こんにちは。行政書士の稲福です。
最近、「自動車整備分野の特定技能人材は紹介できますか?」「国内で転職を希望している外国人はいるのでしょうか?」というお問い合わせをいただく機会が増えています。
これまで自動車整備分野は、特定技能人材の流動性が低く、人材紹介が難しい分野とされてきました。しかし、この1年ほどで状況は少しずつ変わり始めています。
国内では、インドやバングラデシュなどの外国人を中心に、自動車整備分野の技能評価試験に合格し、転職の機会を探している人材が徐々に増えてきました。今回は、自動車整備分野における特定技能人材の現状と、市場の変化、そして今後の採用の可能性について解説します。
- 自動車整備分野で特定技能外国人を受け入れるための要件
- 技能実習から特定技能へ移行する場合の基本的な流れ
- 国内で技能評価試験に合格した転職希望者の動向
- インド人・バングラデシュ人整備人材の可能性
- 特定技能外国人が従事できる自動車整備業務の範囲
- 人材紹介から在留資格手続き、登録支援までの流れ

これまで自動車整備分野は人材紹介が難しかった
自動車整備分野の特定技能制度が始まった当初、多くの外国人材は、技能実習を修了した後、そのまま同じ会社で特定技能1号へ移行し、継続して勤務する傾向にありました。
企業側も、技能実習期間を通じて技術や業務の進め方を教えてきた人材を引き続き雇用するため、転職市場に自動車整備分野の特定技能人材が出てくることは、ほとんどありませんでした。
また、特定技能1号の外国人を新たに採用する企業も限られていたため、ベトナムなどの主要な人材送出し国でも、自動車整備分野の技能評価試験を受験する人は多くありませんでした。
そのため、これまでの自動車整備分野は、
・国内に転職希望者がほとんどいない
・海外にも技能評価試験の合格者が少ない
・求人を出しても応募者を集めにくい
という状況が続いており、他の特定技能分野と比べても、人材紹介が難しい分野とされてきました。
インド・バングラデシュ出身の試験合格者が増えている
現在は、これまでとは少し状況が変わり始めています。特に目立つのが、インドやバングラデシュ出身の人材です。彼らの中には、現在、別の特定技能分野などで働きながら、自動車整備分野の技能評価試験を受験し、すでに合格している人が一定数います。
すぐに退職するのではなく、現在の仕事を続けながら、自動車整備会社への転職機会を探している人も少なくありません。つまり、国内には、「自動車整備分野の試験には合格しているものの、採用してくれる企業と出会えていない」という人材が少しずつ増えているのです。
これまで自動車整備分野では、ベトナム人を中心に技能実習から同じ会社の特定技能1号へ移行する人材が中心でした。しかし現在は、他分野から自動車整備業界への転職を目指す、新たな人材層が国内で形成され始めています。
なぜ自動車整備は南アジアで人気なのか
自動車整備は、インドやバングラデシュをはじめとする南アジア諸国で、人気の高い技術職の一つです。これらの国では、国内で自動車整備士として経験を積んだ後、より高い収入を求めて、中東諸国へ出稼ぎに行くというキャリアも広く見られます。整備技術を身につけることで、国内だけでなく、海外にも就労の選択肢を広げられるためです。
そのため、南アジアには、
・自動車や機械を扱う仕事が好き
・専門技術を身につけて、長期的なキャリアを築きたい
・将来は海外で働き、収入を増やしたい
と考える若者が多く、自動車整備への関心も高い傾向にあります。
特に、日本の自動車産業や整備技術に対する評価は高く、日本の整備工場で実務経験を積むことは、単に日本で働くためだけではなく、将来のキャリア形成にもつながると考えている人材も少なくありません。
こうした背景から、現在は別の分野で働いている外国人の中にも、自動車整備分野の技能評価試験を受験し、日本の自動車整備会社への転職を目指す人が増え始めています。
今後、自動車整備分野の転職市場が形成される可能性
現在の自動車整備分野は、外食や介護などと比べると、特定技能人材の転職市場はまだ活発とはいえません。しかし、特定技能外国人の在留者数が増えていることに加え、国内で自動車整備分野の技能評価試験を受験する人や、他分野で働きながら技能評価試験を受験し、自動車整備業界への転職を希望する試験合格者も少しずつ増えています。
今後、このような人材と採用企業を結びつける仕組みが広がれば、自動車整備分野においても、国内在住者を中心とした転職市場が徐々に形成されていく可能性があります。特に、慢性的な整備士不足に悩む中小の整備工場にとって、特定技能人材の採用は、有力な選択肢の一つになるでしょう。
すでに日本国内で生活し、別の分野で働いている人材であれば、日本での生活や職場環境にも一定程度慣れています。自動車整備分野の試験に自ら挑戦しているため、仕事への意欲や将来のキャリアに対する目的意識を持っている人材も少なくありません。
ただし、試験に合格していることだけで採用を判断するのではなく、実際の整備経験、日本語能力、運転免許の有無、希望する業務内容などを確認したうえで、企業との適性を見極めることが重要です。
登録支援機関選びも重要なポイント
自動車整備分野では、外国人材を採用するだけでなく、その後の定着支援も非常に重要です。生活支援や日本語学習のサポート、行政手続きなどを適切に行うためには、自動車整備分野に精通した登録支援機関との連携が欠かせません。
さらに、自動車整備分野には、他分野にはない特徴があります。
2026年4月からは、自動車整備分野の特定技能外国人を支援する登録支援機関について、自動車整備士(2級または3級)を配置することが求められるようになりました。これは、外国人材に対して適切な支援を行うためには、生活面だけでなく、自動車整備業務への理解も必要であるとの考え方によるものです。
そのため今後は、「登録支援機関であればどこでもよい」という時代ではなく、自動車整備分野に関する知識や実務経験を備えた登録支援機関を選ぶことが、受入れ企業にとって重要なポイントになります。特に、整備現場の業務内容や資格制度、安全管理などを理解している登録支援機関であれば、企業と外国人材の双方に寄り添った支援が期待できます。
今後、自動車整備分野で特定技能外国人の受入れが拡大していく中で、整備士を配置した専門性の高い登録支援機関の存在は、企業にとって大きな安心材料となるでしょう。
まとめ
これまで自動車整備分野では、技能実習を修了した人材がそのまま同じ会社で特定技能1号へ移行するケースが多く、転職市場に人材が出にくいことから、人材紹介が難しい分野とされてきました。しかし現在は、インドやバングラデシュ出身者を中心に、日本国内で自動車整備分野の技能評価試験に合格し、自動車整備業界への転職を希望する外国人材が少しずつ増えています。
整備士不足が深刻化する中、こうした国内在住の試験合格者を採用することは、中小の整備工場にとっても、今後ますます現実的な選択肢になっていくでしょう。もっとも、採用にあたっては、試験合格の有無だけでなく、実務経験、日本語能力、運転免許の取得状況、本人のキャリア志向などを確認し、企業との適性を見極めることが重要です。
当事務所グループでは、自動車整備分野の特定技能人材のご紹介から、在留資格の申請手続き、入社後の登録支援機関としての支援まで、一貫して対応しております。
自動車整備分野で外国人材の採用をご検討中の企業様は、お気軽にご相談ください。














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