・雇用主・入管が連携して管理を強化する方向の方が現実的ではないかと考えます。

例えば、次のような運用が考えられます。

COUNTERMEASURES
入国時許可を維持しつつ管理を強化する方法
対応策 内容
学校による定期確認 出席率、成績、アルバイト先、勤務時間を定期的に確認する。
初回許可の短期化 入国時に一定期間の資格外活動を認め、その後、在籍状況を確認して継続を判断する。
問題事例への個別対応 出席不良や超過就労が疑われる場合に、個別に指導・報告・制限を行う。
雇用主側の管理強化 在留カード裏面の確認、勤務時間管理、掛け持ち確認を徹底する。
悪質な仲介業者への対応 就労目的の留学や不適切な斡旋に関与する業者への監視を強化する。

このように、問題のあるケースに重点を置いた管理であれば、真面目に学ぶ留学生の生活を過度に圧迫することなく、制度の適正化を進めることができます。

一律に「入国後3か月は不可」「半年は不可」とするよりも、学校の管理状況、本人の出席状況、経費支弁能力、生活状況などを踏まえた柔軟な制度設計が望ましいのではないでしょうか。

留学生をアルバイトとして雇用する企業側も、資格外活動許可の運用が見直される可能性を踏まえて、今後はより慎重な確認が必要になります。

特に確認すべきポイントは次のとおりです。

・在留資格が「留学」であるか
・在留カードの有効期限が切れていないか
・在留カード裏面に資格外活動許可の記載があるか
・週28時間以内で勤務時間を管理しているか
・他社との掛け持ちを確認しているか
・学校の長期休業期間かどうかを確認しているか
・卒業、退学、除籍後も働かせていないか

特に注意すべきなのは、資格外活動許可があるからといって、常に働けるわけではないという点です。

留学生が学校を卒業した後、退学した後、除籍された後などは、たとえ在留カード上の在留期限が残っていても、原則として留学生としての活動実態がなくなります。その状態でアルバイトを続けることは、在留資格上大きな問題となる可能性があります。

企業側としては、採用時だけでなく、在職中も定期的に在留カード、学生証、在籍状況、勤務時間を確認することが重要です。

留学生の資格外活動許可は、留学生が日本でアルバイトをするために必要な重要な許可です。現在は、新規入国時に空港等で資格外活動許可を申請できる場合があり、多くの留学生が入国後比較的早い段階でアルバイトを始めることができます。

一方で、留学生の超過就労、学業不振、偽装留学などの問題を背景に、入国時の一律許可を見直し、入国後一定期間を経過してから許可する案が議論されることもあります。

留学生の本分が学業である以上、資格外活動許可の適正化は必要です。しかし、入国後3か月、あるいは半年もの間アルバイトができないとなると、生活費や学費の支払いに困る留学生が出てくる可能性があります。

生活に困った結果、無許可就労や不適切な就労に流れてしまえば、制度適正化の目的とは逆の結果を招きかねません。

重要なのは、一律にアルバイト開始時期を遅らせることではなく、学業に支障が出ているケースや超過就労のケースを適切に把握し、個別に対応する仕組みを整えることではないでしょうか。

留学制度の信頼性を守ることと、留学生の生活を支えること。この二つのバランスをどのように取るかが、今後の資格外活動許可制度を考えるうえで重要な視点になると思います。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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