外国人をバー、レストラン、クラブなどで雇用するときは、 「その店が、その営業方法で合法に営業できるか」と、 「その外国人が、その在留資格で、その仕事をできるか」を 分けて考える必要があります。
また、会社が風俗営業の許可を持っていることと、 外国人が風俗営業の営業所で働くことは同じではありません。
例えば、キャバクラ等を運営する会社が別に本社を設けており、 技人国の外国人がその本社でIT、経営分析、海外事業企画などの専門業務に専従する場合、 会社が風俗営業の許可を持っていることだけを理由として、 技人国が法律上一律に禁止されるわけではありません。
一方、風俗営業の店舗現場で、接客、配膳、ドリンク作り、 バーテンダー、レジ、清掃、客引き、接待などを行わせることは、 通常、技人国の活動には該当しません。
この3つを分けて確認することが重要です。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、 自然科学・人文科学の知識を必要とする業務や、 外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務を対象としています。
入管庁が公表している技人国の基準には、 「雇用会社が風俗営業の許可を持っていること」自体を 一律の除外事由とする規定はありません。 一方、仕事内容が技人国に該当することは当然必要です。
これに対して、留学生等の資格外活動許可については、 風俗営業、店舗型性風俗特殊営業、特定遊興飲食店営業が営まれている営業所で行う活動は 明確に許可対象外とされています。
また、特定技能「外食」についても、 風俗営業・性風俗関連特殊営業を営む営業所で就労させないこと、 外国人本人に「接待」を行わせないことが明確に定められています。
どの営業所で、どの在留資格の外国人が、何の仕事をするのかまで確認する必要があります。
外国人をバー、クラブ、レストランなどで採用する際、
「風俗営業の許可を取っている会社では、技人国は使えないのでは?」
「店長候補として技人国で採用できないか?」
「留学生でも接待をしなければバーで働ける?」
「深夜酒類提供の届出があれば、0時以降にDJを入れて客を踊らせても大丈夫?」
といった質問を受けることがあります。
こんにちは。行政書士の稲福です。
この問題が分かりにくいのは、風営法と入管法という二つの制度が同時に関係するからです。風営法上は適法な営業であっても、その外国人に在留資格の範囲外の仕事をさせれば入管法上の問題になります。
反対に、外国人本人の在留資格に問題がなくても、店側が必要な許可を取らずに接待や深夜の遊興を行っていれば、風営法上の問題になります。
今回は、この二つを整理して解説します。
- 「風営法の店」はすべて同じなのか
- 「風俗営業」と「深夜酒類提供飲食店営業」の違い
- 「接待」と「遊興」の違い
- 午前0時以降にDJ・ダンスを行う場合の注意点
- 風俗営業の許可を持つ会社で技人国を雇えるのか
- 風俗営業の営業所で技人国は働けるのか
- 「飲食店の店長候補」で技人国を申請できるのか
- 特定技能「外食」はバー・クラブで働けるのか
- 特定遊興飲食店営業で特定技能外国人を雇えるのか
- 留学生・家族滞在のアルバイトはどこまで可能なのか
- 外国人DJ・ダンサー・演奏家の在留資格
- 採用前に企業が確認すべきポイント

- まず整理ー「風営法の店」はすべて同じではない
- 「接待」とは何か
- 「遊興」とは何か
- 深夜酒類提供の「届出」と、特定遊興の「許可」は別物
- 午前0時以降にDJが回し、客が踊る店はどうなるか
- 風俗営業の許可を持つ会社では、技人国を雇えないのか
- 飲食店の「店長候補」なら技人国で働けるのか
- 特定技能の対象業務がある分野では、技人国との区別が重要
- 特定技能「外食」は風俗営業の店で働けるのか
- ただし、特定遊興飲食店営業は扱いが違う
- 特定遊興飲食店では、在留資格によって結論が違う
- 留学生・家族滞在のアルバイトは特に注意
- 深夜酒類提供の届出だけのバーなら、留学生は働けるのか
- ガールズバーで外国人は働けるのか
- 永住者・定住者等はどうなるか
- 在留資格ごとの違いを整理
- 外国人を採用する前に確認する2つの視点
- 外国人雇用と風営法の確認フロー
- よくある質問
- まとめ
まず整理ー「風営法の店」はすべて同じではない
