こんにちは、行政書士の稲福です。
外国人が「短期滞在」の在留資格で日本に入国した後、出国せずに、就労資格や身分系の在留資格へ変更することはできるのでしょうか。短期滞在から別の在留資格へ直接変更する手続は、実務上「直変」と呼ばれることがあります。
例えば、次のようなご相談があります。
「短期滞在で来日中に、日本企業への就職が決まりました。技術・人文知識・国際業務へ変更できますか」
「日本人と結婚したため、そのまま日本人の配偶者等へ変更できますか」
「特定技能の試験に合格し、受入れ企業も決まっています。帰国せずに変更できますか」
「家族に会うために来日しましたが、家族滞在に変更できますか」
結論として、短期滞在からの在留資格変更は、法律上まったく不可能というわけではありません。実際に、個別事情を説明したうえで申請が受理され、変更が許可されるケースもあります。当事務所でも、短期滞在から他の在留資格への変更許可を得た事例があります。
しかし、短期滞在からの変更は、通常の在留資格変更と同じように当然に認められる手続ではありません。
この記事では、短期滞在からの在留資格変更について、原則的な取扱い、例外が認められる可能性、在留資格ごとの注意点、申請時に確認すべき事項を実務的な視点から解説します。
✅ この記事でわかること
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短期滞在から他の在留資格への変更が、原則として認められていない理由
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国内での在留資格変更を検討できる「やむを得ない特別の事情」とは何か
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就職、婚姻、妊娠、病気、介護など、変更を検討する余地があるケース
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入国時から就職や長期滞在を予定していた場合に生じる問題
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技人国、特定技能、日本人の配偶者等、家族滞在など、変更先ごとの審査ポイント
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国内変更の必要性を説明する理由書に記載すべき内容
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理由書の内容を裏付けるために必要となる客観的な資料
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在留資格認定証明書の申請を並行して検討すべき理由
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国内変更と、出国後の認定証明書・査証手続のどちらを選ぶべきか
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短期滞在の在留期限を確認してから、申請方法を判断するまでの具体的な流れ
短期滞在とは
「短期滞在」は、観光、親族訪問、知人訪問、商用、会議への出席など、日本に一時的に滞在するための在留資格です。通常認められる在留期間は、90日、30日または15日です。
短期滞在は、日本での中長期的な生活や就労を前提とした在留資格ではありません。そのため、原則として、短期滞在中に報酬を得る活動を行うことはできません。
例えば、短期滞在で来日中に就職先が決まったとしても、在留資格の変更許可を受ける前に勤務を開始することはできません。内定を得ること、雇用契約を締結することと、実際に就労を開始することは別の問題です。
変更許可を受ける前に報酬を得て働いた場合には、資格外活動や不法就労の問題が生じる可能性があります。
短期滞在からの変更は原則として認められない
入管法では、「短期滞在」の在留資格からの変更について、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないと定められています。出入国在留管理庁も、短期滞在からの在留資格変更は原則として認められないと案内しています。
したがって、短期滞在中に希望する活動が見つかったというだけでは、直ちに日本国内で変更できるわけではありません。原則的な手続は、いったん日本を出国し、希望する在留資格について在留資格認定証明書の交付を受け、海外にある日本大使館または総領事館で査証の発給を受けた後、改めて日本へ入国する方法です。
ENTRY PROCEDURE
在留資格認定証明書の申請から日本入国までの流れ
STEP 1
在留資格認定証明書を申請する
日本国内の受入れ企業、配偶者、親族、所属機関などが、地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書の交付を申請します。
↓
STEP 2
在留資格認定証明書の交付を受ける
申請予定の活動や身分関係が、希望する在留資格に該当するかどうかについて事前審査を受けます。
↓
STEP 3
在外公館で査証を申請する
外国人本人が、原則として本国または居住国の日本大使館・総領事館で査証を申請します。
↓
STEP 4
査証を使用して日本へ入国する
空港などで上陸審査を受け、許可された在留資格で日本へ入国します。
IMPORTANT
在留資格認定証明書は、申請する活動が入管法上の在留資格に該当することなどを法務大臣が事前に証明するものですが、査証の発給自体を保証するものではありません。
なぜ短期滞在からの変更は慎重に扱われるのか
短期滞在からの変更が慎重に扱われる背景には、日本の入国・在留手続の仕組みがあります。日本で中長期間生活する外国人は、原則として、入国前に在留資格認定証明書と査証に関する手続を行います。
査証の発給は、海外にある日本大使館・総領事館、すなわち外務省の管轄です。一方、在留資格認定証明書の交付、上陸審査、入国後の在留資格変更などは、出入国在留管理庁の管轄です。
短期滞在から日本国内で別の在留資格へ変更する場合、本来であれば海外で行われる査証申請を経ずに、中長期の在留資格へ移行することになります。そのため、入管が単に「直変を嫌がっている」というよりも、通常の入国手続を経ずに日本国内で変更を認める必要があるのかを慎重に確認していると考えるべきです。
