こんにちは。行政書士の稲福です。
サッカーワールドカップといえば、世界中のスター選手が集まり、国を背負って戦う一大イベントです。テレビの前では、サポーターが叫び、解説者が熱く語り、普段はサッカーを見ない人まで、急にフォーメーションを語り始めます。
「今日は4-3-3だな」
「いや、守備時は5バック気味だ」
「そこは裏を取られるぞ」
などと、気づけばリビングにも監督が何人も誕生します。
しかし、外国人選手や関係者が日本で試合・イベント・プロモーション活動などを行う場合、ピッチ上の戦術だけでなく、在留資格の確認も重要になります。
サッカーは足元が大事ですが、入管手続では「在留資格」という足元が大事です。
- サッカーワールドカップと在留資格「興行」の関係
- 外国人選手やアスリートが日本で活動する場合の注意点
- 興行ビザが必要になる主なケース
- 短期滞在でよい場合と、興行ビザを検討すべき場合の違い
- 選手だけでなく監督・コーチ・通訳など関係者にも確認が必要な理由
- 招聘機関や主催者が事前に整理しておくべきポイント

興行ビザとは?
在留資格「興行」は、外国人が日本で演劇、演芸、演奏、スポーツなどの興行活動を行う場合に関係する在留資格です。
サッカー選手、格闘家、音楽アーティスト、ダンサー、俳優など、日本で観客を前に活動する外国人が対象となることがあります。
スポーツ分野でいえば、外国人選手が日本で試合に出場する場合、海外クラブが日本で親善試合を行う場合、外国人アスリートがイベントに出演する場合などが典型例です。
ポイントは、単に「スポーツをするかどうか」ではありません。日本での活動が、観客を集める興行性のあるものなのか、報酬が発生するのか、契約に基づいて行われるものなのか、といった点を総合的に見て判断することになります。
つまり、単に「有名選手だから大丈夫」という話ではありません。メッシでも、ネイマールでも、ハーランドでも、入管的にはまず書類です。
サッカー関係で興行ビザが問題になる場面
ワールドカップや国際試合に関連して、日本で次のような活動を行う場合、興行ビザの検討が必要になることがあります。
・外国人選手が日本で試合に出場する
・海外クラブが日本で親善試合を行う
・外国人アスリートがイベントに出演する
・スポーツ興行として観客を集める
・スポンサーイベントやファンミーティングに出演する
・報酬を受けてプロモーション活動を行う
特に重要なのは、報酬の有無、活動内容、滞在期間、契約関係です。
観光で来日して、たまたま公園でリフティングを披露するだけであれば、通常は興行ビザの話にはなりません。しかし、主催者がいて、会場があり、観客を集め、出演料や報酬が発生する場合には、在留資格の整理が必要になります。ボールは友達でも、入管手続は友達感覚では済みません。
選手だけでなく、関係者にも注意が必要
サッカー関連の来日では、選手だけでなく、監督、コーチ、トレーナー、通訳、マネージャー、メディア関係者、イベント出演者など、さまざまな関係者が同行することがあります。
ここで注意したいのは、全員が同じ在留資格で整理できるとは限らないという点です。
例えば、選手として試合に出場する人、チームスタッフとして帯同する人、スポンサーイベントに出演する人、取材目的で来日する人では、日本で行う活動内容が異なります。
そのため、関係者をまとめて「サッカー関係だから同じ扱い」と考えるのではなく、それぞれが日本で何をするのかを確認する必要があります。
試合ではポジションごとの役割分担が大事ですが、入管手続でも「誰が、どの立場で、何をするのか」の整理が大事です。
必要になる主な資料
興行ビザでは、一般的に次のような資料がポイントになります。
特に実務では、契約内容と実際の活動内容が一致しているかが重要です。
契約書には「交流イベント」と書かれているが、実際には有料チケット制の興行イベントである、というような場合には注意が必要です。
また、報酬についても、選手本人に直接支払われる場合だけでなく、所属クラブ、代理人、海外法人などを通じて支払われる場合もあります。
そのため、誰が誰に対して、どのような名目で費用を支払うのかを整理しておくことが大切です。
「短期滞在でいいのでは?」には注意
スポーツイベント関係でよくあるのが、「数日だけだから短期滞在でいいのでは?」という相談です。たしかに、会議出席、観戦、打合せ、視察、観光などであれば、短期滞在で整理できる場合もあります。
しかし、日本で報酬を受けて試合やイベントに出演する場合、短期滞在でよいとは限りません。特に、観客を集める興行性のある活動、契約に基づく出演、報酬が発生する活動では、興行ビザの検討が必要です。
「数日だけだから大丈夫」という考え方は、サッカーでいうと、ゴール前で油断してカウンターを食らうようなものです。滞在日数が短くても、日本で行う活動の内容によっては、適切な在留資格が必要になります。
早めの準備が大事
国際スポーツイベントでは、来日する人数が多く、関係者も多岐にわたります。
そのため、直前になってから、
「この人も来日します」
「スポンサーイベントにも出ます」
「実は報酬が発生します」
「会場が変更になりました」
という話が出てくることがあります。
しかし、在留資格の手続では、活動内容、契約関係、報酬、会場、招聘機関などを資料で説明する必要があります。試合直前のロスタイムに慌てても、入管手続ではなかなか劇的な逆転ゴールは決まりません。
外国人選手や出演者を招聘する場合には、できるだけ早い段階で、誰が、いつ、どこで、何をするのかを整理しておくことが重要です。
まとめ
サッカーワールドカップのような国際的なスポーツイベントでは、選手・スタッフ・関係者が国境を越えて移動します。
その際、日本で試合やイベントに出演する外国人については、在留資格「興行」の確認が重要です。
特に、
・日本で何をするのか
・報酬は発生するのか
・誰と誰が契約しているのか
・どの会場で行うのか
・どのくらい滞在するのか
・選手以外の関係者はどのような活動を行うのか
を整理しておく必要があります。
サッカーではオフサイドラインの確認が大事ですが、外国人選手や出演者を招く場合は、在留資格のライン確認も大事です。試合開始のホイッスルが鳴る前に、入管手続の準備も忘れないようにしましょう。
出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直















コメント