「風営法の店」と一括りにされがちですが、実際には営業内容によって必要な許可・届出や規制が異なります。まずは、主な営業区分を整理しておきます。
| 区分 | 典型例 | 手続 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 風俗営業1号 | キャバクラ、ホストクラブ等 | 許可 | 客への 「接待」 を伴う営業 |
| 風俗営業2・3号 | 低照度飲食店、区画席飲食店 | 許可 | 照度や客席構造などが一定の基準に該当 |
|
深夜酒類提供 飲食店営業 |
深夜営業のバー、酒場等 | 届出 | 午前0時以降に酒類を提供するが、 接待や深夜の遊興は行わない |
|
特定遊興 飲食店営業 |
深夜のナイトクラブ、ライブ・ショー型店舗等 | 許可 | 深夜(0時~6時)に酒類を提供し、営業者側が客を 「遊興」させる |
特に注意したいのは、「風俗営業」「深夜酒類提供飲食店営業」「特定遊興飲食店営業」は、同じ風営法に関係する営業であっても、法律上は別の営業類型だということです。警視庁も、深夜酒類提供飲食店営業については「届出」、風俗営業・特定遊興飲食店営業については「許可」という別の手続を設けています。
「深夜酒類提供飲食店営業」とは
深夜酒類提供飲食店営業とは、バーや酒場などの飲食店が、深夜(午前0時から午前6時まで)に酒類を提供して営業する場合に該当する営業区分です。風俗営業のような許可制ではなく、営業開始前に公安委員会へ届出を行います。
ただし、午前0時までに営業を終了する場合は、原則として該当しません。 また、午前0時以降に営業していても、営業時間を通じて米飯類、麺類、パン類などの通常主食を提供する一般的な飲食店は、対象外となる場合があります。
さらに重要なのは、深夜酒類提供飲食店営業の届出をしているからといって、午前0時以降に「接待」や「遊興」まで自由に行えるわけではないという点です。接待を行えば風俗営業に、午前0時以降に酒類を提供しながらDJ・ダンス・ライブ・ショーなどで客を積極的に遊興させる場合には、特定遊興飲食店営業に該当する可能性があります。
したがって、午前0時以降の営業の有無、酒類提供の態様、接待の有無、遊興の有無をそれぞれ確認し、実際の営業内容に応じて必要な許可・届出を判断することが重要です。
「特定遊興飲食店営業」とは
特定遊興飲食店営業に該当するかどうかは、単にDJやダンス、ショーなどの「遊興」があるかだけで決まるものではありません。ポイントとなるのは、深夜(午前0時から午前6時まで)に営業し、酒類を提供しながら、営業者側が客を「遊興」させているかという点です。
そのため、営業が午前0時までで、0時以降は営業しないのであれば、DJやダンス、ライブ、ショーなどを行っていたとしても、原則として特定遊興飲食店営業には該当しません。たとえば、23時59分までDJイベントを行い、午前0時までに営業を完全に終了する場合は、「遊興」があるという理由だけで特定遊興飲食店営業になるわけではありません。
一方で、午前0時以降も営業を続け、酒類を提供しながらDJ、ダンス、ライブ、ショーなどによって客を積極的に楽しませる営業を行う場合には、特定遊興飲食店営業に該当する可能性があり、公安委員会の許可が必要になります。
ただし、客への「接待」を行っている場合は別の問題です。特定の客の隣に座って継続的に談笑したり、酒を注ぎながら会話を続けたりするなど、風営法上の「接待」に該当する営業を行っている場合には、午前0時以前の営業であっても、風俗営業1号の許可が必要となる可能性があります。
つまり、「特定遊興飲食店営業=遊興がある店」ではなく、「深夜(午前0時以降)+酒類提供+遊興」が基本的な判断ポイントです。あわせて、「接待」の有無についても別途確認する必要があります。
「接待」とは何か
風営法上の「接待」は、歓楽的な雰囲気をつくる方法で特定の客をもてなす行為です。
などが典型です。通常の飲食店で行われる注文受付や配膳とは区別されます。
「遊興」とは何か
「遊興」は、特定の客への接待とは違い、不特定の客を店側が積極的に遊び興じさせる行為です。警察庁は、例えば次のような行為を「遊興」に該当する例として示しています。
一方、単に録音された音楽を流しているだけであれば、通常は営業者側の積極的な「遊興」には当たらないとされています。
深夜酒類提供の「届出」と、特定遊興の「許可」は別物