査証と在留資格は同じものではありません。査証は、日本への上陸申請に必要となる文書の一つであり、査証が発給されたからといって、必ず日本への上陸が許可されるわけではありません。
また、在留資格認定証明書が交付されていても、査証審査において発給基準を満たさないと判断された場合には、査証が発給されないことがあります。
「やむを得ない特別の事情」とは
短期滞在からの在留資格変更が認められるためには、「やむを得ない特別の事情」が必要です。ただし、どのような事情があれば必ず認められるという明確な一覧が公表されているわけではありません。
申請人の入国目的、来日後の経緯、希望する在留資格、帰国が困難な理由、受入れ機関や家族の状況などを踏まえて、個別に判断されます。
例えば、次のような事情は、申請時の検討材料となる可能性があります。
- 日本滞在中に、当初予想できなかった事情が発生した
- 妊娠、出産、病気、治療、介護などの事情がある
- 日本人の配偶者や子どもと既に日本で生活している
- 人道上、いったん出国させることが著しく不合理である
- 既に希望する在留資格の在留資格認定証明書が交付されている
- 出国して手続を行うことが困難な客観的事情がある
- 受入れ先や家族の事情から、国内で変更する必要性が高い
もっとも、これらの事情があれば必ず許可されるわけではありません。「航空券代がかかる」「帰国するのが面倒である」「早く働きたい」「日本にそのまま住みたい」といった事情だけでは、一般的に、やむを得ない特別の事情として十分とはいえません。
在留資格認定証明書があれば変更できるのか
実務上、短期滞在中に、希望する在留資格の在留資格認定証明書が交付されることがあります。この場合、在留資格認定証明書を添付して、日本国内での在留資格変更を相談・申請することがあります。
在留資格認定証明書が交付されていることは、希望する活動や身分関係について、上陸条件への適合性が事前に審査されていることを示す重要な資料です。そのため、在留資格認定証明書がない場合と比較すると、申請の説明はしやすくなります。
しかし、在留資格認定証明書が交付されているからといって、短期滞在からの変更が当然に許可されるわけではありません。在留資格認定証明書の交付審査と、短期滞在から国内変更を認めるかどうかの判断は、同じではないからです。
入管では、希望する在留資格への該当性に加えて、なぜ査証を取得して再入国する原則的な手続ではなく、日本国内で変更する必要があるのかも確認します。
したがって、認定証明書がある場合でも、国内変更を必要とする理由書や、個別事情を裏付ける資料を準備する必要があります。
「日本人の配偶者等」への変更
短期滞在で来日している外国人が、日本人と婚姻した場合や、既に婚姻している日本人配偶者と日本で生活する場合には、「日本人の配偶者等」への変更が問題となります。
「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者、日本人の特別養子、日本人の子として出生した者などを対象とする、身分または地位に基づく在留資格です。短期滞在から「日本人の配偶者等」への変更は、法律上まったく不可能というわけではありません。
実際に、婚姻関係、同居状況、帰国が困難な事情などを説明し、許可される事例があります。当事務所でも、短期滞在から「日本人の配偶者等」への変更許可を得た事例があります。
ただし、日本人と婚姻したことだけで、当然に変更が認められるわけではありません。
GENUINENESS OF MARRIAGE
婚姻の真正性が審査される
申請では、法律上有効な婚姻が成立していることに加えて、夫婦としての実体があることを立証します。
主に確認される事項
SUPPORTING DOCUMENTS
婚姻の実体を裏付ける資料
写真、SNSの履歴、通話履歴、航空券、出入国記録、家族と一緒に撮影した写真、送金記録などを、必要に応じて提出します。
KEY POINT
重要なのは資料の量ではなく、申請書、質問書、理由書、戸籍、渡航記録などの内容が一致していることです。
CONSISTENCY WITH ENTRY PURPOSE
入国時の目的との整合性
短期滞在で来日した当初から、日本に長期滞在することを計画していたと判断される場合には、入国時に申告した目的との整合性が問題になる可能性があります。
例えば、親族訪問として入国した後に事情が変わり、日本人配偶者との生活を開始することになった場合には、その経緯を時系列で説明します。
当初から婚姻や日本での生活を予定していた場合にも、直ちに虚偽入国になると断定されるわけではありませんが、なぜ最初から在留資格認定証明書と査証による手続を行わなかったのかについて説明を求められる可能性があります。
「技術・人文知識・国際業務」への変更
短期滞在中に日本企業との面接を受け、採用が決まった場合には、「技術・人文知識・国際業務」への変更を希望するケースがあります。しかし、就職先が決まったことだけで、短期滞在から技人国へ変更できるわけではありません。
原則として、受入れ企業が在留資格認定証明書を申請し、外国人本人がいったん出国した後、在外公館で査証を取得して再入国することになります。
SEPARATE ELIGIBILITY REVIEW
技人国の該当性は別途審査される
仮に短期滞在からの変更申請が受け付けられたとしても、通常の「技術・人文知識・国際業務」の申請と同様に、業務内容や学歴、雇用条件、会社の安定性などが審査されます。
REVIEW 01
実際に従事する業務
肩書や職種名だけではなく、採用後に実際に担当する業務の具体的な内容が確認されます。
REVIEW 02
学歴・専攻との関連性
大学や専門学校での専攻内容と、採用後に従事する業務との間に関連性があるかが審査されます。
REVIEW 03
実務経験
学歴要件によらず実務経験を基礎として申請する場合には、経験した業務の内容や期間が確認されます。
REVIEW 04
雇用契約と報酬額
雇用期間、勤務場所、業務内容、労働時間、報酬額などの雇用条件が適切に定められているかが審査されます。
REVIEW 05
日本人と同等以上の報酬
同じ会社で同種の業務に従事する日本人と比較して、同等以上の報酬が予定されているかが確認されます。
REVIEW 06
会社の事業内容と雇用の必要性
会社が実際に行っている事業と採用予定の業務に関係があり、外国人を雇用する合理的な必要性があるかが確認されます。
REVIEW 07
会社の経営状況
