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ホテル人手不足に「外食」特定技能以外の選択肢ーホテル内レストランで活用できる「宿泊」特定技能について解説

特定技能

こんにちは。行政書士の稲福です。

沖縄タイムスに、外国人向けの在留資格「特定技能1号」の外食業分野で新規受入れが原則停止となったことを受け、沖縄県内のホテルで人手不足が深刻化しているとの記事が掲載されました。

記事によると、ホテルの飲食部門で働く人材が不足し、他部門から応援を出さなければならない状況が生じているほか、客室稼働率にも影響が出ているとされています。また、限られた外食分野の特定技能人材を巡って、企業間での人材獲得競争や引き抜きも激しくなっているようです。

しかし、ホテル内のレストランで外国人を雇用する場合、必ずしも「外食業分野」の特定技能でなければならないわけではありません。

意外と知られていませんが、一定の条件を満たすホテルや旅館では、レストランサービスを含む業務について、特定技能の「宿泊分野」で外国人材を受け入れることができます。

なお、当事務所グループでは、宿泊分野の特定技能外国人のご紹介から、在留資格申請、受入れ後の支援まで一貫して対応しています。ホテル・旅館の人手不足でお困りの事業者様は、お気軽にご相談ください。

✅ この記事でわかること
  • 外食分野の特定技能1号受入れ停止がホテルへ与える影響
  • ホテル内レストランで宿泊分野の特定技能を活用できるケース
  • 宿泊事業者の直接雇用と別法人テナントの違い
  • 宿泊分野で認められるレストランサービスの範囲
  • 宿泊分野で受け入れる際の注意点と業務範囲
  • ホテルが人材不足を乗り切るための実務上のポイント

外食業分野では、特定技能1号外国人の在留者数が政府の定める受入れ上限に近づいたことから、2026年4月13日以降、海外から新たに呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請などが原則として不許可となっています。

また、留学生や他分野の特定技能外国人が、新たに外食業分野へ変更する申請についても、原則として厳しい取扱いとなっています。

一方、すでに外食業分野の特定技能1号として働いている外国人の転職や、現在働いている人の在留期間更新については、すべてが一律に停止されたわけではありません。

そのため、正確には「外食分野の特定技能が全面的に停止された」のではなく、主に新規の受入れが制限されている状態です。ただし、新たに外食分野の特定技能人材を確保することが難しくなったため、ホテルや飲食店の間で、すでに国内にいる人材の獲得競争が激しくなることは避けられません。

なお、沖縄では、外食業分野の特定技能外国人が全国的に見ても高い割合で働いており、今回の新規受入れ停止による影響は、飲食店だけでなくホテル・観光業にも広がっています。沖縄で外食特定技能人材が増えた背景や、受入れ停止後に企業が考えるべき採用・定着戦略については、以下の記事で詳しく解説しています。

特定技能の宿泊分野で認められている業務は、フロント業務だけではありません。出入国在留管理庁は、宿泊分野の業務について、次のように示しています。

宿泊分野の対象業務

宿泊施設における
フロント企画・広報接客レストランサービス 等の宿泊サービスの提供に従事する業務

つまり、ホテルや旅館の館内にあるレストランでの配膳、注文対応、料理や飲物の提供、接客などは、宿泊分野における「レストランサービス」として認められる可能性があります。

そのため、外食業分野の新規受入れが原則停止となっている現在でも、ホテルが一定の要件を満たしていれば、宿泊分野の特定技能外国人を採用し、館内レストランの業務を担当してもらうことができます。

ホテル内にあるレストランだからといって、すべて宿泊分野に該当するわけではありません。判断するうえで重要なのは、外国人を雇用する会社と、レストランの実際の運営主体です。

ホテルや旅館を経営する宿泊事業者自身が館内レストランを運営し、その宿泊事業者が特定技能外国人を直接雇用する場合には、実際の業務内容や受入れ体制に応じて、宿泊分野で受け入れられる可能性があります。

