こんにちは。行政書士の稲福です。
在留資格「特定技能1号」は、外国人人材を受け入れる企業にとって非常に重要な在留資格です。特に、外食業、飲食料品製造業、宿泊、自動車整備、ビルクリーニング、建設、農業、介護などの分野では、特定技能外国人が現場を支える大きな存在になっています。
一方で、特定技能1号には大きな特徴があります。それは、通算在留期間が原則5年までとされている点です。そのため、受入企業からは、
「5年が近づいているが、もう少し働いてもらえないのか」
「特定技能2号の試験に落ちた場合、すぐ帰国しなければならないのか」
「例外的に1年延長できると聞いたが、本当なのか」
といったご相談を受けることがあります。
結論からいうと、特定技能1号は原則として通算5年までですが、一定の要件を満たす場合には、例外的に通算6年まで在留が認められる可能性があります。ただし、これは誰でも自動的に1年延長できる制度ではありません。
今回は、特定技能1号の5年ルールと、例外的に1年延長できるケースについて、実務上の注意点も含めて整理します。
- 特定技能1号の通算在留期間5年ルールとは何か
- 特定技能1号は原則として5年を超えて更新できない理由
- 例外的に通算6年まで在留できる可能性があるケース
- 特定技能2号評価試験等に不合格だった場合の取扱い
- 1年延長が認められるために必要な本人・受入企業側の要件
- 単なる人手不足や企業側の希望だけでは延長できない理由
- 受入企業が5年満了前に整理しておくべきポイント

特定技能1号の通算在留期間は原則5年
在留資格「特定技能」には、大きく分けて「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。特定技能1号は、一定の専門性・技能を有する外国人が、特定産業分野で働くための在留資格です。
一方、特定技能2号は、より熟練した技能を有する外国人が対象となる在留資格です。このうち、特定技能1号については、原則として通算在留期間が5年以内とされています。
特定技能1号では、在留期間として、1年、6か月、4か月などが付与されることがありますが、更新を重ねた結果として、特定技能1号で在留できる期間が通算で原則5年までという考え方になります。
つまり、更新を続ければ無制限に在留できるわけではありません。
5年を迎えたら必ず帰国なのか
では、特定技能1号で5年を迎えた場合、必ず帰国しなければならないのでしょうか。原則としては、特定技能1号のまま通算5年を超えて在留することはできません。
そのため、5年満了後も日本で就労を続けたい場合には、基本的には次のような選択肢を検討することになります。
・特定技能2号へ移行する
・介護分野であれば、要件を満たして「介護」へ変更する
・別の在留資格に該当する場合は、その在留資格への変更を検討する
・要件を満たさない場合は帰国する
特に、特定技能2号の対象分野では、5年満了前から2号移行を見据えた準備が重要になります。「5年が近づいてから考える」のではなく、できれば満了の1年前、遅くとも数か月前には、試験日程、実務経験、必要書類、本人の意思を確認しておくべきです。
例外的に1年延長できるケースがある
現在の取扱いでは、一定の要件を満たす場合、特定技能1号で5年を超えて在留することが認められる場合があります。代表的なものが、特定技能2号評価試験等に不合格となった場合の特例です。
具体的には、特定技能2号での受入れが認められている分野において、特定技能2号評価試験等に不合格となったものの、一定水準以上の結果を出している場合などに、通算6年を上限として在留が認められる可能性があります。
簡単にいうと、「2号移行に向けて真剣に準備しており、試験にも一定程度届いているが、今回は合格に至らなかった」というようなケースを想定した救済的な取扱いといえます。
ただし、ここで注意すべきなのは、単に「試験に落ちたから1年延長できる」ということではない点です。
延長が認められるための主な要件
特定技能2号評価試験等に不合格となった場合に、通算6年までの在留が認められるためには、主に次のような要件を確認する必要があります。
つまり、本人だけでなく、受入企業側の対応も重要になります。
本人が2号試験を受ける意思を持っていても、企業側に研修や支援の体制がなければ、延長が当然に認められるわけではありません。
通算6年までであり、無制限ではない
この特例は、あくまで通算6年を上限とするものです。つまり、5年を超えて在留できる可能性があるとしても、それは原則的な5年ルールを完全になくすものではありません。
イメージとしては、次のようになります。
・通常の特定技能1号:原則通算5年まで
・一定要件を満たす例外:通算6年まで認められる可能性
・特定技能2号:通算在留期間の上限なし
そのため、特定技能1号の5年満了が近づいている場合には、「1年延長できるかもしれない」と考えるだけでは不十分です。本来の目的は、特定技能2号など次の在留資格へ円滑に移行することです。
延長は、あくまで2号移行等に向けた準備期間として位置付けるべきです。
単なる人手不足では延長できない
実務上、特に注意が必要なのは、企業側の事情だけでは延長が認められないという点です。
たとえば、「この人が辞めると現場が回らない」「代わりの人材が見つからない」「もう1年だけ働いてほしい」「本人も日本に残りたいと言っている」といった事情だけでは、特定技能1号の5年を超える在留を認める理由としては不十分です。
特定技能1号の通算在留期間は、制度上の上限です。そのため、例外的な延長を検討する場合には、本人の2号移行に向けた状況、試験結果、再受験意思、企業の支援体制などを、客観的な資料で説明できるかが重要になります。
受入企業が確認すべきポイント
特定技能外国人を受け入れている企業は、5年満了が近づいてから慌てるのではなく、早い段階で次の点を確認しておく必要があります。
特に、5年満了前の申請準備は非常に重要です。通算在留期間が満了してから対応しようとしても、間に合わない可能性があります。
実務上は「満了の3か月前」では遅い場合もある
入管庁の案内では、通算在留期間が満了する前、概ね3か月前までに申請することが示されています。しかし、実務上は、3か月前に初めて準備を始めるのでは遅い場合があります。
なぜなら、2号試験の日程、結果通知書の発行、企業側の研修体制、必要書類の収集、本人の誓約内容の確認など、事前に整理すべき事項が多いからです。
特に、試験日程が限られている分野では、本人が希望するタイミングで受験できるとは限りません。そのため、受入企業としては、5年満了の1年前から、少なくとも次の方向性を決めておくことが望ましいといえます。
・特定技能2号を目指すのか
・介護など別資格への変更を目指すのか
・5年満了で帰国するのか
・例外的延長の可能性を検討するのか
早めに方向性を決めることで、本人にとっても、企業にとっても、在留期限直前の混乱を避けることができます。
まとめ
特定技能1号は、原則として通算在留期間が5年までとされています。そのため、更新を続ければ無制限に日本で働ける在留資格ではありません。
一方で、特定技能2号評価試験等に不合格となった場合でも、一定の要件を満たすときは、例外的に通算6年まで在留が認められる可能性があります。
ただし、これは誰でも自動的に1年延長できる制度ではありません。
重要なのは、本人が特定技能2号等への移行に向けて具体的に準備していること、試験で一定水準以上の結果を出していること、受入企業にも指導・研修・支援体制があることです。単なる人手不足や、本人・企業の希望だけでは、5年を超える在留が認められるわけではありません。
特定技能外国人を継続して雇用したい企業は、5年満了の直前ではなく、早い段階から通算在留期間、2号移行の可否、試験日程、必要書類を確認しておくことが重要です。
特定技能1号の5年ルールは、受入企業の人員計画にも大きく関わります。制度を正しく理解し、本人の将来設計と企業の受入計画を早めにすり合わせることが、適正な外国人雇用につながるといえるでしょう。
出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直















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