決算状況、売上げ、事業の実態などから、会社が適正かつ継続的に事業を行っているかが確認されます。
REVIEW 08
雇用の継続性・安定性
申請時だけではなく、許可後も継続的かつ安定的に雇用することが見込まれるかが審査されます。
ACTUAL DUTIES
通訳・翻訳、海外取引、マーケティング、設計、システム開発などの名称が付いていても、実際の業務が単純作業を中心とする場合には、技人国に該当しない可能性があります。
TWO SEPARATE REVIEWS
「短期滞在からの変更」と「技人国の該当性」は別の問題
短期滞在からの在留資格変更が例外的に認められる事情があるかどうかと、申請する業務が技人国の要件に該当するかどうかは、別々に審査されます。
EMPLOYMENT RESTRICTION
内定後も就労は開始できない
短期滞在中に採用が決まったとしても、在留資格変更の許可を受けるまでは、受入れ企業で働くことはできません。
「研修」「試用期間」「手伝い」「体験勤務」などの名称であっても、実態として労務を提供し、報酬を受ける場合には問題となります。
受入れ企業は、技人国への在留資格変更が許可される前に、外国人本人を勤務させないよう注意する必要があります。
「特定技能」への変更
短期滞在中に特定技能試験へ合格した場合や、受入れ企業が決まった場合でも、短期滞在から特定技能への変更が当然に認められるわけではありません。
特定技能では、本人の試験合格だけでなく、受入れ企業の基準、雇用契約、支援計画、分野別協議会への対応など、多くの要件を満たす必要があります。
SPECIFIED SKILLED WORKER REVIEW
特定技能で確認される主な事項
特定技能の申請では、外国人本人の技能・日本語能力だけでなく、雇用契約、受入れ企業の適格性、支援体制、分野別の基準などが総合的に確認されます。
01
SKILL TEST
技能試験の合格
希望する特定技能の分野について、所定の技能評価試験に合格しているかが確認されます。
02
JAPANESE TEST
日本語試験の合格
原則として、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験など、分野ごとに定められた日本語要件を満たしているかが確認されます。
03
TECHNICAL INTERN TRAINING
技能実習2号の良好修了
試験免除を受ける場合には、技能実習2号を良好に修了し、技能実習と特定技能の業務に関連性があるかが確認されます。
04
EMPLOYMENT CONTRACT
雇用契約が基準に適合しているか
業務内容、所定労働時間、休日、賃金、雇用期間などが、特定技能雇用契約の基準に適合しているかが審査されます。
05
REMUNERATION
日本人と同等以上の報酬
同じ会社で同等の業務に従事する日本人と比較して、同等以上の報酬が設定されているかが確認されます。
06
ACCEPTING ORGANIZATION
受入れ企業の適格性
受入れ企業が、法令違反、社会保険料の未納、外国人の行方不明者発生などの欠格事由に該当しないかが確認されます。
07
SUPPORT PLAN
支援計画が適切に作成されているか
事前ガイダンス、住居確保、生活オリエンテーション、相談対応、定期面談などの支援内容が適切に定められているかが確認されます。
08
REGISTERED SUPPORT ORGANIZATION
登録支援機関への委託内容
支援を登録支援機関へ委託する場合には、委託契約の範囲、支援責任者、支援担当者などが適切に定められているかが確認されます。
09
SECTOR-SPECIFIC REQUIREMENTS
分野ごとの上乗せ基準
業種・事業所・業務内容・許認可・受入れ人数などについて、各分野で定められた追加要件を満たしているかが確認されます。
10
COUNCIL & NOTIFICATION
協議会への加入や必要な届出
分野別協議会への加入、構成員登録、関係省庁への届出など、分野ごとに必要な手続が完了しているかが確認されます。
11
COSTS & SENDING PROCEDURES
本人が負担した費用や送出し手続
外国人本人が保証金、違約金、不当に高額な紹介料などを負担していないか、また、二国間取決めのある国については、送出し機関や本国側の手続が適切に行われているかが確認されます。
KEY POINT
特定技能は、試験に合格しているだけで許可される在留資格ではありません。本人、雇用契約、受入れ企業、支援体制、分野別手続のすべてが審査対象となります。
これらの要件を満たしていても、短期滞在から国内で変更する必要性について、別途説明が求められます。また、特定技能は、国籍によって送出し国側の手続が必要になることがあります。
日本国内で在留資格変更が許可されたとしても、本国政府の手続、登録、海外労働許可、送出し機関の利用などが必要となる可能性があります。入管の許可だけで、すべての出国・就労手続が完了するとは限りません。
「家族滞在」への変更
日本に在留する外国人の配偶者や子どもが、短期滞在で来日した後、「家族滞在」への変更を希望するケースもあります。例えば、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、留学などで在留する外国人が、海外にいる配偶者や子どもを短期滞在で呼び寄せ、そのまま家族滞在へ変更したいというケースです。
家族滞在についても、原則的には、扶養者が在留資格認定証明書を申請し、家族が在外公館で査証を取得して入国する流れです。
DEPENDENT VISA REVIEW
家族滞在で確認される主な事項
家族滞在の申請では、扶養者との身分関係だけでなく、扶養者が日本で家族を安定して扶養できるか、実際に家族として生活する予定があるかが確認されます。
01
FAMILY RELATIONSHIP
扶養者との婚姻・親子関係
申請人が、扶養者の配偶者または子に該当し、法律上有効な婚姻関係や親子関係が成立しているかが確認されます。
02
STATUS OF RESIDENCE
扶養者の在留資格
扶養者が、家族滞在の対象となる在留資格を有し、適法に日本へ在留しているかが確認されます。
03
INCOME
扶養者の収入
給与、事業収入、奨学金などの継続的な収入があり、家族を扶養できる水準にあるかが確認されます。
04
SAVINGS
預貯金
収入だけでは扶養能力を判断しにくい場合には、預貯金の額や資金の形成経緯なども考慮されることがあります。