一方、ホテル内のレストランであっても、別法人の飲食会社がテナントとして営業し、その飲食会社が外国人を雇用する場合には、単にホテルの建物内にあるという理由だけで宿泊分野に該当するわけではありません。

この場合、雇用主の事業実態は基本的に飲食店営業となるため、原則として外食業分野での受入れを検討することになります。

整理すると、次のようになります。

ホテル内レストランで外国人を雇用する場合

「宿泊分野」と「外食業分野」の判断基準

ホテル・旅館を運営する会社がレストランも運営し、外国人を直接雇用する

→ 宿泊分野で対応できる可能性があります。

ホテル内の別法人のテナント飲食店が外国人を雇用する

→ 原則として外食業分野での検討が必要です。

判断時の確認事項

実際の判断では、施設の営業許可、雇用契約の当事者、レストランの運営主体、外国人が担当する業務内容などを総合的に確認する必要があります。

実際の判断では、施設の営業許可、雇用契約の当事者、レストランの運営主体、外国人が担当する業務内容などを総合的に確認する必要があります。

宿泊分野で認められている業務に「レストランサービス」が含まれているからといって、宿泊分野の特定技能外国人を、館内レストランの業務だけに固定してよいとは限りません。

宿泊分野は、あくまでもホテルや旅館における宿泊サービス全般を対象とする分野です。そのため、レストランサービスに加えて、フロント、館内案内、宿泊客への接客、予約対応、企画・広報など、宿泊サービスに関係する業務にも幅広く従事することが想定されています。

実際の業務内容が、館内レストランにおける配膳や接客のみに限定され、ホテルの宿泊サービスにはほとんど関わらない場合には、業務の実態によっては、宿泊分野ではなく外食業分野に該当すると判断される可能性があります。

そのため、雇用契約書や特定技能外国人の報酬に関する説明書などを作成する際にも、単に「レストランスタッフ」と記載するのではなく、フロント補助、館内案内、宿泊客への接客、予約対応、レストランサービスなど、実際に担当する宿泊施設内の業務を具体的に整理して記載することが重要です。

宿泊分野の対象業務として明示されているものの一つが「レストランサービス」です。一般的には、宿泊客に対する料理や飲物の提供、注文対応、配膳・下膳、会場準備、接客などの業務が想定されます。

一方で、本格的な調理業務のみに専従させる場合には、宿泊分野の業務として適切かどうか、外食業分野との関係も含めて慎重に確認する必要があります。

簡単な盛り付け、飲物の準備、料理の補充など、レストランサービスに付随して行う作業であれば、宿泊分野の業務として認められる余地があります。しかし、厨房内での仕込みや調理を主な業務とする場合には、宿泊分野の対象業務として当然に認められるとは限りません。

「ホテルが直接雇用しているから、レストランに関係する業務であれば何でも宿泊分野で従事できる」というわけではありません。外国人が実際に担当する業務の内容、各業務の割合、勤務場所、勤務体制などを事前に整理し、宿泊サービスの一環として説明できる業務内容になっているかを確認することが重要です。

宿泊分野で特定技能外国人を受け入れるためには、ホテル側も一定の要件を満たす必要があります。

まず、受入れ企業は、旅館業法上の「旅館・ホテル営業」の許可を受けていなければなりません。簡易宿所営業や民泊の届出だけでは、原則として宿泊分野の受入れ対象にはなりません。

また、特定技能外国人に風営法上の「接待」を行わせることはできません。さらに、受入れ企業は、国土交通省が設置する宿泊分野特定技能協議会に加入し、協議会や国土交通省が行う調査・指導に協力できる体制を整える必要があります。

もちろん、他の特定技能分野と同様に、日本人と同等以上の報酬を支払うこと、適切な雇用契約を締結すること、1号特定技能外国人支援計画を作成・実施することなども必要です。