深夜酒類提供飲食店営業は、主として酒類を提供する飲食店が深夜に営業する場合に行う届出です。これに対して、特定遊興飲食店営業は公安委員会の許可が必要です。
したがって、深夜酒類提供飲食店営業の届出をした= 深夜にDJ・ダンス・ショーを自由に行えるという意味ではありません。営業内容が特定遊興飲食店営業に該当するのであれば、別途、その許可が必要になります。
深夜酒類提供飲食店営業は届出制、 特定遊興飲食店営業は許可制です。 また、深夜に酒類を提供し、店側がDJ・ダンス・ショー等によって客を積極的に遊興させる場合は、 特定遊興飲食店営業に該当する可能性があります。
午前0時以降にDJが回し、客が踊る店はどうなるか
客が店内の音楽に合わせて自発的に踊っただけで、直ちに特定遊興飲食店営業になるわけではありません。重要なのは、店側が積極的に客を遊興させているかです。
例えば、
・午前0時以降も酒類を提供している
・店側がDJや演者を手配している
・DJが客の反応を見ながら選曲する
・ダンス用スペースが設けられている
・照明・音響を操作して客を盛り上げる
・MC等が踊るよう呼びかける
・イベントとして広告・告知している
・入場料やイベントチャージを取っている
・これらのイベントを継続的に行っている
といった事情があれば、慎重な判断が必要です。特に、深夜+ 酒類提供+ 店側による積極的な遊興がそろう場合には、深夜酒類提供の届出だけで足りるとは限りません。
風俗営業の許可を持つ会社では、技人国を雇えないのか
ここは、「会社」と「営業所」を分けることが重要です。
会社が風俗営業の許可を持つだけで、一律に技人国が禁止されるわけではない
例えば、A株式会社が、キャバクラ、ホストクラブ、その他の風俗営業店舗を運営しているとします。その会社が、店舗とは別に本社を設けており、外国人が本社で、ITシステム開発、海外事業企画、経営分析、海外マーケティング、通訳・翻訳、専門的な経理・財務業務などに専従する場合です。
技人国の制度上、会社が風俗営業許可を持っているという事実自体が、一律の不許可事由として定められているわけではありません。したがって、本人の学歴・職歴、実際の仕事内容、専門性、報酬、会社の事業実態等を踏まえて技人国の該当性を判断することになります。
しかし、風俗営業の店舗現場で働く話は別
風俗営業を営む店舗で、ホール接客、配膳、ドリンク作り、バーテンダー、レジ、清掃、客引き、接待などの一般的な店舗業務に従事することは、通常、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の対象となる専門業務には該当しません。したがって、重要なのは「風俗営業を行う会社だから技人国では働けない」ということではなく、実際に外国人が担当する業務が技人国に該当するかどうかです。
技人国については、資格外活動許可や特定技能「外食」のように、「風俗営業を営む営業所での活動そのもの」を一律に禁止する規定は設けられていません。
ただし、実際に風俗営業の営業所内で勤務する場合には、そこで技人国に該当する専門業務が実際に存在するのか、接客・配膳・ドリンク作り・レジなどの店舗業務と明確に区分されているのか、その営業所で専門業務を行う合理的な必要性があるのかなどを含め、慎重な確認が必要です。したがって、「専門職という肩書であれば風俗営業の店舗内でも問題ない」と一律に考えることはできません。
一方、留学生等の資格外活動や特定技能「外食」については、風俗営業を営む営業所そのものを基準とした就労制限が設けられています。つまり、技人国は会社や営業所の業態だけで一律に判断されるのではなく、実際の活動内容が在留資格に該当するかどうかが中心となるのに対し、資格外活動や特定技能「外食」では、勤務する営業所の営業区分そのものが重要な判断要素になります。
飲食店の「店長候補」なら技人国で働けるのか
「店長候補」「マネージャー」という肩書だけで、技人国になるわけではありません。入管庁は、飲食店の業務について次のように整理しています。
技人国の店舗管理については、
・店舗の具体的な態様
・外国人の具体的な活動内容
・キャリアパス全体
などを総合的に考慮して個別判断されます。入管庁は、技人国の外国人が自ら調理・接客業務に従事することは原則として認められないとしています。ただし、採用当初の実務研修については例外があります。