05
HOUSING
家族が生活する住居
家族が同居して生活できる住居が確保されているか、住居の広さや入居条件に不自然な点がないかが確認されます。
06
FINANCIAL FOUNDATION
家族を扶養できる生活基盤
収入、預貯金、住居費、家族構成などを総合的に見て、扶養者が家族の生活を継続して支えられるかが審査されます。
07
OFFICIAL CERTIFICATES
婚姻・出生に関する公的証明書
結婚証明書、出生証明書、戸籍謄本などにより、婚姻関係や親子関係を公的に立証します。
08
COHABITATION PLAN
家族が同居して生活する予定
来日後、原則として扶養者と同居し、家族として共同生活を送る具体的な予定があるかが確認されます。
KEY POINT
家族滞在は、婚姻証明書や出生証明書を提出するだけで許可されるものではありません。扶養関係の実態と、日本で安定して共同生活を送ることができる生活基盤が総合的に審査されます。
家族が既に日本にいることや、家族と離れたくないという事情だけで、必ず国内変更が認められるわけではありません。特に、短期滞在で入国した当初から、日本にそのまま居住する計画であった場合には、通常の呼び寄せ手続を行わなかった理由について説明が必要になります。
そのほかの在留資格への変更
短期滞在からの変更が問題となる在留資格は、これらに限られません。ただし、どの在留資格であっても、短期滞在からの変更には「やむを得ない特別の事情」が必要であるという原則は変わりません。
希望する在留資格の要件を満たしていることと、日本国内での変更が認められることは別の問題です。
直変が比較的検討されやすいケースと難しいケース
短期滞在からの変更について、在留資格名だけを見て「できる」「できない」と判断することはできません。同じ在留資格であっても、個別事情によって結論は異なります。
CASES WORTH CONSIDERING
変更を検討する余地があるケース
短期滞在から他の在留資格への変更は例外的な取扱いです。ただし、来日後に生じた事情や人道上の必要性などによっては、国内での変更を検討する余地があります。
01
UNFORESEEN CIRCUMSTANCES
来日後に予測できなかった重大な事情が発生した
入国時には想定できなかった事情が来日後に発生し、いったん出国して手続を行うことが困難になった場合です。
02
MEDICAL & FAMILY REASONS
妊娠、出産、治療、介護などの事情がある
本人や家族の健康状態、出産予定、継続的な治療、介護の必要性など、出国が困難となる具体的な事情がある場合です。
03
FAMILY LIFE IN JAPAN
日本人配偶者や子どもと既に生活している
日本人配偶者や子どもとの共同生活が既に形成され、出国によって家族生活に大きな支障が生じる事情がある場合です。
04
HUMANITARIAN CONSIDERATIONS
人道上、出国させることが適当でない事情がある
家族関係、健康状態、子どもの養育環境などを踏まえ、出国を求めることが著しく不合理となる事情がある場合です。
05
CERTIFICATE OF ELIGIBILITY
在留資格認定証明書が既に交付されている
希望する在留資格について在留資格認定証明書が既に交付され、在留資格自体の該当性が一定程度確認されている場合です。
06
OBJECTIVE DIFFICULTY IN RETURNING
帰国が著しく困難である客観的な事情がある
航空便、渡航制限、治安、健康上の問題などにより、帰国して手続を行うことが現実的に著しく困難な場合です。
07
NECESSITY OF DOMESTIC CHANGE
国内変更の必要性を具体的に説明できる
希望する在留資格の要件を満たすだけでなく、なぜ一度出国して在留資格認定証明書と査証による手続を行うことができないのかを、客観的な資料と時系列に基づいて説明できることが重要です。
IMPORTANT
これらの事情があれば必ず変更が認められるわけではありません。個別事情、提出資料、入国後の経緯などを踏まえて、例外的に変更申請を受け付けるかが判断されます。
CASES REQUIRING CAUTION
慎重な判断が必要なケース
次のような事情がある場合には、入国目的との整合性、在留状況、申請内容の信用性などについて厳しく確認される可能性があります。
01
入国時点から就職する予定だった
短期滞在で入国した時点から就職や長期滞在を予定していた場合には、入国時に申告した目的との整合性が問題となります。
02
入国直後に勤務を開始している
短期滞在では原則として就労できません。研修、試用期間、体験勤務などの名称でも、実態が就労であれば問題となります。
03
観光目的と説明したが、実際には長期滞在が目的だった
入国時の申告内容と実際の目的が異なる場合には、申請内容全体の信用性に影響する可能性があります。
04
帰国したくないという希望しかない
日本での生活を希望するという主観的な事情だけでは、国内で変更しなければならない特別な事情の説明にはなりません。
05
航空券代や手続期間だけを理由としている
帰国費用がかかることや、在外公館での手続に時間を要することだけでは、通常、国内変更の必要性を基礎付ける事情としては十分ではありません。
06
希望する在留資格の要件自体が不十分である
国内変更の必要性が認められたとしても、学歴、職歴、業務内容、収入、扶養能力など、希望する在留資格の要件は別途審査されます。
07
雇用契約や婚姻関係の資料に矛盾がある
申請書、質問書、理由書、契約書、公的証明書、渡航記録などの記載が一致しない場合には、申請の信用性が低下します。
08
在留期限が迫ってから準備を始めた
在留期限直前に申請準備を開始した場合、必要書類がそろわず、経緯の整理や立証が不十分になるおそれがあります。
09
過去に不法就労、オーバーステイ、虚偽申請などがある
過去の在留状況や法令違反は、在留状況の適正性や申請内容の信用性を判断する重要な要素となります。経緯を隠さず、客観的な資料とともに説明する必要があります。
KEY POINT
短期滞在からの変更では、「希望する在留資格の要件を満たすか」と「国内で変更しなければならない特別な事情があるか」が、それぞれ別の問題として確認されます。
申請が受理されれば在留できるのか
短期滞在からの変更では、申請の受付自体について、事前相談を求められることがあります。通常の中長期在留者による在留資格変更申請と同じ感覚で、当然に窓口で受け付けられるとは限りません。