受入れ前に確認

宿泊分野で特定技能外国人を受け入れるための主な要件

宿泊分野で特定技能外国人を受け入れるためには、ホテル・旅館側も一定の要件を満たす必要があります。

要件 01

「旅館・ホテル営業」の許可を受けていること

受入れ企業は、旅館業法上の「旅館・ホテル営業」の許可を受けていなければなりません。簡易宿所営業や民泊の届出だけでは、原則として宿泊分野の受入れ対象にはなりません。

要件 02

風営法上の「接待」を行わせないこと

特定技能外国人を、風営法上の「接待」に該当する業務に従事させることはできません。

要件 03

宿泊分野特定技能協議会へ加入すること

受入れ企業は、国土交通省が設置する宿泊分野特定技能協議会に加入し、協議会や国土交通省が行う調査・指導などに協力できる体制を整える必要があります。

特定技能制度の共通要件

宿泊分野に限らず、次のような要件も満たさなければなりません。

  • 日本人が従事する場合と同等以上の報酬を支払うこと
  • 法令に適合した雇用契約を締結すること
  • 1号特定技能外国人支援計画を作成・実施すること
  • 労働・社会保険・租税関係法令を遵守していること

現在、他分野の特定技能1号として就労している外国人をホテルが採用し、宿泊分野の業務に従事させる場合には、原則として、宿泊分野への在留資格変更許可申請が必要です。

同じ「特定技能1号」であっても、介護、外食、宿泊などはそれぞれ別の特定産業分野として取り扱われます。在留カードの表面には「特定技能1号」と表示されますが、実際に就労できる分野や受入れ機関などの詳細は、旅券に添付される「指定書」に記載されています。

例えば、介護分野の特定技能1号として許可を受けている外国人の指定書には、介護分野の業務に従事することが指定されています。そのため、介護分野の指定書のまま、ホテルのフロント、接客、レストランサービスなど、宿泊分野の業務に従事させることはできません。

ホテルでの採用が決まった場合は、宿泊分野の技能試験や日本語能力などの要件を確認したうえで、新しい雇用契約に基づく在留資格変更許可申請を行い、宿泊分野の業務に従事できる内容の指定書が交付されてから就労を開始する必要があります。

また、外国人本人についても、原則として「宿泊分野特定技能1号評価試験」に合格するなど、宿泊分野で求められる技能水準を満たしている必要があります。

特定技能の技能要件は分野ごとに定められているため、介護、外食、飲食料品製造など、他分野の技能試験に合格していても、その合格実績だけで宿泊分野の業務に従事することはできません。

さらに、近年は技能評価試験の偽造合格証が問題となっていることから、受入れ企業や行政書士、登録支援機関においても、提出された合格証が真正なものであるか十分に確認することが重要です。受験日や試験会場、受験予約メールなどの資料を確認し、不自然な点がないか慎重に確認したうえで申請を進めることが望まれます。

他分野から宿泊分野へ変更する場合は、宿泊分野の技能試験・日本語能力の要件を満たしていることに加え、技能評価試験の合格証の真正性も確認したうえで、在留資格変更許可申請を行う必要があります。

外食業分野の新規受入れが原則停止となったことで、ホテルの飲食部門が影響を受けていることは事実です。しかし、ホテル内レストランの人材確保を、外食業分野の特定技能だけで考える必要はありません。

旅館・ホテル営業の許可を受けた宿泊施設において、宿泊事業者がレストランを自ら運営し、外国人を直接雇用する場合には、業務内容や受入れ体制に応じて、宿泊分野の特定技能人材を活用できる可能性があります。

一方、ホテルが直営するレストランであっても、飲食物の調理、接客、店舗管理など、外食業全般の業務に幅広く従事させる場合には、外食業分野の特定技能外国人を受け入れることも可能です。実際に、ホテル内やホテル直営レストランにおいて、外食業分野の特定技能外国人が接客や調理を中心とするレストランサービス全般に従事する運用も認められています