例えば、日本人の大卒社員等にも同様に実施される研修の一環として、一時的に飲食店で接客などを経験する場合で、在留期間全体から見てその研修が大半を占めないなど、相当性が認められる場合には、技人国の在留資格内で認められることがあります。
したがって、「調理・接客は一切、一日たりともできない」という意味ではありませんが、通常業務として継続的に調理・接客を行うことはできません。
特定技能の対象業務がある分野では、技人国との区別が重要
特定技能1号「外食」では、飲食物調理、接客、店舗管理が対象業務となっています。
そのため、外食企業で技人国を申請する場合には、「なぜこの仕事は特定技能の店舗管理ではなく、技人国なのか」を具体的に説明する必要があります。
つまり、「店長だから技人国」「マネージャーだから技人国」「将来管理職にするから技人国」ではありません。実際の仕事とキャリアパスが重要です。
特定技能「外食」は風俗営業の店で働けるのか
特定技能「外食」は、技人国とは違い、営業所について明確な制限があります。外食分野の特定技能外国人については、風俗営業を営む営業所および性風俗関連特殊営業を営む営業所で就労させてはならないとされています。
したがって、例えば一般的なキャバクラ等の風俗営業店舗で、「接待をさせないから、厨房だけなら特定技能外食で働かせられる」ということにはなりません。営業所自体が対象外です。
さらに、勤務場所にかかわらず、特定技能外国人本人に風営法上の「接待」を行わせることも禁止されています。
ただし、特定遊興飲食店営業は扱いが違う
ここは非常に重要です。「風俗営業」と「特定遊興飲食店営業」は、法律上同じ営業類型ではありません。現在の外食分野の基準では、就労禁止対象として明記されているのは、
・風俗営業
・性風俗関連特殊営業
です。
特定遊興飲食店営業については、過去から農林水産省の公式資料でも、外食特定技能について「特定遊興飲食店営業は可能」との整理が示されています。
農林水産省の公式資料では、外食業分野の特定技能について、 「接待飲食等営業」での就労および客への「接待」は不可 とする一方、 「特定遊興飲食店営業」は可能 との整理が明確に示されています。
したがって、特定遊興飲食店営業の許可を受けていることだけを理由として、 特定技能「外食」の外国人が一律に就労できなくなるわけではありません。 ただし、従事できるのは外食業分野の対象業務であり、 客への「接待」を行わせることはできません。
したがって、特定遊興飲食店営業の許可を受けているという理由だけで、特定技能「外食」の外国人が一律に働けなくなるわけではありません。
ただし、飲食物調理、通常の接客、店舗管理など、特定技能「外食」の対象業務として働く必要があり、「接待」はできません。
なお、「特定遊興飲食店営業の店舗で働ける」ということと、「遊興を行う仕事ができる」ということは別です。特定技能「外食」で認められるのは、あくまで飲食物調理、接客、店舗管理、特定技能2号であれば店舗経営など、外食業分野で定められた業務です。
そのため、DJとして選曲して客を盛り上げる、MCとしてダンスを促す、ダンサーとしてショーを行う、演奏家として出演するなど、客を遊興させること自体を仕事として行うことは、特定技能「外食」の業務には含まれません。
特定遊興飲食店では、在留資格によって結論が違う
特定遊興飲食店営業の店舗で外国人を雇用する場合は、「外国人だから働けない」「飲食店だから働ける」と一律に判断することはできません。 在留資格によって、認められる仕事内容や営業所内での就労可否が大きく異なります。
特に、技人国、特定技能「外食」、留学・家族滞在の資格外活動、永住者・定住者等では結論がそれぞれ異なるため、店舗の営業区分だけでなく、外国人本人の在留資格と実際に従事する業務内容をあわせて確認することが重要です。
つまり、「風営法関係の店だから外国人は全員ダメ」でも、「営業許可を取っているから外国人は全員働ける」でもありません。在留資格ごとにルールが違います。
留学生・家族滞在のアルバイトは特に注意
留学生や家族滞在の外国人は、資格外活動許可を取得すれば、原則として週28時間以内でアルバイトすることができます。しかし、資格外活動許可には重要な例外があります。
入管庁は、風俗営業、店舗型性風俗特殊営業、特定遊興飲食店営業が営まれている営業所で行う活動を資格外活動許可の対象外としています。