また、申請が受理されたことと、許可されることは別です。申請が受理された場合でも、入管から追加資料の提出や説明を求められることがあります。
なお、短期滞在者の申請中の在留については、中長期在留者の更新・変更申請と同じ特例期間の扱いになるとは限らないため、在留期限の管理には特に注意が必要です。在留期限が近い場合には、申請後の取扱いを必ず管轄の地方出入国在留管理局へ確認する必要があります。
「申請を出したから、結果が出るまで必ず日本にいられる」と自己判断することは危険です。
直変の申請で提出を検討する書類
必要書類は、変更先の在留資格と個別事情によって異なります。一般的には、変更先の在留資格について通常求められる書類に加え、短期滞在から変更する必要性を説明する資料を準備します。
COMMON SUPPORTING DOCUMENTS
共通して検討する資料
短期滞在から他の在留資格への変更を検討する場合には、通常の在留資格変更許可申請に必要な資料に加えて、短期滞在で入国した経緯や、なぜ日本国内で変更する必要があるのかを説明する資料が重要になります。
01
APPLICATION FORM
在留資格変更許可申請書
申請人の経歴、現在の在留状況、希望する在留資格、活動内容などを記載します。
02
PASSPORT
パスポート
身分事項、上陸許可、出入国履歴、査証の内容などを確認するために提出または提示します。
03
ENTRY BACKGROUND
短期滞在で入国した経緯を説明する資料
渡航を決めた時期、来日の目的、航空券の手配、来日前の予定などを時系列で説明します。
04
PURPOSE OF ENTRY
入国目的を説明する資料
観光、親族訪問、商用など、短期滞在で入国した当初の目的を客観的な資料によって示します。
05
STATEMENT OF REASONS
日本国内で変更する必要性を記載した理由書
入国後に生じた事情、帰国できない理由、国内で手続を行う必要性などを具体的かつ時系列に沿って説明します。
06
DIFFICULTY IN RETURNING
帰国が困難な事情を示す資料
診断書、妊娠・出産に関する資料、介護状況、航空便、渡航制限、治安状況など、帰国の困難性を裏付ける資料です。
07
CURRENT LIVING SITUATION
現在の滞在先や生活状況が分かる資料
住居、同居者、生活費の負担者、滞在中の活動内容など、現在の日本での生活状況を説明します。
08
CERTIFICATE OF ELIGIBILITY
在留資格認定証明書に関する資料
在留資格認定証明書が既に交付されている場合には、その写しや電子交付メールなどを提出します。
09
ELIGIBILITY DOCUMENTS
希望する在留資格の該当性を示す資料
国内変更の必要性とは別に、希望する在留資格の活動内容、身分関係、学歴、職歴、収入などの要件を満たしていることを立証する必要があります。
DOCUMENT CONSISTENCY
理由書だけで特別な事情を説明するのではなく、入国記録、航空券、医療資料、家族関係資料など、客観的な証拠と説明内容が一致していることが重要です。
EMPLOYMENT-BASED STATUS
就労資格の場合
技術・人文知識・国際業務、特定技能などの就労資格を希望する場合には、業務内容、雇用条件、会社の事業実態、本人の学歴・職歴との関連性などを立証します。
01
雇用契約書
雇用期間、職務内容、勤務地、報酬、労働時間など、会社と申請人との契約内容を確認する資料です。
02
労働条件通知書
賃金、休日、就業時間、残業、社会保険など、実際の労働条件を確認する資料です。
03
会社案内
会社の事業内容、取引内容、組織、従業員数、沿革などを説明します。
04
登記事項証明書
会社の所在地、資本金、事業目的、役員などの基本情報を確認する資料です。
05
決算書
会社の売上、利益、資産、負債などから、経営状況や雇用の継続性を確認します。
06
給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
会社の給与支払実績や従業員の雇用状況などを確認するための資料です。
07
業務内容説明書
申請人が実際に担当する業務、具体的な作業内容、業務の割合、組織内での役割などを説明します。
08
学歴証明書
卒業証明書、学位証明書、成績証明書などにより、専攻内容や修学内容を立証します。
09
職歴証明書
過去の勤務先、勤務期間、役職、担当業務などを証明し、必要な実務経験を立証します。
10
資格証明書
技能試験、日本語試験、国家資格、民間資格など、希望する在留資格に関係する資格を示します。
11
採用経緯の説明書
会社と申請人が知り合った経緯、面接時期、選考過程、採用を決めた理由などを説明し、短期滞在での入国前から就職が予定されていなかったかを確認できるようにします。
FAMILY-BASED STATUS
身分系在留資格の場合
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、家族滞在などを希望する場合には、法律上の身分関係だけでなく、婚姻や親子関係の実態、日本での生活基盤などを立証します。
01
戸籍謄本
日本人配偶者との婚姻関係や、日本人の親子関係などを確認する公的資料です。
02
婚姻証明書
外国で成立した婚姻について、婚姻の成立日、当事者、登録内容などを証明します。
03
出生証明書
申請人と扶養者または日本人の親との親子関係を証明する資料です。
04
住民票
世帯構成、住所、同居状況、在留資格など、日本国内での生活状況を確認します。
05
質問書
交際、婚姻、家族との交流、紹介者、使用言語など、関係の成立経緯と実態を説明します。
06
写真
交際期間、結婚式、親族との交流、共同生活など、継続的な関係を確認できる写真を提出します。
07
SNSや通話履歴
メッセージ、通話、オンライン交流など、継続的な連絡状況を確認する資料です。
08
渡航記録
出入国記録、航空券、ホテル予約などから、面会や交流の時期・回数を確認します。
09
送金記録
生活費、養育費、医療費など、継続的な扶養や経済的な関係を確認する資料です。
10
収入・納税関係資料
課税証明書、納税証明書、在職証明書、給与明細、預金通帳などから、生活の安定性や扶養能力を確認します。
11
住居に関する資料
賃貸借契約書、登記事項証明書、間取り図、家賃の支払資料などにより、家族が日本で共同生活を送る住居が確保されていることを示します。
