こんにちは。行政書士の稲福です。
最近、「JESTA(ジェスタ)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。JESTAとは、簡単にいうと、日本に短期滞在で来る外国人について、渡航前にオンラインで事前審査を行う制度です。アメリカのESTAの日本版と説明されることもあり、「日本版ESTA」と呼ばれることもあります。
これまで、日本と査証免除の関係にある国・地域の方は、観光や短期商用などで日本に来る場合、原則として事前にビザを取得せずに入国することができました。
しかし、今後JESTAが導入されると、ビザ免除国・地域の方であっても、日本へ渡航する前にオンラインで情報を登録し、認証を受ける必要が出てくる可能性があります。
今回は、JESTAとは何か、誰が対象になるのか、企業や外国人本人が注意すべき点について、わかりやすく整理します。
- JESTAとは何か
- JESTAが「日本版ESTA」と呼ばれる理由
- JESTAの対象になりそうな外国人
- 現在のビザ免除制度とJESTA導入後の違い
- JESTAとVisit Japan Webの違い
- JESTA導入後に注意すべきポイント
- 企業や招聘機関が早めに確認しておくべきこと

JESTAとは
JESTAとは、Japan Electronic System for Travel Authorization の略称です。日本語では、電子渡航認証制度と呼ばれます。これは、日本へ渡航しようとする外国人について、渡航前にオンラインで必要な情報を登録してもらい、その情報をもとに事前確認を行う仕組みです。
簡単にいうと、空港に到着してから初めて確認するのではなく、日本へ向かう前の段階で、一定のチェックを行う制度です。主に、観光、短期商用、親族訪問などの短期滞在で日本へ来る方のうち、現在ビザ免除の対象となっている国・地域の方が想定されています。
なぜJESTAが導入されるのか
JESTA導入の背景には、訪日外国人の増加があります。日本を訪れる外国人が増えること自体は、観光、ビジネス、地域経済にとって大きなプラスです。
一方で、入国者が増えると、入国審査の負担も大きくなります。また、短期滞在で入国した後に、在留期限を過ぎても日本に残ってしまうケースや、本来の目的とは異なる活動を行うケースへの対応も課題となります。
そのため、JESTAには、主に次のような目的があると考えられます。
・渡航前にリスクのある渡航者を確認する
・不法滞在や不法就労を防止する
・入国審査をより円滑にする
・安全で適正な出入国管理を行う
つまり、JESTAは単なるオンライン手続きではなく、日本に入国する前の段階で確認を行うための制度といえます。
JESTAの対象になりそうな人
JESTAの対象として想定されているのは、主にビザ免除国・地域から日本へ短期滞在で来る外国人です。たとえば、観光、短期の商談、会議参加、親族訪問などで日本に来る方が対象になる可能性があります。
一方で、留学、就労、家族滞在、経営・管理、技術・人文知識・国際業務、特定技能など、中長期の在留資格で日本に来る方は、通常、在留資格認定証明書やビザ申請など、別の手続きが必要になります。
そのため、JESTAは「すべての外国人に必要な手続き」というよりも、まずは短期滞在のビザ免除対象者に関係する制度と理解するとわかりやすいです。
現在のビザ免除とは何が変わるのか
現在、ビザ免除国・地域の方は、短期滞在で日本に来る場合、事前に日本の大使館や領事館でビザを取得しなくても入国できるケースがあります。しかし、JESTAが導入されると、ビザが不要であっても、渡航前のオンライン認証が必要になる可能性があります。
つまり、「ビザが不要」イコール「何もしなくても飛行機に乗れる」という形ではなくなる可能性があります。今後は、ビザは不要だが、JESTAによる事前認証は必要という整理になる可能性があります。
ここは、外国人本人だけでなく、外国人を日本に招く企業、学校、イベント主催者、旅行関係者も注意すべき点です。
Visit Japan Webとの違い
JESTAと混同されやすいものに、Visit Japan Webがあります。Visit Japan Webは、入国審査、税関申告、免税購入などの手続きをスムーズにするためのサービスです。
一方で、JESTAは、渡航前に入国の可否に関わる事前確認を行う制度です。両者は似ているようで、役割が異なります。
簡単に整理すると、JESTAは、渡航前の事前認証で、Visit Japan Webは、入国時の手続きの効率化、つまり、JESTAは「日本に向かう前のチェック」、Visit Japan Webは「日本到着時の手続きをスムーズにする仕組み」と考えるとわかりやすいです。