留学生や家族滞在の外国人は、資格外活動許可を取得することで、 原則として週28時間以内のアルバイトが可能です。 ただし、資格外活動許可には重要な例外があります。
出入国在留管理庁は、 風俗営業、店舗型性風俗特殊営業、特定遊興飲食店営業が営まれている営業所で行う活動 を、資格外活動許可の対象外としています。 そのため、接客をしない場合であっても、対象となる営業所内での 清掃・皿洗い・受付などの活動も認められません。
これは、仕事内容が「接待」に当たるかどうかだけの問題ではありません。特定遊興飲食店営業が営まれている営業所では、資格外活動許可を持つ留学生や家族滞在の外国人は、原則として営業所内で働くこと自体ができません。 そのため、皿洗い、清掃、受付、厨房補助、ホール、裏方作業など、接待を伴わない仕事であっても対象外です。
よくある誤解が、「資格外活動許可があれば週28時間以内ならどこでも働ける」というものです。実際には、労働時間だけでなく、勤務先がどのような営業区分の店舗なのかまで確認する必要があります。
また、「午前0時」は留学生が働ける時間の境目ではありません。 午前0時という基準は、店舗が特定遊興飲食店営業に該当するかを判断する際の要素です。いったんその店舗が特定遊興飲食店営業の営業所に該当する場合、資格外活動許可があっても、午前0時より前の時間帯を含め、その営業所内で働くことは原則としてできません。
深夜酒類提供の届出だけのバーなら、留学生は働けるのか
ここも混同されやすいところです。深夜酒類提供飲食店営業は、風俗営業や特定遊興飲食店営業とは別の営業類型です。そのため、適法な深夜酒類提供飲食店営業の届出をしているだけのバーであることを理由として、留学生・家族滞在の資格外活動が一律に禁止されるわけではありません。
つまり、「深夜営業のバーだから留学生は絶対に働けない」ということではありません。ただし、実際には、
・接待を行っている
・深夜にDJ等で客を積極的に遊興させている
・ダンススペースを設けている
・照明・音響で客を積極的に盛り上げている
など、実態として風俗営業や特定遊興飲食店営業に該当する場合は別です。届出の名称ではなく、実際の営業内容で判断する必要があります。
ガールズバーで外国人は働けるのか
「ガールズバー」は、風営法上の正式な営業区分ではありません。そのため、外国人が働けるかどうかは、店の名称ではなく、実際の営業内容、特に「接待」の有無を確認して判断する必要があります。
警察庁の基準では、特定少数の客の近くで継続して談笑したり、酒類を提供しながら相手をしたりする行為は、「接待」に当たり得ます。一方、カウンター内で客の注文に応じて酒類を提供し、それに付随して挨拶や若干の世間話をする程度であれば、接待には当たらないとされています。
つまり、「カウンター越しだから接待ではない」と一律に判断することはできません。例えば、カウンター越しであっても、特定の客に対して継続的に会話の相手をし、酒を注いだり、ゲームやカラオケなどで客を盛り上げたりするなど、実態として歓楽的なもてなしを行っている場合には、「接待」に該当する可能性があります。このような営業が風俗営業1号に該当する場合、資格外活動許可を持つ留学生や「家族滞在」の外国人は、その営業所内で働くことができません。
これは本人が「接待」を担当する場合だけではありません。皿洗い、清掃、ドリンク作り、受付、厨房などの裏方業務であっても、風俗営業が営まれている営業所内での活動であれば、資格外活動許可の対象外となります。
警察庁は、風営法上の「接待」について、 接客する場所や形式だけではなく、実際の接客態様を踏まえて判断する基準 を示しています。 「カウンター越しだから接待ではない」と一律に判断するのではなく、 継続的な談笑や飲食物の提供など、具体的な営業実態を確認する必要があります。
▶ 警察庁「風営法の解釈運用基準」を見る特定技能「外食」についても、風俗営業を営む営業所では原則として就労できず、本人に「接待」を行わせることもできません。一方、接待を行わず、通常のバー営業にとどまり、深夜に酒類を提供する「深夜酒類提供飲食店営業」である場合には、「ガールズバー」という名称だけを理由として、留学生等の資格外活動が一律に禁止されるわけではありません。
特定技能「外食」についても、深夜酒類提供飲食店営業であることだけを理由として一律に禁止されるわけではありませんが、外食業分野の対象となる事業所・業務に該当するかを別途確認する必要があります。