KEY POINT
必要書類は申請する在留資格や個別事情によって異なります。資料を多く提出することよりも、入国時の目的、変更に至った経緯、現在の状況、希望する在留資格の要件が、時系列上矛盾なく説明されていることが重要です。
ただし、書類を大量に提出すれば許可されるわけではありません。重要なのは、どの資料が何を立証するためのものなのかを整理し、申請書、理由書、契約書、公的証明書などの内容を一致させることです。
理由書に記載すべき内容
短期滞在からの変更では、理由書が重要な役割を持ちます。理由書では、感情的に「日本にいたい」と主張するだけではなく、次の事項を時系列で整理します。
STATEMENT OF REASONS
理由書に記載する主な内容
短期滞在から他の在留資格への変更を検討する場合、理由書では、来日時の目的から現在に至るまでの経緯を時系列に沿って整理し、なぜ日本国内で変更する必要があるのかを具体的に説明します。
01
PURPOSE OF ENTRY
短期滞在で来日した目的
観光、親族訪問、商談、面接、結婚手続など、短期滞在で来日した当初の目的を具体的に記載します。
02
CIRCUMSTANCES AFTER ENTRY
来日後に発生した事情
就職、婚姻、妊娠、病気、介護、家族との同居開始など、在留資格の変更を検討することになった具体的な経緯を説明します。
03
REQUESTED STATUS
変更先の在留資格との関係
どのような活動内容または身分関係に基づき、どの在留資格への変更を希望するのかを説明します。
04
NEED FOR DOMESTIC CHANGE
帰国して手続を行うことが困難な理由
なぜ在留資格認定証明書の交付と査証申請による通常の手続ではなく、日本国内での在留資格変更が必要なのかを具体的に記載します。
05
CURRENT LIVING CONDITIONS
現在の生活・雇用・扶養状況
勤務予定先、住居、家族関係、生活費の負担者、収入、預貯金など、現在の生活状況と今後の生活基盤を説明します。
06
FUTURE PLAN
今後の予定
変更許可後に行う活動、入社予定日、家族との同居予定、生活設計などを具体的に記載します。
CHRONOLOGICAL CONSISTENCY
入国前から現在までを時系列で整理する
来日を決めた時期、短期滞在で入国した日、事情が発生した日、就職や婚姻が決まった時期、変更申請を検討した時期などを整理し、入国時の目的と申請理由に不自然な矛盾が生じないように説明することが重要です。
SUPPORTING EVIDENCE
理由書の内容は、添付資料によって裏付ける必要があります。
理由書だけに詳しい事情を記載しても、それを裏付ける客観的な資料がなければ、十分な説明として評価されない可能性があります。診断書、婚姻・出生に関する公的証明書、雇用契約書、住民票、航空券、渡航記録、通話履歴、送金記録など、説明内容に対応する資料を準備することが重要です。
KEY POINT
理由書では、単に「日本に残りたい」という希望を書くのではなく、入国時の目的、来日後に生じた事情、国内変更の必要性、変更後の活動内容を、客観資料と整合する形で説明する必要があります。
短期滞在中にしてはいけないこと
変更申請を検討している場合でも、現在の在留資格はあくまで「短期滞在」です。変更許可が出るまでは、変更後の在留資格に基づく活動を開始することはできません。
特に注意すべきなのは、次のような行為です。
禁
PROHIBITED ACTIVITIES
変更許可前に行ってはいけない活動
短期滞在中は、原則として就労することはできません。就労資格や経営・管理などへの在留資格変更を申請している場合でも、許可を受ける前に勤務や事業活動を開始することはできません。
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行ってはいけない活動
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注意点
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会社で実際に勤務する
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雇用契約を締結していても、変更許可を受ける前に出勤し、会社の指揮命令を受けて業務を行うことはできません。
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報酬を受け取る
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給与、日当、業務委託料、謝礼など、名称にかかわらず、就労の対価として報酬を受け取ることはできません。
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試用期間として働く
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「試用期間」「研修期間」「見習い期間」という名称であっても、実際に業務へ従事すれば就労と判断される可能性があります。
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無給名目で継続的に業務を行う
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無給であっても、従業員と同様に継続して業務を行う場合は、就労活動と評価される可能性があります。
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店舗の営業を開始する
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店舗を開店し、接客、販売、調理、仕入れ、売上管理などを始めることは、事業活動または就労活動に該当する可能性があります。
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会社経営を実質的に開始する
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会社設立の準備行為を超えて、契約締結、営業活動、従業員への指示、売上管理など、経営を実質的に開始することはできません。