つまり、ホテル直営のレストランで働く外国人が、必ず宿泊分野になるわけではありません。宿泊分野と外食業分野のどちらに該当するかは、施設の営業許可だけでなく、雇用主、レストランの運営主体、外国人が実際に担当する業務、技能試験の合格分野、在留資格の指定内容などを踏まえて判断する必要があります。

宿泊分野で受け入れる場合には、レストラン業務だけに固定するのではなく、館内案内、フロント、宿泊客への接客などを含め、宿泊サービスの提供に幅広く従事させることが基本となります。宿泊分野の対象業務は、旅館やホテルにおけるフロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供業務とされています。

これに対して、外食業分野で受け入れる場合には、飲食物の調理、接客、店舗管理など、外食業全般の業務に従事させる必要があります。単に配膳だけ、調理だけといった一部の作業に限定するのではなく、試験によって確認された能力を用いて、外食業務に幅広く従事させることが求められます。

外食業分野の人材を奪い合うだけではなく、ホテル内の業務内容を整理したうえで、宿泊分野と外食業分野のどちらが実態に適しているかを検討することが重要です。ホテルの業務設計を見直し、それぞれの分野の特定技能制度を適切に活用することが、人手不足に対応する現実的な選択肢の一つになるでしょう。

ホテル内レストランで働く場合

「宿泊分野」と「外食業分野」の違い

宿泊分野

宿泊サービス全般を担う人材

主な対象業務

フロント、館内案内、接客、企画・広報、レストランサービスなど

受入れ企業

旅館業法上の「旅館・ホテル営業」の許可を受けた宿泊事業者

ポイント

レストラン業務だけに固定せず、宿泊サービス全般に幅広く従事させることが基本です。

外食業分野

飲食店業務全般を担う人材

主な対象業務

飲食物の調理、接客、配膳、店舗管理など

受入れ企業

ホテル直営レストランや、ホテル内の別法人のテナント飲食店など

ポイント

ホテル内で勤務する場合でも、調理・接客・店舗管理など外食業務全般に従事させる場合は対象になり得ます。

判断の基準

ホテル内にあるかどうかだけで決まるものではありません。雇用主、レストランの運営主体、営業許可、外国人が実際に担当する業務、合格している技能試験、指定書の内容などを総合的に確認する必要があります。

ホテル内レストランで特定技能外国人を雇用する場合、必ずしも外食業分野でなければならないわけではありません。旅館・ホテル営業の許可を受けた宿泊施設において、宿泊事業者がレストランを自ら運営し、外国人を直接雇用する場合には、宿泊分野の特定技能でレストランサービスを担当してもらえる可能性があります。

一方、ホテル内にある別法人のテナント飲食店が雇用する場合は、ホテル内というだけで宿泊分野になるわけではなく、原則として外食業分野での検討が必要です。

また、宿泊分野で採用する場合でも、レストラン業務だけに専従させるのではなく、宿泊サービス全般に従事してもらうことが基本となります。特定技能では、施設の名称や勤務地だけではなく、営業許可の名義、雇用主、事業の実態、具体的な業務内容によって対象分野が判断されます。

ホテル内レストランでの外国人採用を検討する際は、採用後に業務範囲の問題を指摘されることがないよう、雇用契約を締結する前に受入れ分野を慎重に確認することが大切です。

出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直

ACCOMMODATION × SPECIFIED SKILLED WORKER

特定技能「宿泊」では、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど、宿泊施設の運営に関わる幅広い業務に外国人人材を活用できます。

CHECK POINT

ホテル・旅館内のレストラン業務は、雇用主や施設の運営形態により、宿泊分野または外食分野のいずれに該当するか確認が必要です。

宿泊施設の人材採用をご検討中の事業者様は、採用を決定する前の段階からご相談ください。

この記事の監修者
アソシエイツ稲福国際行政書士事務所 行政書士
稲福 正直

アソシエイツ稲福国際行政書士事務所
代表行政書士
沖縄県那覇市出身
明治大学法学部法律学科卒業
東京都行政書士会
会員番号第15128号
専門は、建設特定技能ビザ申請・建設業に係る申請等

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