特定技能「外食」については、 勤務先が深夜酒類提供飲食店営業であるというだけで、一律に就労が禁止されるわけではありません。
ただし、実際の事業所が外食業分野の対象となる 飲食サービス業を行う事業所 に該当するか、また、従事する業務が 飲食物調理・接客・店舗管理等の対象業務 に該当するかを別途確認する必要があります。 なお、風営法上の 「接待」 を行わせることはできません。
技人国については、カウンター接客、ドリンク作り、配膳、レジなどの一般的な店舗業務は、通常、技人国の専門業務には該当しません。重要なのは、「ガールズバー」という店名ではなく、接待の有無、営業区分、外国人本人の在留資格、実際の仕事内容を確認することです。
永住者・定住者等はどうなるか
次のような身分・地位に基づく在留資格には、入管法上、原則として就労活動の種類に制限がありません。
・永住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・定住者
そのため、店自体が適法に営業しているのであれば、風営法関係の店舗で働くこと自体は入管法上可能です。入管庁も、永住者・定住者等については就労活動に制限がないと説明しています。
もちろん、風営法上の年齢規制や労働関係法令等は別途守る必要があります。
在留資格ごとの違いを整理
同じ飲食店・バー・クラブで働く場合でも、外国人が持っている在留資格によって、認められる仕事内容や就労できる営業所の範囲は大きく異なります。
たとえば、技人国は専門的な業務であることが必要であり、特定技能「外食」は調理・接客・店舗管理などが対象となります。一方、留学・家族滞在の資格外活動には営業所そのものに関する制限があり、永住者・定住者等は入管法上、原則として就労活動の種類に制限がありません。
ここでは、「どの在留資格なら、どの店舗で、どのような仕事ができるのか」を整理していきます。
※技人国については「営業所だから自動的に×」というより、本人が実際に行う活動が技人国に該当するかで判断します。ただし、店舗現場の一般業務を技人国として行うことはできません。
外国人を採用する前に確認する2つの視点
外国人を採用する際は、在留資格だけを確認すればよいわけではありません。特に飲食店やバー、クラブなどでは、「その店舗がどのような営業をしているのか」と、「外国人本人がその在留資格でどのような仕事をするのか」を分けて確認する必要があります。
つまり、まず店舗側の営業許可・届出、営業時間、接待や遊興の有無を確認し、そのうえで、外国人側の在留資格、就労制限、実際の勤務地、具体的な仕事内容を確認します。この2つを切り分けて考えることが、外国人雇用と風営法を整理するうえで最も重要なポイントです。
外国人雇用と風営法の確認フロー
外国人を採用する際は、「店舗の営業実態」→「風営法上の営業区分」→「外国人の在留資格」→「実際の仕事内容」という順番で確認すると整理しやすくなります。
特に、バー・クラブ・深夜営業店では、名称や肩書だけで判断するのではなく、接待の有無、深夜の酒類提供、DJ・ダンス・ショー等の遊興の有無、実際の勤務場所と業務内容まで確認することが重要です。
以下のフローに沿って確認することで、店舗側の風営法上の問題と、外国人側の在留資格上の問題を切り分けて判断することができます。
ポイントは、「会社名」と「肩書」だけで判断しないことです。
よくある質問
Q.風俗営業の許可を取得している会社では、技人国の外国人を雇えませんか。
会社が風俗営業の許可を持っていることだけを理由として、一律に雇えないわけではありません。例えば、店舗とは区分された本社・本部で、IT、海外事業企画、経営分析などの技人国に該当する専門業務に専従する場合には、検討の余地があります。
一方、風俗営業店舗での接客、配膳、ドリンク作り、清掃、接待などは、通常、技人国の対象業務ではありません。「会社」と「営業所」と「仕事内容」を分けて考える必要があります。
Q.技人国で飲食店の店長候補として採用できますか。
「店長候補」という肩書だけでは判断できません。単独店舗で接客、レジ、配膳、調理などを行いながらシフト管理をする程度であれば、特定技能「外食」の店舗管理との重なりが大きくなります。
一方、複数店舗の管理、経営分析、予算管理、事業企画など専門業務が中心であれば、技人国として検討しやすくなります。