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特定技能の業務に従事する
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特定技能への変更申請中であっても、許可前に外食、介護、宿泊、建設、製造などの対象業務へ従事することはできません。
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アルバイトをする
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短期滞在には、通常、資格外活動許可は認められません。短時間や単発のアルバイトであっても行うことはできません。
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重要なのは、活動の名称ではなく実態です。「研修」「手伝い」「無給」「試用期間」などと説明しても、会社や店舗の業務に継続的に従事していれば、不法就労と判断される可能性があります。
「給料をまだ受け取っていない」「手伝いである」「研修と呼んでいる」というだけで、就労に当たらないとは限りません。活動の実態によって判断されるため、許可前の活動開始は避ける必要があります。
過去に許可された事例があっても、今回も許可されるとは限らない
短期滞在からの変更については、インターネット上で「変更できた」「入管で簡単に受理された」といった情報が見つかることがあります。当事務所でも、これまで短期滞在からの在留資格変更が許可された事例があります。
しかし、過去に許可された事例があるからといって、別の案件でも同じ結果になるとは限りません。在留資格の種類、入国目的、来日後の経緯、在留期限、家族状況、就職先、在留資格認定証明書の有無、帰国が困難な事情などは、案件ごとに異なります。
また、地方出入国在留管理局や申請時期によって、事前相談や提出資料の取扱いが異なることもあります。したがって、過去の許可事例をそのまま自分のケースに当てはめるのではなく、現在の事情に基づいて申請方法を検討する必要があります。
直変を前提として短期滞在で入国しない
短期滞在からの変更が許可される可能性があるからといって、最初から直変を予定して短期滞在で入国する方法は推奨できません。長期滞在や就労を予定している場合には、原則として、入国前に適切な在留資格認定証明書と査証を取得する必要があります。
短期滞在で入国した後に変更すればよいという前提で手続を進めると、次のような問題が生じる可能性があります。
注
POSSIBLE RISKS
短期滞在からの変更申請で想定されるリスク
短期滞在から他の在留資格への変更は、通常の変更申請とは異なり、申請の受付段階から慎重に判断されます。入国時の説明と変更理由に矛盾がある場合には、その後の在留・査証手続にも影響する可能性があります。
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想定されるリスク
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具体的な内容
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入国目的との矛盾を指摘される
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観光や親族訪問などを目的として入国したにもかかわらず、入国直後に就職や長期滞在の手続を始めた場合、当初から別の目的で入国したのではないかと疑われる可能性があります。
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変更申請を受け付けてもらえない
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短期滞在からの変更は原則として認められていないため、やむを得ない特別の事情が認められなければ、申請自体を受け付けてもらえない可能性があります。
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在留期限までに審査が終わらない
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申請準備や事前相談に時間を要し、短期滞在の在留期限までに審査結果が出ないことがあります。申請受付の可否や在留期限後の取扱いを個別に確認する必要があります。
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一度出国するよう案内される
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国内変更の必要性が認められない場合には、一度出国し、在留資格認定証明書の交付を受けたうえで、在外公館で査証を申請する通常の手続を案内されることがあります。
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就労開始が遅れる
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雇用契約を締結していても、就労可能な在留資格の許可を受けるまでは勤務を開始できません。審査や出国手続が長引けば、入社時期も遅れることになります。
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会社の採用計画に影響する
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予定していた入社日に勤務を開始できない場合、配属、研修、人員配置、店舗の開業など、会社側の採用・事業計画に影響する可能性があります。
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帰国後の査証審査にも影響する
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国内変更が認められず出国した場合、短期滞在での入国経緯や日本滞在中の活動状況が、帰国後に行う査証申請で確認される可能性があります。
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虚偽説明を疑われる