JESTAで確認される可能性がある内容
今後の具体的な運用は、正式な制度設計を確認する必要があります。ただし、電子渡航認証制度の性質からすると、一般的には次のような情報が確認される可能性があります。
特に、過去に日本でオーバーステイをしたことがある方、退去強制歴がある方、上陸拒否歴がある方などは、JESTAの認証に影響する可能性があります。
JESTAが認証されれば必ず入国できるのか
ここは重要なポイントです。JESTAで認証を受けたとしても、それだけで日本への入国が必ず保証されるわけではありません。最終的に入国を認めるかどうかは、日本到着後の上陸審査で判断されます。
これは、現在のビザ制度でも同じです。ビザを持っていても、空港での上陸審査において、入国目的や滞在内容に疑義があれば、入国が認められない可能性があります。
JESTAは、あくまで渡航前の事前認証であり、最終判断は入国時の審査で行われると考えておく必要があります。
企業や招聘機関が注意すべきこと
JESTAは観光客だけの問題ではありません。海外から短期商用で外国人を招く企業や、イベント、展示会、商談、視察、研修などで外国人を日本に呼ぶ場合にも影響が出る可能性があります。
たとえば、次のようなケースです。
・海外企業の担当者を日本に招いて商談する
・海外の取引先を展示会に招待する
・海外の役員や投資家が短期で来日する
・アーティスト、選手、講師などが短期で来日する
・親会社や関連会社の担当者が日本法人を訪問する
このような場合、これまではビザ免除で比較的スムーズに来日できていた方でも、JESTA導入後は、渡航前の認証が必要になる可能性があります。
そのため、企業側としては、来日直前ではなく、余裕をもって渡航手続きを確認することが重要です。
就労目的の場合は注意が必要
JESTAは、短期滞在の渡航者を対象とする制度です。そのため、JESTAの認証を受けたからといって、日本で自由に働けるわけではありません。
日本で報酬を受けて働く場合や、実質的に就労にあたる活動を行う場合には、原則として就労可能な在留資格が必要です。たとえば、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、興行、技能、特定技能など、活動内容に応じた在留資格の検討が必要になります。
短期滞在で来日しているにもかかわらず、実際には日本で働いていると判断されると、不法就労や資格外活動の問題になる可能性があります。JESTAは、就労許可ではありません。この点は、企業側も外国人本人も誤解しないように注意が必要です。
実務上は「短期滞在で大丈夫か」の確認がより重要になる
JESTAが導入されると、短期滞在で来日する外国人についても、渡航前の段階で目的や滞在先などを整理する必要が出てくる可能性があります。
そのため、実務上は、
・本当に短期滞在でよいのか
・日本で報酬を受ける活動がないか
・活動内容が就労にあたらないか
・滞在日数に無理がないか
・過去の在留歴に問題がないか
・必要に応じてビザ申請が必要ではないか
といった確認が、これまで以上に重要になります。
特に、ビジネス目的で来日する場合は、「商談だから短期滞在でよい」と簡単に判断するのではなく、実際に日本で行う活動内容を確認することが大切です。
まとめ
JESTAは、日本に短期滞在で来る外国人について、渡航前にオンラインで事前認証を行う制度です。主に、現在ビザ免除で日本に来ている外国人が対象になると考えられます。
JESTAが導入されると、ビザが不要な国・地域の方であっても、渡航前にオンライン認証を受ける必要が出てくる可能性があります。
一方で、JESTAは就労許可ではありません。日本で働く場合や、報酬を受ける活動を行う場合には、活動内容に応じた在留資格の検討が必要です。
今後、外国人を日本に招く企業、学校、イベント主催者、旅行関係者にとっては、JESTAの制度内容を正しく理解し、渡航前の確認を早めに行うことが重要になります。
当事務所では、短期滞在、興行、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、特定技能など、外国人の来日目的に応じた在留資格のご相談を承っております。
外国人の来日手続きや在留資格についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直















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