Q.深夜酒類提供の届出があれば、0時以降にDJイベントをできますか。
届出だけで深夜の遊興まで当然に認められるわけではありません。深夜に酒類を提供し、DJ、ダンス、照明・音響演出などによって店側が積極的に客を盛り上げる場合には、特定遊興飲食店営業に該当する可能性があります。
Q.客が勝手に踊っているだけなら問題ありませんか。
客が自発的に踊っただけで直ちに特定遊興飲食店営業になるわけではありません。ただし、店がDJを手配し、ダンススペースを設け、音響・照明による演出を行うなど、店側が積極的に働きかけている場合には、営業全体から判断されます。
Q.特定遊興飲食店で留学生を皿洗いとして雇えますか。
できません。資格外活動許可では、特定遊興飲食店営業が営まれている営業所で行う活動自体が対象外です。皿洗い、清掃、受付等の裏方業務であっても同じです。
Q.特定遊興飲食店で特定技能「外食」の外国人は働けますか。
特定遊興飲食店営業であることだけを理由として、一律に禁止されているわけではありません。飲食物調理、通常の接客、店舗管理等の外食業務であれば制度上可能です。ただし、風営法上の「接待」を行わせることはできません。
ただし、DJ、MC、ダンス、演奏など、「遊興」そのものを担当することは特定技能「外食」の対象業務ではありません。
Q.深夜営業の普通のバーで留学生は働けますか。
深夜酒類提供飲食店営業の届出をしているという理由だけで、資格外活動が一律禁止されるわけではありません。ただし、実際の営業が風俗営業や特定遊興飲食店営業に該当していないかを確認する必要があります。
まとめ
外国人雇用と風営法を考えるときは、次の3つを必ず分けてください。
特に、「風俗営業の許可を持つ会社だから技人国は全部ダメ」という理解も、「技人国を持っているから風俗営業店舗でも専門職なら何でもできる」という理解も正確ではありません。会社が風俗営業許可を持つこと自体と、外国人が風俗営業店舗で実際に行う活動は分けて考える必要があります。
また、在留資格によって規制方法も異なります。
☑技人国
→ 実際の業務が専門業務に該当するかが中心
☑特定技能「外食」
→ 風俗営業・性風俗関連特殊営業の営業所では就労不可。接待も不可
☑留学・家族滞在+資格外活動
→ 風俗営業・店舗型性風俗特殊営業・特定遊興飲食店営業の営業所での活動自体が不可
☑永住者・定住者等
→入管法上の就労活動の種類に原則制限なし
という違いがあります。
さらに、深夜酒類提供飲食店営業の届出= 深夜にDJやダンスを自由に行えるということでもありません。外国人を採用するときは、店の営業許可・届出だけを見るのではなく、在留資格だけを見るのでもなく、「営業実態 × 勤務場所 × 具体的業務」をセットで確認することが重要です。
開業後や採用後に問題が判明すると、営業方法や雇用契約を大幅に変更しなければならないことがあります。物件契約、内装工事、イベント告知、外国人との雇用契約を行う前に、風営法と入管法の両面から確認することをおすすめします。
出入国在留管理庁申請取次行政書士
稲福 正直
※本記事は2026年8月時点の公表資料に基づく一般的な情報です。風営法上の営業区分は、店舗所在地、用途地域、店舗構造、営業時間、広告、イベント内容、音響・照明、実際の営業方法等によって個別に判断されます。また、在留資格該当性についても、本人の学歴・職歴、勤務場所、雇用契約、具体的な活動内容等によって個別に判断されます。判断が難しい場合には、所轄警察署、地方出入国在留管理局等への事前確認が必要となる場合があります。
警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」
警視庁「風俗営業、特定遊興飲食店営業」
警視庁「深夜における酒類提供飲食店営業」
出入国在留管理庁「飲食店において外国人が就労する場合の在留資格について」
出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務の在留資格の明確化等について」
出入国在留管理庁「資格外活動許可」
農林水産省「外食業分野における特定技能外国人制度」
出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」















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