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入国時の申告内容、理由書、雇用契約、婚姻経緯、関係者の説明などに食い違いがある場合、事実と異なる説明をしているのではないかと疑われ、審査が厳しくなる可能性があります。
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特に重要なのは、短期滞在で入国した目的と、在留資格変更を検討することになった経緯の整合性です。来日前から就職や長期滞在を予定していたと判断される事情がある場合には、慎重な説明が必要です。
短期滞在からの変更は、通常のルートとして利用するものではなく、個別事情に対応するための例外的な手続として考える必要があります。
申請前に確認する流れ
短期滞在からの変更を検討する場合には、次の流れで確認します。
PROCEDURE FLOW
短期滞在からの変更を検討する手順
短期滞在から他の在留資格への変更は例外的な取扱いです。最初から国内変更を前提とせず、現在の在留期限、変更先の要件、国内変更の必要性、出国後の手続を順番に確認します。
パスポートの上陸許可証印などを確認し、短期滞在の在留期限を正確に把握します。残された期間によって、国内変更の準備が可能か、早期に出国手続へ切り替えるべきかが異なります。
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就職、婚姻、扶養、経営など、今後予定する活動内容や身分関係を確認し、それに適した在留資格を検討します。
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学歴、職歴、雇用契約、婚姻関係、収入、扶養能力、事業所など、希望する在留資格について通常求められる許可要件を満たしているか確認します。
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なぜ一度出国し、在留資格認定証明書の交付と査証申請による通常の手続を行うことができないのかを整理します。やむを得ない特別の事情があるかを、客観的な資料とともに検討します。
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国内変更だけに依存せず、出国後の再入国に備えて、在留資格認定証明書の交付申請を並行して進めるべきか検討します。
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短期滞在からの変更は例外的な取扱いであるため、必要に応じて管轄の地方出入国在留管理局へ事前に相談し、申請受付の可否や提出資料の考え方を確認します。
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日本国内で変更する必要性と、希望する在留資格の該当性は、別々の論点として整理します。それぞれについて理由書と客観的な資料を準備し、説明内容に矛盾がないようにします。
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FINAL
国内変更か、出国後の認定・査証手続かを判断する
短期滞在からの直接変更を前提とするのではなく、申請人の在留期限、変更理由、帰国の困難性、在留資格の要件、審査期間などを総合的に確認し、最も安全で現実的な手続を選択します。
KEY POINT
国内変更の申請を受け付けてもらえるかという問題と、変更先の在留資格が許可されるかという問題は別です。どちらか一方だけを満たしても、変更許可が保証されるわけではありません。
まとめ
短期滞在からほかの在留資格への変更は、法律上まったく不可能ではありません。実際に、「日本人の配偶者等」をはじめ、個別事情によっては、技術・人文知識・国際業務などへの変更が許可されるケースもあります。
しかし、短期滞在からの在留資格変更は、原則的な手続ではありません。申請では、次の二つを分けて考える必要があります。
一つ目は、希望する在留資格の要件を満たしているかという点です。技術・人文知識・国際業務であれば学歴と業務内容、特定技能であれば試験・雇用契約・支援体制、日本人の配偶者等であれば婚姻の真正性と生活基盤などが審査されます。
二つ目は、なぜ短期滞在から日本国内で変更する必要があるのかという点です。希望する在留資格の要件を満たしていても、「やむを得ない特別の事情」が認められなければ、いったん出国し、在留資格認定証明書と査証による手続を案内される可能性があります。
したがって、「短期滞在からは絶対に変更できない」とも、「要件を満たしていれば、そのまま変更できる」とも一概にはいえません。現在の在留期限、入国目的、変更に至った経緯、在留資格認定証明書の有無、帰国が困難な事情などを整理し、国内変更と出国後の手続を比較したうえで判断することが重要です。
短期滞在からの在留資格変更は当事務所へご相談ください
当事務所では、本人の配偶者等、技術・人文知識・国際業務、特定技能、家族滞在、経営・管理など、各種在留資格の申請を取り扱っています。
短期滞在からの在留資格変更についても、これまでの許可事例と実務経験を踏まえ、変更先の在留資格の該当性だけでなく、国内で変更する必要性を整理したうえで申請方針をご提案します。
短期滞在の在留期限が迫っている場合には、選択できる手続や準備期間が限られます。「日本国内で変更できる可能性があるか」「いったん帰国して在留資格認定証明書を申請すべきか」「内定者をいつから勤務させられるか」「日本人配偶者と一緒に生活を始められるか」などでお困りの場合は、早めにご相談ください。
出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直
TEMPORARY VISITOR × STATUS CHANGE
短期滞在からほかの在留資格への変更は原則として認められず、変更先の要件を満たしているだけでは申請できません。
CHECK POINT
国内で変更する必要性や帰国して手続を行うことが困難な事情、在留期限、就労開始時期などを確認し、国内変更または帰国後の認定申請を検討する必要があります。
在留期限が迫ると選択できる手続や書類の準備期間が限られます。短期滞在からの変更をご検討中の方は、早めにご相談ください。
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